運転手を経験した後、配車係に配属され、現在は運行管理者で頑張っているテルといいます。
ほとんどの運送会社に存在している「配車係」は、毎日の業務を各運転手に配分。そして、運転手は配車係から命じられた仕事を日々こなしていますよね。
しかし、どの運送会社においても、運転手と配車係の関係性は、決して風通しはよくなく、双方にとって気持ちのいい間柄ではないケースが多いです。
そこで、今回は「配車係との関係に悩む運転手が、どのようにすれば配車係と良好な関係になれるのか」をテーマに書いていきたいと思います。
1.信頼と安心がポイント
配車係と良好な人間関係を築く秘訣は「信頼と安心」です。これは配車係との関係だけではなく、人間関係の本質的な部分ですね。
では、どのようにすれば、配車係の「信頼と安心」を掴めるのでしょうか?
気になる人も多いと思います。
掴み方は、決して特別なことではありません。
ですが、知ったうえで意識して行動すると、配車係との信頼関係が出来上がり、いままでよりも高評価を得ることに繋がります。
①報告・連絡・相談を大切にする
配車係の仕事は、運転手の日々のスケジュールを埋めていくパズルのような仕事です。パズルを埋めていくときに、重要になってくるのが「ピースの大きさや特徴」になります。
そのため、配車係としては「ピースの大きさや特徴」をしっかりと伝えてくれる運転手をとても大事にしています。
特に、現場に行かないと分からない些細なことや注意点などを伝言してくれると助かりますね。
この「報告・連絡・相談」を配車係にしてくれる運転手とは、当然、信頼関係が生まれますし、大事な仕事や新しい仕事を率先して回したくなります。
また、仕事配分について平等を心がけていても、信頼関係のある運転手からの要望は「なんとか叶えてあげたい」と思ってしまいます。
配車係も人間なので、どうしても無意識に出てしまうのです。
やはり、日ごろからのコミュニケーションは大切なんですね。
②ひと手間が大事!
日々、業務の中で、ひと手間加えてくれる運転手を配車係は重宝します。
その「ひと手間」とは、決して難しいことではありません。些細なことですが、
- 乗車した車の日常点検以外の部分も気にして点検する
- 荷物の積み降ろしの際に丁寧に扱う
- 伝票などの提出物などは誰が見ても分かるようにする
「この3点だけ?」と思うかもしれませんが、これだけでも配車係の心象は良くなります。
なぜか?
これには理由があります。
配車係は、専業で配車だけをしている人はほとんどいません。
他の業務と掛け持ちしていることが多いです。
そのため、私が配車係からよく耳にしたのは「手が回らない」という言葉でした。
運転手をしていた頃は配車係の大変さがわからなかったため、他人事で聞いていましたが、いまなら、その気持ちが分かります。
その配車係の負担を少しでも軽くすることができれば、配車係の心象は向上し、重宝されるのは間違いないです。
◇出先の評判を真っ先に耳にするのが配車係
また荷物の積み降ろしのとき、丁寧に行なっていると、現場担当者や社外担当者からの評判が良くなります。
そして、現場の運転手の評判を社内で真っ先に耳にするのが配車係なります。
良い評判がたくさん耳に入ってくると、配車係は社外での交渉もしやすくなるので、評判の良い運転手を大事にしたくなるのは当然だと思います。
逆に、評判の悪い運転手の情報も耳に入りやすく、知らない内に、配車係の評価を落としていることもあります。
③優秀なロボットになる
配車係は、毎日、繊細で緻密なジグソーパズルをを組み立てています。そのピースがテンションや気分次第で変形してしまうと、とてもやりにくく感じます。
そこで極論なのですが、運転手は「優秀なロボット」になった気持ちで、いちど余計なことを考えずに無心で配車係の指示通り、完璧にこなしてみてください。
それだけで会社からの評価はガラリと変わりますよ。
◇先輩からアドバイスされ実践した!
「優秀なロボット」の例えはかなり極端な表現ですよね?
現場で頑張っている運転手が見たら、憤りを感じたかもしれません。
ですが、これは、私が運転手をしていたときに先輩からアドバイスされた言葉なのです。私はすごく印象に残っていたので、そのまま利用させてもらいました。
最初は、先輩のアドバイスの意図がわからず、頭の上にクエスチョンマークが出ていました。
しかし、半年間、モクモクと日常業務をこなしているうちに、自分自身の気持ちも楽になり、さらに配車係からの信頼度も上がったことが実感できたのです。
◇配車係の最大の敵は「イレギュラー」
私は、その後、運転手から配車係に配属されたのですが、配車係の日常業務での最大の敵は「イレギュラー」であることに気が付きました。
毎日が、とてもタイトなスケジュールにならざるを得ない配車係は、労働時間や荷積み荷降ろし時間、さらには運転手の体調まで細心の注意を払って、スケジュールを組んでいます。
ですが、少しのイレギュラーですべてが崩壊することもよくあるのです。
そのため、日ごろから、問題なく仕事をこなしている運転手には感謝の気持ちでいっぱいになりますし、軽微な問題を運転手自身で処理してくれると、とても助かります。
また、休みの予定や交通情報などを前もって教えてくれると、対策・対処ができ、円滑に業務がまわせるようになるので配車係としてはとても助かりますね。
◇「優秀なロボット」の例えの意味
おそらく、先輩は「イレギュラーを起こさない」ように、日々の業務をコツコツ正確に行う大切さを、私でも理解しやすいように「優秀なロボット」というユニークな表現で例えていたのだと思います。
正確にコツコツと業務をこなす。
それは、とても地味なことかもしれませんが、取引先や配車係から好感を持たれ、かつ信頼関係を築くことに繋がります。
また、会社から必要不可欠な運転手として扱われ、いい仕事が回ってきやすくなることを言いたかったのではないでしょうか。
◇フォローも大事
配車係が忘れていそうなことや見落としがあるところは、さりげなくフォローしてあげるのもいいですね。
また配車係が失敗したとき、または失敗しそうなとき、協力してあげると、配車係と良好な関係が築きやすいです。
④全ての基本は円滑な日常業務
すべての基本は「円滑な日常業務」です。
配車係はイレギュラーを嫌います。
そのため、イレギュラーを起こさない、またはイレギュラーを未然に防いでくれる運転手の株は上がりやすく、イレギュラーを起こしやすい運転手の株は下がるだけです。
円滑な日常業務が送れるようになると、社内も相乗効果で円滑に回りだします。
不思議なことに円滑な日常業務が行なわれるだけで社外からも良く見えるらしく、今まで以上にいい仕事が舞い込むなど、相乗効果がありました。
配車係は運送会社の軸的部分になります。
その軸の負担を減らすことで、必ず運転手にも有益で仕事もやりやすくなることは間違いないです。
まとめ
配車係も熟練のプロではなく、毎日新しいパズルを組み立てている方がほとんどだと思います。毎日がトライ&エラーの繰り返しです。
そのエラー時にどれだけ何もなかったかのように上手く処理できるのか…が運転手も配車係も腕の見せどころです。
両者が情報を共有し、エラーが少なくなると会社の評判もドンドンあがることでしょう。
そういった積み重ねが会社の信用や安心につながり、いい仕事につながり、運転手の給与にも繋がります。
会社が成長するには「配車係と運転手」の両者ががっちりと手を取り合い、1つのチームとして機能していくことが絶対条件なのではないでしょうか。