【大型トラック】装着義務化の速度抑制装置(スピードリミッター)について、トラック運転手の本音は?

平成15年9月、大型トラックに対して装着が義務化された「速度抑制装置(スピードリミッター)」。

長い月日が経った現在、トラック運転手は「速度抑制装置(スピードリミッター)」について、どのような感情を持っているのでしょうか?

そこで、今回は、トラック運転手に「速度抑制装置(スピードリミッター)」に対する本音を語ってもらいました。

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1.速度抑制装置は必要だが、荷主の理解も必要

【s098spteさん・30代後半・男性】

私はドライバー兼、運行管理を現役で行っている者です。

速度抑制装置は、様々な安全を守る為に必要な装置と考えます。一般車輌はもちろんのこと、ドライバー自身も守る為の装置だと他のドライバーへ伝えますし、自身も認識しております。

しかし、運ぶ商材や荷主によってはスピードが必要な場合もあることが事実です。

例えば、生鮮食品の運搬は時間が命です。出発が通常の時間であれば良いのですが、積地の都合で出発が遅くなる。市場の時間は待ってくれない。

その様な状況で「通常のスピードで走れ!」という方が酷だと思うことも多々あります。自身も経験がありますが、苦情を言われ嫌な気持ちになるのはドライバー自身です。

荷主に延着を伝えても、情報が納品先までいっておらず、ドライバーとの信頼関係が悪くなることもあります。速度抑制装置は必要だと思いますが、それ以上に荷主、納品先の理解が必要だと思います。

2.バスにも装着を義務化させるべき

【yasuki98さん・年齢不詳・男性】

速度装置が装着されていると速度が出ないので安全に繋がります。

高速道路を走行している際に、一定以上のスピードが出ないとわかっているので、はじめから速度を上げるという選択肢はありません。その影響で、高速道路内でのトラックに係る事故が減っているのではないでしょうか。

更には、速度抑制装置の装着義務化によって、燃費も過去に比べて、大きく向上していると思います。

ただ、高速道路で運転していると、一般乗用車から煽られたりすることもあり「なんで、トラックだけ速度抑制装置が義務化されているんだ!」と憤りを感じることがあります。

乗客の命を預かっている「バスにも速度抑制装置を義務化するべきなのでは?」というのが本音ですね。

【ハチさん・40代・男性】

安全の為と言えば必要です。

ただ、真夜中限定でもいいので、高速道路でまわりに車両が走行していないときぐらい、速度制限を解除してもいいのではないかと感じています。

むしろ不思議なのは、大型バスに速度制御装置が付いていないということ。

トラックよりも事故率が低いと言いますが、それでも、多くの人を乗せて走るという意味では、トラックよりも安全を求めなければいけないと思います。

格安ツアーでの事故も実際に起きて、多くの犠牲者も出ている現状で、それでも義務化されないのは正直、怖いですね。国も大事故が起きるまで何も対策をしないつもりなのでしょうか。

私は、バス会社が信用できないので、ここ数年利用していないです。

3.速度が出ないことが逆に危険に繋がることも

【gondouさん・40代後半・男性】

大型トラックに速度抑制装置が装着されていることにより、無意識に速度超過してしまったり、感情的に速度を上げることがないので安心感がありますね。

山中の路面が悪い下りでの運転への気遣い、カーブなどでの事故や荷落としの軽減にも大きく軽減されていると思います。

ただ、単調な運転からくる眠気やマンネリは、逆に居眠り運転や脇見運転といった危険にも繋がる事もありました。

また、そういった大型車両の運転手によるユックリとした運転により、潤滑な交通への悪影響があったり、他の車両や交通状況へ目が行き届いていない大型車両の運転手も、私が大型車両を運転しだした頃に比べると格段に増えたのではないかと感じます。

善し悪しがあり、なかなか難しいとは思いますが、やはり速度抑制装置が装着されていること事態については良いと思うので、それに対する意識やマナーが整っていくと良いのではないかと感じます。

【kopanda50さん・50代前半・男性】

大型トラックは総重量で20トン超えるので、事故の際の被害を低くする為に必要なのかと思います。

私はまだリミッターがない頃から大型トラックで走ってますが、昔はメーター振り切って140キロ以上で走ってたことも有りました。

しかし、90キロ前後でリミッターが効くので、どんなにベタ踏みしても90キロ前後しか出ないのは安全では有りますが、ほとんどの大型トラックが、ほぼ同じ速度しか出ません。

走行車線を走っていて前車がカナリ遅い速度で走ってる場合、仕方なく追い越し車線に入りますが、結構な確率で、大型トラックが追い越し車線に入った途端に後方から煽ってくる乗用車がいます。

リミッターのことを一般乗用車を使用するドライバーの方が、どの程度認知してるか分かりませんが、大型トラックはわざとゆっくり走ってる訳ではないのに煽られるので、大型ドライバーとしては恐怖&ストレスです。

大型トラックが大型トラックを追い越す場合、ドングリの背比べ状態が長く続きます。その時は追い越せないし左にも入れないし、減速する訳にもいかないのでかなりのプレッシャーです。

自己中な運転手の場合、追い越しに入った途端に速度を上げて抜かせない様に意地悪する運転手もいます。二車線しかなく交通量が多くアップダウンやカーブの多い区間など胃が痛くなります。

リミッター装着で事故の被害は少なくなるかもしれませんが、全ての大型トラックがほぼ同じ速度でしか走れない事により、事故はむしろ多くなったのではないかと感じます(私個人の見解)。

4.事故率が減っている現状を鑑みれば仕方がない

【kinaoさん・年齢不詳・男性】

一昔前まではリミッター無し車両にまくられて、長距離を走るものとしては不公平感というか、「いいなぁ、速度を出せて…。」というモヤモヤ感がありました。

現在では、高速道路上で完全に違法という大型車両はほとんど見かけません。今でも微妙に速かったり、4t車に強烈にまくられることもありますが。

大型トラックの事故減少を目的に導入されましたが、かたち的には深夜を走る幹線便を狙い撃ちしたものだと考えています。

一般乗用車・大型トラック・バスの事故率を比較して決められたようですが、分母が大きく走行距離も長いことを鑑みると、大型トラックがトップであることは間違いないでしょう。

先日もセミトレーラーが側面に衝突後、横転。高速道2車線をふさいでしまいました。こういう交通マヒを起こす大きな事故を減らすという意味では、有効に働いていると思っています。

実際は大手であれ中小企業であれ、点呼・日報・デジタコ・GPSなど、必要な運行管理が適切に運用されていれば、リミッターは必要のないと考えています。しかし、物流とは荷主と荷受をつなぐ役目を担っていますので、完璧には管理できません。

その要望に一つずつ答えていくと、トラック乗務員(末端)に大きなストレスがかかってきます。そのため、運行管理は現場レベルでは反故にされがちです。リミッター装着義務とは、そこに対するダブルブロックの役目を果たしているのだと考えています。

リミッターのみならず現在では運転の急アクセル・急ブレーキ・急ハンドル・走行スピードの点数化、加えて車内カメラで乗務員の体調や居眠りチェックまで細かく管理されています。意外と自由のない職業となってしまいました。

しかし、様々な規制や装置導入後に事故率が減少しいるという事実を見れば、致し方ないものだと受け止めています。

5.一般の方にトラックには速度抑制装置を装着していることを伝えて欲しい

【yoshiakiさん・40代・男性】

確かに制御装置がついてた方が速度が90km制限されるので、スピード出しすぎで事故起こす確率は減ったと思います。

しかし、運転にメリハリがなく単調なので睡魔が襲ってくるのも事実です。実際、リミッターがなかった頃に比べれば、睡魔が襲ってくる回数が確実に増えてますね。

また、リミッター越えたら、機械センサーが喋るのでうるさいと感じます。

あと不便なのは、トラックを捲くとき時間がかかるし、抜けないときがあります。できれば、追い越すときだけ、一定時間、加速するスイッチが欲しいですね。

抜けないときは、乗用車がトラックの後ろで列になって、申し訳ない気持ちになってしまいます。それに、抜くに抜けないとき、乗用車が煽ってきたり、走行車線から追い越してくるので「危ない!」と感じることが多々あります。

一般の方にも、大型車は速度抑制装置があってスピードがでないので、高速道路では、大型トラックには配慮するよう、自動車学校や教習所で伝えて欲しいですね。

6.運転手も違和感を感じなくなった

【taro-toさん・40代後半・男性】

地場で大型トラックを扱うものとして、速度抑制装置が装着されていることになんら違和感はないです。

特に、同会社間の移送を請け負うことが多いため、運航スケジュールがハードなこともなく、速度抑制装置が作動することはありません。

しかし、中距離や長距離になると話は変わってくるのかなと思います。特に運転手不足が著しい昨今では、さらにハードになると思われます。

その一方で、交通事故が減ったとの報告もあるようで、運転手が事故を起こすことが軽減できたのであれば、よかったのではないかと思います。

速度抑制装置が義務付けられてから、10数年が経過し、運転手の方も少しは慣れてきているような気がします。(私周りの運転手ですが) 

また、経営者や運行管理者からしても、運転手が無理をしていないかを休憩時間の把握だけでなく、速度についても可視化することで、現実をとらえることができてきたのではないかと思います。

7.先入観を変えるために必要な装置

【araiさん・30代前半・男性】

いまだにトラック運転手は「気性も荒く、マナーが悪い!」などの先入観が抜けきっていないのが現状だと思います。

そのような中、速度抑制装置の装着は、自身への意識の保持とともに、周囲に対して「トラックは質の良い安全な運行をしている」とはっきりとした形で示せるものだと、肯定的な見方をしています。

ただ、みな一生懸命、働いている中、装着義務のない4t車が速度超過をして事故を起こすと、それだけで「危険なトラック」「無謀な運転手」というイメージで報道されるのは悲しいです。

8.運転手に負荷がかかっている

【tori-syougoさん・40代・男性】

トラックの事故は大きな事故になりやすいので、会社から渡される(グループ会社・関連会社の)事故記録簿の写真を目にすると、安全運行が一番だと再認識させられます。

大型トラックは一般車両よりも重量も大きいので、スピードを出せば、その危険性は高まります。

また、荷物を積んでいればブレーキを踏んだときに止まる距離も違うわけで、大型トラックに速度抑制装置が装着されていることには違和感はありません。

ただ、あえて言わせてもらえば、運行のことを考えると、スピードが出ないということは運行時間も長くなるので、仕事としては時間がかかったり自由にならない時間が延びることになります。

確実な安全運転のためにも仕方のないことだと思いますが、運転手からしてみれば、プレッシャーから早く解放されたい気持ちがあるのは事実です。

9.速度の抑制は必要だがバランス調整が必要

【kyankoさん・30代・男性】

事故防止・環境問題の観点から賛成。

ただ、スピードが出ない運転は事故を減らす一方、トラック運転手への負担や周囲の車への影響があると思います。

たとえば…

  • トラックが並走状態で走ると、迷惑がかかる
  • 渋滞が起きる
  • 一般の方にイライラ運転をさせてしまう
  • 運転時間が長くなり、かえって運転者の負担になっている

速度抑制装置を導入した後、どれだけ事故が減ったのか、データ等の調査結果を見た結果、問題なければ、多少、緩和してもいいのではないだろうか。

まとめ!

大型トラックに「速度抑制装置(スピードリミッター)」の装着が義務化されて、月日が流れたため、すでに多くのドライバーが慣れたという意見が多かったです。

その一方で、時間に追われているトラック運転手からは、一般の方や荷主に、トラックは速度が上がらない事実を知ってもらい【配慮して欲しい】といった要望もありました。

トラックドライバーも事故率の軽減に寄与していることを認識しているため、反対意見は少なかったような気がします。

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