【体験談】重機運搬車のトラックに憧れ運送会社に転職!

初めまして。福島県在住のトラック運転手経験者のアライといいます。私が運送会社で務めた期間は、計2カ月ほどと長くはありません。
ですが…
- 未経験者からトラック運転手になるまでの経緯
- どのような考えで行動し、結果どうなったのか?
- なぜ2カ月という短期で退職したか?
など、経験できて良かったことやトラック業界の問題点など、これからトラック業界で働きたいと考えている方の参考にしてもらえれば…と思います。
1.2度と接客業をしたくない理由から運送会社に転職
私がトラック会社に入社したきっかけは、26年間勤めた鉄道会社を自己都合で辞めたことに始まります。
退職まで務めるつもりでいた鉄道会社を、管理職という自分には適正の無い、ストレスしか感じない仕事から精神的に耐えられなくなり退職を決意しました。
そもそも、私は、管理職だけでなく接客も向いておらず、日々の苦情ばかりで謝ってばかりいた毎日が本当に苦痛で「2度と接客はしたくない!」という気持ちもありました。
精神的に疲れ果てていた私は「運送・建設なら接客をしなくていいだろう」という思いから、この業界に転職を決めました。
当時、44歳で地元に戻り、親と同居で実家から通える範囲内という条件と前職以外のスキル・経験の無い状態での転職。
私の住む福島の田舎で手っ取り早く、ほどほどに稼げる職種といえば頭に浮かんだのは運送業か建設業くらいでした。
2.トラック運転手になるため大型免許を最短で取ると決意
ただ、「運送・建設業で働くには大型自動車免許が必須だろう」ということで、以前から知っていた那須の合宿免許教習所のことを思い出し、さっそくネットで情報検索。
電話ですぐ申し込みをしました。
教習は、路上に出るための仮免許検定で一度落ちただけでほぼ順調に進み、1カ月ほどで免許取得ができました。
その後、トレーラーや重機を運転することも想定し、けん引と大型特殊免許をセットで別の教習所で取得しました。これも合宿免許で半月ほどで取得完了です。
後になって思えば、時間に余裕があるなら大型・大特・牽引の3つをセットで教習していれば金銭的にも時間的にもお得だったですね。
バスやタクシーの運転手なども想定するなら大型2種と大特・牽引のセット教習もアリだと思います。
一つの免許に対して法令で1日2時限までしか教習できず、空いた時間はすることが無いため他にすることがありません。
しかし、別の免許も同時に教習をすると2時限×3(大型・大特・牽引同時教習の場合)で1日最大6時限まで受けることができ、検定に落ちて再検定が数日後などの場合、別の免許の教習ができて時間を有効に使えます。
私は最初、大型免許のみで教習を受けており、暇な時間はパチンコ屋ばかり行っていました。
3.重機運搬の運送会社に決めた理由
免許取得は1カ月半程度で終わりました。
失業手当を全額もらいきることを考えると半年以上時間が空くということで、次に行動したのは、トラック運送業に関連した免許の取得です。
「トラック運転をするには自分でフォークリフトを使って荷物の積み下ろしをしなければならない」ということをトラック運転経験者の弟から聞き、向かったのが重機免許をとるための『産業機械教習所』です。
はじめフォークリフトだけ取ればいいと思って入った教習所ですが、結果的に重機全般の免許を取得しました。なにせ時間だけはありましたから。
取得した重機免許は次のとおり
- フォークリフト
- 車両系建設機械(整地・運搬・積み込み及び掘削用)
- 車両系建設機械(解体)
- 不整地運搬車
- 小型移動式クレーン
- ローラー運転者
- 高所作業車
- 玉掛け(小型移動式クレーン操作に必要)
これだけ費用をかけて免許を取得すると、無駄にはしたくないものです。自然と「重機を扱った貨物トラックを運転したい」と考えました。
それに、道を走っている重機運搬のトラックやトレーラーを見かけたことがあったのですが、カッコよく見えたのもあります。(今思えば浅はかだったと後悔)
4.重機運搬の運送会社に問い合わせ
「まずは重機運搬の運送会社に問い合わせてみよう」
「未経験でダメならキッパリあきらめよう」
「ダメな場合、一般貨物輸送の運送会社に路線変更しよう。」
というのが当時の考えでした。
そして、ハローワークやインディードで求人を検索しましたが、重機運搬の運送会社というのは数も限られており『経験者』という条件がほとんどでした。
「無理かな・・・」と思って諦めかけた頃に、過去、弟が面接に行ってきたという運送会社を紹介してくれたのです。
ダメ元でその会社に電話を入れると「求人を出している。未経験者でも可」とのことだったので、面接に向かったところ、とんとん拍子で話が進み入社となりました。
5.重機運搬の運送会社の業務内容は?
私が入社した重機運搬専門の運送会社には、主に小型移動式クレーンの付いているの「セルフ車」という10tトラックが10数台と併せて、木材チップを運ぶ「深ダンプ」が10台程度ありました。
主にこの2つの業務に人員が配置されていました。
私の場合、それぞれ1カ月ずつ経験しました。
①セルフ車の主な仕事内容は?
建設現場に重機を運ぶのがメインの仕事です。それ以外にも小型の建設機具(発電機やポンプなど)や現場の地面に敷設する鉄板・資材を運ぶ仕事があります。
まず出勤すると配車担当から一人ひとり指示があり、主にレンタル重機屋、または建設会社の重機置き場から、〇〇の建設現場のどの場所まで(逆もあり)運ぶかを指示されます。
その指示に従い、仕事をこなすのですが、一つの仕事が終われば完了報告をし、トラックに装備してある無線で次々と指示が来ます。
経験の浅い私にはわからない指示が多かった
レンタル重機屋や建設会社は分かりやすいのですが、難しいのは辺鄙な山奥の建設現場です。
経験豊富な運転手ならすぐ分かるのでしょうが、横で他の運転手が説明されていたのを聞いてましたが、自分には説明されても、すぐには分からないような場所ばかりでした。
例えば…
「〇〇の現場の〇〇の交差点を■■メートル過ぎた広い道を右にバックで入って行って▲▲メートルくらい進むと広くなってるとこがあるからそこで降ろしてくれ」
などと指示があります。
私には???という話ばかりでした。
現場監督者の連絡先を聞いておき、綿密に打ち合わせをしなければなりません。
常に危険と隣り合わせ
12時~13時など休憩時間に現場に入るとまず怒られます。
そのため、付近に駐車し時間待ちをしなければならない場合もあり、駐車スペースを確保しておくことも必要となります。
大きい重機を降ろせる場所というのは限られていて、建設現場の「どこどこあたり」などという指示がされるのですが、現場を多く経験していないと分からない場所が多く、足場もぬかるんでいたりして良い場所ばかりではありません。
また、狭い場所を大きい重機を積んだトラックで、バックで入っていかなければならない場合もあり、技術的にも難易度は高いと感じました。
さらに、重機の乗せ降ろし時の転落事故や運転者の怪我、運転中の重機の固定の忘れ、緩かった事による重機の転落や一般車・構造物との接触なども常に注意しなけらばならなく、常に危険と隣り合わせだという現実があります。
②深ダンプ(通常のダンプよりアオリという荷台の枠が高いもの)の業務内容
片道100kmほどの決まった場所を木材チップを運び、1日2往復します。
木材チップを生産している工場の積み場から自分でバックホウを操作しダンプに積み込む。それを火力発電用の燃料用に加工する工場の降ろし場に運んでいき、降ろして終了です。
この仕事に関しては、初心者でもなれればそれほど難しくないと感じました。
ただ、同じ個所を毎日往復するだけなので、飽きっぽい人には向かないかもしれません。
私も1カ月で、結構、飽きてきたところでした。
6.運送会社に勤めて良かったこと・辛かったこと
結果的に2カ月で退職してしまったので、つらかった事ばかり思い出します。
今となって考えれば、経験できて現職の建設業で役立ってることもあるので前向きに考えてまとめてみます。
①楽しかったこと
- 入社後すぐに大型トラック(10t)や深ダンプに乗れ経験できたこと。
- 毎日大型トラックと重機を両方同時に運転・操作することができた。
- 難しいユニック車のクレーン操作を経験できた。現職でも活用。
- 木材チップを自分でトラックに積むためのバックホウ操作が経験でき上達が実感できた。
- 同僚は同年代の40代が多く話しやすく送別会をしてもらえた。
- 毎日、屋外で移動しながら仕事ができた。
- 定時で帰れた。飲み会・会議もなし。
②つらかったこと
- 家族経営の零細運送会社であり労働環境の改善などの問題提起がしづらい。
- 社長と専務親子のパワハラが日常的。
- 社員休憩スペースがコンテナハウスでトイレ・水場もなく清掃担当もいないため不衛生。
- 業務内容・支持の説明が不十分であり質問すると罵声で返ってくる。
- 社員教育は1週間程度で終了し不安を抱えながら独り立ち。
- 日曜日のみ休日で祝日は出勤、年末年始やGWなどは5~6日程度で年間休日70日程度。
- 深ダンプ担当は5時出勤で17時まで週6日サイクルで続け常に寝不足。
- GPS・ドライブレコーダーによる運転手の管理強化の進行
7.トラック運転手を経験して感じたことのまとめ
当初私は重機運搬を行う「セルフ車」を希望していましたが、会社の都合で深ダンプでの木材チップ担当に配属となりました。
入社して日も浅いし経験もないため、意見も言えず、不満を抱えながら仕事をしていましたがそれも2カ月目で我慢の限界に達します。
深ダンプという大型車両を運転できたのは経験を積めるため良しとしたのですが、はっきりと「重機運搬がしたい」と伝えたのに、意見も聞かずなし崩し的に担当を決められてしまいました。
【後からの業務担当の変更はできない】という社長・専務の一方的な説明があり、退職を決意しました。
わずかな期間を重機運搬のトラック運転手という特殊な業種を経験したことにより、現在の建設業での仕事に繋がっていると、今になれば感謝の気持ちを感じることもあります。
若い力が欲しい業界
しかしテレビやネットでの情報で運送業の記事を見るたび感じるのは明るいニュースは少なく、経験者からすると運送業に対する危機感をより一層感じます。
運転手の高齢化、若手ドライバーの少なさも現場レベルで感じました。免許制度の弊害もあると思いますが運送業の実態からすれば理解できます。
もっと給与面、労働環境面で改善していかないと立ちいかなくなる運送会社が出てくると切実に思いました。
私が常に思うのは、我が国の物流を支える【運送業という重要な仕事に就く人をもっと大切にしていかなければならない】ということです。
そのために、トラック運転手とはどういうものかを知ってもらえる助けになれば…と思い、記事を書かせていただきました。
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