長距離トラック運転手に降りかかる新型コロナウイルスの隠れた影響

近年、全世界で猛威を奮い続ける「コロナウイルス」

沈静化の様子は見られず、私達の生活にも多方面に多大な影響を及ぼしています。

特に現在の日本の物流を担っている運送業界にもコロナウイルスの影響は大きく、表面的な部分では飲食店の休業による食材の不必要による影響での積み荷不足。

運送業界全体としては荷数の総数は大きく変動はないものの、偏りは大きく、一部の企業などでは、コロナ禍前の3倍以上の出荷量である一方、卸し先の閉店や縮小により半分以下の荷数のところもあり、少なからず荷物偏りによる争奪戦が全国各地で行なわれています。

それだけではありません。

長距離トラック運転手が生活するうえで困ることも起きました。

今回は、 コロナウイルス感染症問題で、長距離運送のトラック運転手に、仕事・生活にどのような影響を与えていたのか?ーについて、私の経験をもとにお話していきます。

長距離トラック運転手の楽しみな「入浴」と「食事」

長距離トラック運転手の1日は、積み荷や積み地などによって毎日違うのですが、基本的には荷物を積んで目的地まで移動し、当日または翌日の朝に荷物を降ろす…を繰り返している仕事です。

ただ、長距離トラック運転手は、一度会社を出発すると平均で2~3日は家には帰れません。

そのため、目的地までの移動の際、毎日の食事や必要品の買い物などを行ない、車内で日常生活を送ることになります。

このような1日の中で、私は、

  • 1日の疲れを癒せる「入浴」
  • ご当地での「食事」

この2点が楽しみで毎日仕事をしていました。

しかし、この細やかな”楽しみ”が、新型コロナウイルス感染症の予防対策により大きく変わっていくんです。

食事処の閉鎖や時間短縮

長距離トラック運転手の食事処といえば、高速道路上にあるパーキングエリアやサービスエリアや移動中の一般道に面する食事処が主になります。

しかし、各県の新型コロナウイルス感染症の防止策における営業時間短縮により、今までの営業時間内に立ち寄れていたお店も時間内に立ち寄れなくなってしまったり、長期休業により閉店しまったり…と、長距離トラック運転手にとっては厳しく悲しい状況になっていきました。

さらに、駐車スペースが限られてる大型トラックになると、駐車できる施設は多くありません。

また、感染対策防止による影響で食事処が限られたことにより、1拠点集中が発生し、駐車場が広い食事施設には多くの長距離トラック運転手が集まってしまいました。

そうしたことにより、パンやお弁当等の食品在庫切れ、飲み物の不足などもおこり、私達、長距離トラック運転手の生活を苦しめていました。

特にひどい時には休憩地点に到着し、お店に入ると食料品コーナーに残っているのは、お酒のおつまみと冷凍食品のみ。飲み物は、私が普段あまり口にしない炭酸飲料とアルコールのみ。

パンコーナーも食パンしか残っておらず、一晩をお菓子とカロリーメイトで過ごすなんていう日も何日かありました。

食事以上に困った「入浴」

食事に関しては、不満はあるものの、まだお弁当を自宅から持っていったり、買いだめをして車内の冷蔵庫で保存するなどすればしのぐことは出来たのですが、それ以上に困ったのが…

「入浴」

ですよね。

長距離トラック運転手は全国各地の大型入浴施設や提携ガソリンスタンドに備わっている入浴施設を利用して、毎日の疲れを流しています。

ですが、新型コロナウイルスの影響により、不特定多数の人が訪れる施設などは施設全体の利用禁止、提携ガソリンスタンドなどに併設されている入浴施設などは時間短縮や一部利用禁止などにより、毎日入浴ができない状況になりました。

この入浴施設利用不可能により移動道中や近隣での利用できる入浴施設を探したり、その施設までの移動を余儀なくされ、いつも以上の労力と時間を要するようになりました。

災害用グッズが大活躍

こういった日常を狂わす大きな問題があったのですがそこで役にたったのが「災害用グッズ」です。

特に、ウエットタオルや携帯用ガスコンロ等は大活躍。

入浴施設が近隣にない場合の時には、休憩場所に到着すると車外に出てガスバーナーでお湯を沸かして、レトルトカレーを温めるかの如く非常用ウエットタオルをコトコト煮込んでいきます。

煮込むこと数分で蒸しタオルの完成。
これで体を全体を拭くだけでも気持ち的にも衛生的にも大幅に良くなりました。

ときには、携帯用ガスコンロで沸かしたお湯でカップラーメンを作り、その上でウエットタオルを温めるという荒業も習得することができました。

しかしこれだけでは、体しか清潔(これで清潔になっていると言えるのかどうかは個人差があるとは思いますが…)になっていません。

そこで、これを機会にトラック助手席部分の足元に20リッター程度の大きな水タンクを常備するようになりました。 

このタンクに別売りされているシャワーを取り付けると、トラックは乗車位置が高いので、水の自重で勝手にシャワーが出るんです。

足元のヒーターを暖かくしておき、しばらく置いておくと、冬場でもある程度のぬるま湯ぐらいの温度にはなります。

体はホットタオルで拭き、頭はシャワーで洗い流す。

これがコロナ禍における長距離トラック運転手の新常識になるかもしれません。

嫌がらせを受けることも…

仕事面で影響を受けたのは「県外ナンバー車両への仕事依頼お断り」でした。

国から発表された新型コロナウイルス感染予防対策内の記述に従った、県をまたいだ往来を避けようという所に準ずる大企業も少なくありません。

そのため、工場の生産数量などを落として時間短縮を行なうことにより原材料や商品の配送も少なくなり、近隣地域の車両のみで稼働することが可能となったことで、県外ナンバー車両は通常営業に戻るまで仕事依頼が来ないなんていうこともありました。

これにより定期運行していたトラックなどは仕事がなくなり、ここで溢れた車両は別の仕事の多い所に集まりだし荷物の争奪戦が繰り広げられています。

また、県外ナンバー車両に嫌がらせをする心無い人達もおり

「荷物とコロナを運んでる」
「あまり近寄らないでほしい」

なんて言葉をかけられたこともあります。

長距離トラック運転手の私達もコロナウイルスに感染したくありませんし、感染しないように日々努力はしています。

さらに言えば、他の職業より人との接触はかなり少なく、1日にアクリル板で仕切られた受付担当の方としか接触がないという日もあり、人からの接触による感染がメインとされている新型コロナウイルスには感染しにくい職業だと私は思います。

1日でも早い終息を

毎日毎日、マスク生活。

このような、数年前では考えられなかった生活にも私達は少しづつ慣れ始めてはいるものの、やはり心のどこかで感染に対する怖さがあるのでしょう。

その怖さが、心無い言葉になってしまったりしまっているのだと思います。

  • いつまでこんな状況が続くのでしょうか?
  • 数年前のような状況には戻るのでしょうか?

現在の日本経済ではトラックドライバーなしでの物流稼働はありえないと思います。

私達、トラックドライバーも日夜感染予防対策をし安心して荷物を配送できるよう心がけ日々の運行に取り組んでいます。

今回、目に見えていない、通常の一般的な生活では考えられない長距離トラック運転手ならではの苦悩をお話さしていただきましたが、これを機に少しでもトラック運転手に興味を持ってみてもらえると私的にはありがたいです。

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