先日、匿名希望で次のようなメール相談がありました。
かんたんにまとめますと…
「先日、時間外に社員をフォークリフトの技能講習会に出席させたけれど、やはり残業手当を支払わなければいけないのか?」
ということでした。
さらに、メールの内容を見てみると、どうやらその会社は、次の日曜日にもフォークリフトの安全運転講習会(自由参加)を開催する予定らしいのです。開催する予定なのはいいけれど、いざとなると「法律的に社員は休日労働扱いになるかどうか?」が気になっているみたいですね。
そこで今回は「勤務外の講習会等は時間外・休日労働にあたるのか?」について紹介していきたいと思います。
1.厚生労働省の通達では…?
さて、今回のような悩みのケースでは、厚生労働省の通達が参考になるので紹介します。
使用者が労働者の技能水準向上のための技術教育を、所定労働時間外に行った場合はどのような扱いになるのか…の行政解釈は、次の内容になっています。
労働者が使用者の実施する教育に参加することについて、就業規則上の制裁等の不利益取り扱いによる出席の強制がなく自由参加のものであれば、時間外労働にならない。
(基本通達・昭和26年1月20日付け貴収2875号)
逆にいえば、本務以外の技術教育であっても、使用者の指示命令により出席する場合は、とうぜん労働時間に算入されることになるというわけなんですね。
したがって、冒頭で紹介したメールの内容の前半にあった「出席させた」という事実が本当であれば、明らかに使用者の業務命令、指示命令があるとの判断になるというわけなんですね。
つまり、労働時間扱いになってしまい、実働8時間を超えれば、もちろん残業代も発生するということになるのです。
2.自由参加か否かがポイント!
そして、後半のもうひとつの質問である「安全運転講習会(自由参加)」がやや判断が難しいところになります。
ただ、ポイントとしては、やはり
【本当に自由参加か否か】
…になると思います。
もしも、本当に自由参加であれば、先ほど紹介した行政解釈のように「時間外労働」にならないので、休日労働には該当しないということになります。
けれど、自由参加といいながら、次のようなことが行われている場合は、事情が変わってきます。
①出欠を人事考課の要素に加え、賃金面に影響させている場合
②出席者に手当等を支給している場合
③業務遂行の必要上、どうしても出席せざるを得ない場合
④出席しなかった社員に上司が欠席の理由を尋ねるなど暗黙の裡に出席を強制している場合
これらのような場合には、実質的上、使用者による「黙示の指示命令」があったということになり、労働時間扱いになるというわけなんですね。
まとめ!
いかがだったでしょうか?
似たようなケースは多くの会社である話だと思います。そのため、今回は情報を共有するために、本人の了解を得て、記事として公開しました。参考にしていただければ幸いです。