恩をあだで返された!?解雇に退職金相当額の手当を支払っても予告手当は必要?

とある会社のお話です。

 

社員のひとりが懲戒解雇にも相当する重大な違反が発覚し、損失を受けた親会社から「あのAはウチに重大な損失を負わせた。すぐにクビにしてほしい。」という話があったそうです。

 

当の本人は、「申し訳ないことをした。二度と同じことはしない。」と強く反省するとともに「懲戒解雇だけはやめてくれ。そのようなことになれば、今後生活できなくなる。」と泣きつかれたそうです。

 

その社長は、彼には今後の人生頑張って欲しいという願いを込めて、親会社に懲戒解雇したことにしておき、すぐに辞めてもらうかわりに、自己都合による退職金相当額の特別手当を支払ったそうです。

 

そのとき、社長は、その従業員に「懲戒解雇にしないかわりに、解雇予告手当は支払わないからね。」という条件を付けて、Aさんも納得したうえで退職した…はずでしたが…。

 

ところが、ところがです。

 

後日、Aさんから「やはり解雇という扱いなら、30日分の解雇予告手当を支払うのが妥当だ。すぐに支払ってほしい。」という要求を突き付けられたそうです。このような場合も支払う必要があるか否か…について、紹介していきます。

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1.恩をあだで返された!

このように恩をあだで返される話。私もけっこう耳にします。そのとき、温厚だった方が、少し険しい顔をしたり、感情を少し表に出されていました。お金の損失もありますが、なにより「裏切られた!」という気持ちがとても悔しかったんだと思います。

 

「彼のために…。」と思って行ったことでも、その優しい気持ちが伝わらない、踏みにじられることってありますよね。

 

ちなみに、今回のお話では、親会社の強い要請もあって、やむを得ず取った措置ですが、かなり話はややこしいです^^;

 

そこで、まずは整理してみましょう。

 

今回の件は、本来、懲戒解雇とすべき案件だったのですが、Aさんとの話し合いのうえ、自ら辞めてもらうことで合意が成立しました。ある意味、退職勧奨に応じた…ということになります。

 

ですが、その一方で、このことにより、自己都合による退職のような流れにはなったものの、退職金は支払われず、実質的には懲戒解雇の扱いですよね。しかし、社長があまりにもかわいそうだということで、恩恵的に退職金に代わる手当が特別に支給されています。

 

2.退職勧奨による退職と解雇の区分は微妙

今回のように、解雇したのか退職であったのか、あいまいなまま労働関係を終えている例は、じっさいに多く存在しており、そこからトラブルになることもあるため、細心の注意が必要です。

 

今回の事例に限りませんが、いわゆる「退職勧奨による退職」等と解雇の区分は微妙なところがあります。

 

例えば、退職勧奨の強要にあたる場合や、もしくは、合意退職とすることに労働者側の意が尽くされていない場合は、「解雇」となりますから、解雇の手続きを踏まなくてはいけなくなるんですね。

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3.使用者の恩恵的給付になるのか?

仮に解雇であるとするなら、当然、解雇予告手当の支払いが必要になります。

 

これは、いかなる名目であっても平均賃金の30日以上あれば足りるものです。もっとも、退職金は就業規則等で支払い基準等が定められていれば賃金であり、解雇予告手当とは本質的に正確を異とするものですので、退職金の支払いをもって代えることはできません。

 

けれど、退職金の支払いについて、何も定めがないまま退職金が支払われる場合、あるいは、退職金基準を上回って、支払われる部分がある場合や、退職金とは別の手当が支払われる場合は【使用者の恩恵的給付】と考えられます。

 

そのため、これをもって「解雇予告手当の支払いに代替することは可能」ということになるんですね。

 

4.退職金は、法律上制限がない

今回のケースでは、懲戒解雇であれば支払う必要のない退職金に代わり、相当額の手当が恩恵的に支払われていて、これが平均賃金の30日以上であるなら、解雇予告手当の支払いは不要ということになると思われます。

 

なお、解雇予告手当と賃金の一種とされる退職金は性質を異にするといっても、いずれも金銭であることにかわりはありません。

 

退職金については、法律上制限がないわけなので、今後、このようなトラブルを避けるために、退職金支給規則等において退職金の中に解雇予告手当も含まれている旨を定めておくのもいいかもしれませんね。

 

ただし、この場合は、退職金が解雇と同時に支払う必要があるので、その点だけは注意が必要です。

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