【運送業界に30年在籍】現在~過去~未来の運転手の違いについて語る

こんにちは!
運送業界に30年在籍しているタツといいます。

世間一般的な「運転手」というのは、どのような認識でしょうか?

毎日、当たり前のように動いている物流社会を支えているのは全国各地の「運転手」。長く勤めていると、運転手の働き方や就職希望者も大きく変わってきたように感じます。

今回は「運転手の現在~過去~未来の違い」についてお話していきたいと思います。

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1.【過去】花形職業だった「運転手」

高度成長期からほんの数年前までは、「運転手」は高給で世間でも花形職業でした。

学業の優劣がほぼ関係なく運転免許を取得するだけで、4年生大学卒業者と同じか、それ以上の給与を自分の力量次第でもらえる職業として、車好きや運転自慢の男性には人気職業でした。

その当時の武勇伝は現在にも伝わっており、

  • 「給与袋が毎月のように立っていた」
  • 「眠気と闘いながら、24時間ぶっとおしで働けば一運行で〇十万もらえた」
  • 「中卒でも全国各地を旅行しながら大金を稼げた」

など様々な伝説が、当時の運転手さんには必ずと言っていいほどあったでしょう。

また、当時は車両1台から運送会社を設立できたこともあり、個人所有車両の運転手さんも多く、ド派手に車両をデコレーションしオリジナリティに溢れる通称「デコトラ」なるものが各地を練り歩いていたものです。

そのような中、平成2年度の物流二法で免許制から許可制に変わり、全国にたくさんの運送会社が設立されました。

運転手希望者も増え、荷物争奪戦が繰り広げられた結果、価格競争に陥り、過去の運賃の半額なんていう航路もたくさん出てきてしまいました。

そういった状勢もあり、運転手の給与と花形職業という姿は、年々減り続け、下降の一途をたどっていきました。

2.【現在】3K職場に変貌

高給が売りの「運転手」だったのですが、運賃の減少のしわ寄せを大きく受け、給与はいつの間にか決して胸を張れるものではなくなってしまいました。

だからといって、物流が止まるわけもなく、むしろインターネットショッピングの普及により荷物量だけは増えるばかり…。

いつしか「運転手」は【キツイ・汚い・帰れない】という3Kが世間一般常識になってしまっていました。

3Kの要因【キツイ】

昼夜逆転の生活も当たり前。

1つ数十キロもある荷物を何百も手で積み降ろしするのも当たり前。

決まった時間に決まった場所に着いていないと罰則もあります。

3Kの要因【汚い】

長距離運転手は、毎日家には帰れません。

その為、全国各地にある提携ガソリンスタンドやパーキングエリア等に備え付けられている温泉施設やシャワーを使用し日々の疲れや汚れを落とします。

しかしその施設にも、航路や時間の関係上やむおえず立ち寄ることができなかったりすることもあるため毎日疲れを癒し切れていないのが現状です。

3Kの要因【帰れない】

これは先ほども述べましたが、長距離運転手は毎日帰宅はできません。

私の周囲の「運転手」の平均としては週に2~3日程度の帰宅ペースで、在宅時間は約12時間程度の方が多いようです。

在宅12時間はほぼ食事と睡眠のみという方がほとんどでした。

このような状態が続き、過去に高給をとっていた熟練運転者は給与と実働がともなっていなくなり、また年齢を重ねたため、「子供や家族との時間を今後は取りたい」と希望し、離職や転職する人が多くなりました。

それに代わって若い新人が入ってくることは少ないです。
その原因はやはり3Kの風評でした。

その為、負の連鎖が続いてしまい【人員不足の為、1人2役以上】が常習化し過労運転における重大事故などが多発しました。

3.【現在】運転手のサラリーマン化

そこで国の政策による法改正や産業機械の進歩が行われ、少しずつではありますが変化していっています。

こういった負の連鎖や法改正におけるコンプライアンス順守の風潮により、最近の「運転手」の働き方における1番の大きな変化は【運転手のサラリーマン化】です。

以前のように、働けば働くほどお金になる職人職業ではなく、時間や実績の対価となるサラリーマン職業への変化が近年では顕著に見られます。

国の過労運転防止対策により、勤務体制や運行体制が注視されるようになり、週間や月間での労働時間に制限ができた為、過去のような長時間・長距離運行も少なくなってきました。

過去の運送業では考えられなかった、シフト制や1台の車両に運転手が2人乗務しての運行など、他業種に比べ今最も労働時間に厳しいのは運送業界なのかもしれせん。

大型の物流拠点による変化

さらに近年、目まぐるしい勢いで作られているのが、大型の物流拠点です。

インターネットショッピングサイトや家具家電メーカーが全国各地に物流拠点を作ることにより配送の迅速化を行なえると共に、定期運行便を使用することによっての運賃の引き下げが狙いとみられます。

この動きは、「運転手」のサラリーマン化を加速させる大きな要因であり、今後の運送業界を変えるキーポイントになるかもしれません。

4.【未来】運送業の未来像は?

運送業界は今まさに【変革期】だと私は思います。

運送業の基礎となる車両もディーゼル時代からハイブリット時代へ日々変化していますし、今後新たな燃料による車両も開発されていく事でしょう。

また、働き方改革により2024年4月からは残業時間の上限がもうけられ、今以上にさらにコンプライアンスの部分が注視されることは間違いないでしょう。

これからの運送業は、拠点間の往復がメインになり、地方間を飛び越えた運行が少なくなるでしょう。

中継輸送がスタンダードになる?

その象徴的な例が「郵便」です。

様々な荷物を1台の車両が集め近隣拠点に配送し、集まった荷物を目標地点ごとに振り分け地点ごとに配送し、集まった荷物を地点ごとで配送する。

この形が未来の運送業のスタンダードになるのではないでしょうか?

これにより、「運転手」の労働時間は現在に比べ大幅に短縮され、本格的なサラリーマン化が始まるでしょう。

しかし、これにも大きな問題があります。

それは【運転手不足】の問題です。

課題もあり

1人一人が制限された時間内でしか働けなくなれば、物流の休息時間を設けるか、人手を増やすか、一度に今まで以上に多く運ぶしか解決策はありません。

一度に多く運ぶことや、物流の休息時間を設けることは現時点では想像もできないほど不可能に近い事なので、現時点では人手を増やすしか解決策はありません。

しかし、近年では若者の車離れもあり、また免許制度の変更に伴う免許取得費用の高額化などもあり、若者の運送業界への新規参入は考えづらいものとなっています。

また、特殊荷物(青果・鮮魚・生花等)などの中継拠点などの確保はとても難しいと思われます。

今現在でも時間との戦いを強いられ、特別車両にて配送を行っている特殊荷物等は積み替えなどを行うと商品価値を低下させてしまったり、最悪の場合廃棄になる可能性も大いにありえます。

そのような荷物などを配送している運送会社も就労時間などを制限してしまうと、確実にいままで当然のように店頭にあった物がない世の中になり、その代替を行うとすれば代替側に大きな負担になるでしょう。

まとめ

運送業界の未来は、どのようになっているでしょう?

近年中に現在の問題点を打破できる解決策がでてくるのか、それともここまで語ってきたような厳しい将来が待っているのか…。

不安もありますが、物流なしでは現在の世の中は成り立っていきません。

紆余曲折はあると思いますが発展途上のなので、これからの運送業界がとても楽しみな未来になることを私は願っています。

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