新人運転手の初運行に同行! 待っていたのは超過酷な荷物の積み込み作業だった!?

こんにちは!
タイラといいます。
みなさんは入社後の初仕事のことは覚えていますか?
私はとても緊張しながら運転し、先輩から言われるがままのことをただやることしかできず、とても気疲れしたのをハッキリと覚えています。
そんな自分の初仕事と並ぶくらい、はっきり覚えている仕事が”新人運転手の初運行に同行したときに体験したこと”です。
新人運転手ともめ事があったというわけではありません。
想定外のことが起こり、私もその新人運転手も思い出深い1日になった出来事についてのお話です。
新人運転手さんとの初見
運送会社での勤務歴が社内で中堅辺りにさしかかってきた頃、配車担当者の上司に声をかけられました。
「〇日からの運行なんだけど、新人さんと一緒に行ってくれない?」
と新人同行を告げられました。
トラック運転手は、1人が気楽なのは当然です。
しかし、運送業未経験の新入社員が入社して来ることは事前に耳にしていたし、なにより入社当時に右も左も分からなかった私を先輩が丁寧に教えてくれた事を思い出し、「今回は自分が教える番!だから初心に返ったつもりで引き受けよう!」と思いました。
上司にOKであることを伝えると、どうやら行き先は、よく行く紙会社のようでした。
この会社の荷物は、全てフォークリフトによる荷積み作業で行われるので、新人さんには運転に集中できるとてもいい仕事でした。
年上だけど好印象な新人運転手
新人運転手と同行する前日、運行を終えて会社に戻ると1人の男性が配車担当者と話をしていました。
戻った私を、配車担当者が見つけるとすぐに声を掛けてきて、
「明日から同行する新人さんを紹介するから来てほしい。」
そう声をかけられ、そのまま新人運転手と初対面。
自分よりは明らかに年上で小柄でやせ型のニコニコした男性でとても好印象でした。
その日は、運行に必要な物や出勤時間などについて、配車担当者を含めた3人で話し合い、そのまま帰宅しました。
同行当日
私は、点検や備品数量などのチェックを行うために早めに出勤したのですが、新人運転手は私よりも早く出社していました。
車内で2人きりになる前に懇親を深めて置こうと思い「喫煙所で一息つこう」と誘い、個人的なお話を色々としました。
新人運転手さんは年齢は私より10個上。
前職はバス運転手でした。
長距離運転手に憧れがあり、長年やってみたかったため、思い切って転職したとのこと。
私より運転歴もかなり長いようなので運転には問題ありませんが、バスにはない”荷積み”だけが、本人も心配のようでした。
しかし、今回の荷積みは全てフォークリフト作業。
しかも、このフォークリフト作業は荷積み先のフォークリフト専任運転手さんが決まった手法で積んでくれる物なので全く心配がありません。そのため、今回、助手席かつ、お手伝い担当の私にとってはプチ旅行感覚で出発しました(笑)
ところが、そんなお気楽な気分と裏腹に事件が起きてしまったんです。
トラブル発生!積み荷の変更
約2時間の移動を終え、早めの昼食を取った後、積込場所近くで会社からの連絡を待っていました。
車内で談笑しながら待っていたのですが、積込予定時間が近くなっても連絡が来ません。少し心配になった為、会社に確認の連絡をしてみると…
「積込会社内で機械の故障が発生し、荷物が出来ていない。」
との返答。
こんなとき、運転手は待つしかありません。
そして、予定時刻より1時間が過ぎようとしていた頃、会社から連絡がありました。
「仕方がない!積荷を変更するので〇〇〇地点に行ってほしい」
旨の変更指示の電話でした。
急なトラブルで荷物がキャンセルになり、別の荷物を積みにいくことなんて日常茶飯事。軽い気持ちで新人運転手さんと経路を確認しなおし、移動を開始したのですが…。
新しい積み先に待っていたのは…
大通りから少し入った所に立ち並ぶ倉庫街に到着した私達は、配車担当者から聞いていた連絡先に電話し、指定された場所で積み込みの準備を開始しました。
積み込み荷物を待っていると、フォークリフトに乗った担当者さんが荷物を持ってきてくれました。荷物は、おおよそですが幅2m、奥行1m、厚み20cm弱の薄めの大きい段ボール箱。
1m四方のパレットに10個程度乗っており、荷姿はブサイクながらもアタリの荷物だと思いました。
積み込みの補助をする為、荷台で待っていると担当者さんから恐ろしい一言が…。
「運転手さん、それバラ積みだよ」
箱をよく見ると、箱の中身は、
「コタツ」
1つの重量は約20kg、大きく・持ちにくく・1度に複数個運べない。これは積み荷としてはあまりやりたくないレベルの荷物ですし、新人運転手さんには過酷すぎるような荷物。
せめてもの救いは2人で来ていることのみ…でした。
サイズや数量の異なる荷物をパズルのように組み合わせながら、少しづつ作業していくしかありません。
積み方が分からない
担当者さんも積載個数しか分からず、どれほどの高さまで積み上げればいいのか、どのように積んでいけば荷台に乗り切るのか分からない為、完全手探り状態。空いたスペースはとにかく埋めていくしかありません。
新人運転手さんと2人、無心で積み込むこと約1時間。
終わったのはトラック荷台の3分の1程度でした。
すでに握力は限界に到達していて、新人運転手さんに顔を向けると脱水症状で顔が真っ赤になっている状態で作業していました。
「この状態は危険だ!」と判断した私は、新人運転手さんは休憩を指示して1人で作業することに。
心の中では「私の方が先輩だし若いんだから、こんなところで弱いところなんか見せられるか!!!」と、ただの意地だけで頑張っていました。
その後1人で黙々と作業すること1時間。
荷台の半分ほどまで荷物が埋まってきたところで、救世主が登場したんです。
専門的職人傭兵現る
積込作業をフラフラになりながら行っていると、担当者さんの笑い声と「go!go!」という声が。
なんと荷物の陰から、大柄で全員腰にベンチプレス等で使用するかのような頑丈そうなコルセットをしている外国人男性が3名現れたんです。
「何事か!?」とかなりビックリしたのですが、どうやら担当者さんが気を利かせてくれて、近隣の別倉庫で作業していた自社の外国人作業員さんを呼んでくれたのです。
そこで判明したことなんですが、普段、この積み込みは、この外国人作業員を入れて総勢6名程度で行なう作業らしく、この日は作業予定ではなかったようです。
急遽、荷物がキャンセルになってしまった私達の為に積み荷を用意してくれたため、普段とは違うリフト作業者が荷物の準備をしていたことで段取り等が分からず、このような事態になったようです。
救世主の登場に「ほっ」として、この外国人男性達の作業を見ていたのですが、その圧倒的パワーに私は度肝を抜かされました。
- パレットから荷台下にいる男性に荷物を渡す役
- 荷台下から荷台にいる男性に荷物を渡す役
- 荷台で手慣れた風に積み上げていく役
このように役割分担しながら、自分達の倍以上の速さで荷物が積みあがっていくのです。
驚くことに3人が加わってから、ものの30分で全数積み上がり、少し申し訳ない気持ちもありながら荷台に封をしました。
この経験が後の糧
新人運転手さんにはとても過酷な初仕事で申し訳なかったのですが、現在でも思い出話になったとき、
「初仕事であれだけキツイ仕事をできたんだから、積み荷仕事でどんなキツイ仕事でも問題ない」
と、あのトラブルが逆に自信になったみたいで、いまでも一緒に働いています。
私も運送業界で長く働いてきましたが、あれだけ先が長く終わりが来ないと思った仕事は後にも先にもこの仕事しかありません。
この仕事を経験することができ、私自身もどんな仕事でもあまり苦に感じることはなくなりました。
行ったこともない所に住所1つで目的地に向かい、毎日が初仕事のような気持ちになれる珍しい職業。私はこのような感覚で”トラック運転手”という仕事を今でも楽しんでいます。
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