無断欠勤をする学生アルバイトから罰金を取りたい!

運送会社の中には、引越シーズンなどになると学生アルバイトを雇用するケースもあるかと思いますが、学生アルバイトの中には、自由奔放な子もいて、ときに無断欠勤する…なんてことも。先日も、とある知り合いから学生アルバイトの無断欠勤に悩んでいる人と話をする機会がありました。
そのアルバイトの子は、とつぜん欠勤するので、会社だけでなく現場もかなり迷惑を受けているとか。そのため、お灸をすえる意味でも、このような学生アルバイトにペナルティーとして、無断欠勤1回につき、5,000円の罰金を取ることを検討しているとのことでした。
はたして、無断欠勤を繰り返す学生アルバイトに対して、5,000円罰金を取ることに問題はないのでしょうか?
1.労務に従事しない範囲での賃金カットは問題なし
今回は、学生アルバイトの無断欠勤について相談を受けましたが、学生アルバイトに限らず、従業員も無断欠勤や遅刻、早退、出勤停止など労務に従事しないケースもあるかと思います。
このように、労務に従事しなかった範囲内で、賃金を支払わない、あるいは賃金カットするということ自体、ノーワーク・ノーペイの原則に基づき、当然のことですよね。だから、問題ありません。
ただし、これに加えて、罰金等の制裁を加えるということになると話が違ってくるのです。
2.罰金制度はNG
今回の学生アルバイトの無断欠勤に罰金を科すという方法は、いわゆる社内過怠金制度や社内罰則制度等の一種とみなされます。
たとえば、一般従業員の場合、交通事故等について、安全運転の意識付けのために「物損1回につき〇円罰金」「安全帽付着用1回につき〇円罰金」というような基準を設けるような場合です。もちろん、学生アルバイトの無断欠勤1回につき、1回5,000円の罰金という考え方も同じなんですね。
けれど、このような制度を設けるのは、労働基準法からいうとNGになってしまいます。
つまり、従業員に過失責任がある事故等による損害に対しては、その実損額の範囲内で一定の賠償を求めることは問題ないのですが、実損の発生の有無やその損害額にかかわらず、あらかじめ過怠金や罰金を定めておくことは、同法の「違約金及び賠償予定の禁止規定」に違反してしまいます。
労働基準法第16条
使用者は労働契約の不履行について違約金を定め、又は損害賠償額を予定する契約をしてはならない
さらに、これらの過怠金・罰金分を賃金からカットしてしまえば、その結果として…労働基準法第24条「賃金全額払いの原則」に違反してしまうことになってしまうんですね。
3.懲戒処分による減給処分もNG
そのほかにも、仮に就業規則にある懲戒処分の制度を使って、罰金相当の減額処分をする方法も考えられないこともないのですが、罰金と懲戒による減給処分では、そもそも法的な意味合いも異なるため、やはり無理といわざるをえません。
さらに、就業規則を学生アルバイトまで、きちんと想定した作成をした会社もあまりないんですよね。
無断欠勤は確かに会社として損失は大きいのですが、学生アルバイトにそれほどの責任を求めることができるのか―ということにもなってしまいます。
4.発想を変えることも重要
人手不足に悩む企業としては、無断欠勤をする不届きな行為をする学生アルバイトでも当てにしなければいけないことも多く、頭が痛いところだと思いますが、なかには発想の転換をしている企業もあります。
たとえば、無断欠勤で休んだら、イコール罰金という制度ではなく、少しでも真面目に出勤したら手当を出す制度に変えてしまうのも方法のひとつです。皆勤手当や精勤手当を別に設けて奨励的な制度を設けることによる解決をしているところもあるのです。参考にしていただけたらと思います^^
まとめ!
罰金制度を使ってはいけないのですが、それを知らずに会社に損害を与えたとして、罰金制度を採用している企業は意外と多くあります。最近は、法令違反は大きなリスクとなっていますので、発想の転換をして皆が「真面目に働きたい!」と思える方向に変えるのも一つの方法です。
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