点呼記録簿の法定項目のひとつに「指示事項」というものがあります。
この項目には、乗務前点呼のときに運行管理者が乗務員に対して【輸送の安全】について伝えたことをそのまま点呼記録簿に書かなければいけないことになっています。
しかし、この指示事項を毎日、書くのは非常に面倒くさいです。そこで、今回は点呼記録簿の指示事項の記入例について紹介していきます。
1.指示事項を考えるのは難しい
点呼執行のひとつとして【輸送の安全】を乗務員に伝えるとしても、運行管理者が考えるネタも限度があります。それに運行管理者がひとりだと、どうしても思考が偏ったりしてしまいがちです。
むしろ、逆に聞きたいです。
輸送の安全について指示事項のネタ、どのくらいありますか?
パッと思い浮かべても10個行ければいいかもしれません。本当は、たくさん知識があるとは思いますが、結局、引き出しから取り出せるの数は限られているんです。
指示事項のネタが多いほど乗務員が気づくキッカケが多くなる
それだと乗務員に”気づき”が生まれませんし、毎日、同じことを伝えてしまっては、当然、乗務員も話半分で聞くことになってしまいます。
だからなんでしょうね。
私の知り合いはインターネットの検索で「点呼記録簿 指示事項 記入例」などで何か良い例がないか、一生懸命、探してしました。
きっと彼も悩んでいたのでしょう。どうしたら、もっと手を抜けるのか…もとい、効率よく管理できるのかという点を。
2.巡回指導で教えてもらった方法
(参照:ダウンロード先)
私の経験談をお話ししますね。
…とある営業所の巡回指導に立ち会っていたときのことです。その営業所の運行管理者が指示事項の記入を忘れてしまい、記入漏れになっていました。
なるべく書いていたのですが、他の項目と比べて書くのが面倒くさい。だから、書き漏れがあるとわかっていたけれど、仕方なく空欄にしていたんですね。
当然、適性化指導員から「点呼記録簿の指示事項はキチンと記載してください。」と指導を受けてしまいました。ですが、その一方でアドバイスもいただいたんです。
それは「指示事項例」を活用すること。
この一覧表をうまく利用すれば点呼記録簿の指示事項を書くのも簡易的にすることができるということでした。
指示事項例
では、その指示事項一覧例とはどのようなものかというと、↓のとおりになります。
―指示事項例―
1.法定速度遵守
2.車間距離の保持
3.追い越し注意
4.行違い注意
5.スリップ注意
6.路肩注意
7.優先交通権の確認
8.踏切注意
9.発進時の前後左右の確認
10.信号注意
11.カーブ・交差点注意
12.通行区分厳守
13.横断歩道注意
14.歩行者・自転車に注意
15.連続運転・無理な運行の禁止
16.運転中の携帯電話使用厳禁
17.シートベルトの着用
18.積載状況の確認と記録
19.確実な積み付け
20.無免許(免許停止中含む)運転厳禁 ・雨天・霧発生時のライト点灯
21.積荷の確実な固縛固定 ・警報等の伝達
22.違法駐車禁止 ・状況報告の実施
23.飲酒・酒気帯び運転厳禁 ・運行中止の指示
24.脇見運転禁止 ・避難箇所の指定
25.過積載運行禁止
26.居眠り運転防止
27.疲労・過労運転禁止
28.交通マナー遵守
29.交通ルール遵守
30.日常(運行前)点検の確行
31.老人と子供に注意
32.適時適切な休憩・休息
33.適時適切な報告の実施
34.危険予知の励行
35.事故予測の励行
36.問題意識の保持
37.「思いやり」「譲り合い」の励行
38.「だろう」運転禁止
39.「かもしれない」運転の励行
40.「ながら」運転の禁止
41.早めの方向指示器の合図
42.急ブレーキ・急発進の禁止
43.動物の飛び出しの禁止
44.異常気象時の指示
1~44までたくさんサンプルがあります。
この指示事項一覧を利用すれば、点呼記録簿の「指示事項」は楽に記載できるということでした。
「楽?確かに指示事項一覧表があればネタには困らないかもしれないけれど、やっぱり毎日、点呼簿に指示事項を書かなくてはいけないからラクじゃないよね。」
と思ったら、まだ話に続きがあったんです。
2.指示事項一覧表の活用法
指示事項一覧表の活用方法について、次の手順で行えばスムーズにいくと話がありました。
① 指示事項一覧表を営業所に貼付する。(乗務員に周知する)
② 点呼記録簿のファイルにも一緒に添付する
の2点をまずは行います。
このように、乗務員にも目に触れるところに「指示事項例」を貼付しておけば…なんと、 点呼記録簿の指示事項には「番号」を書くだけでいいんです。
いいですか?
重要なのでもういちどいいます。
周知できるような状態であれば…指示事項一覧を利用して、点呼簿の指示事項には「番号」しか書かなくていいんです。
指示事項の記載例
イメージしづらいかもしれないので、ひとつの例を紹介します。
たとえば、朝、雨が降っていたとします。
乗務員には「雨に気を付けて運転するように!」とお話ししますよね。
そのとき、点呼記録簿の指示事項には「降雨によるスリップ注意」など書かなければいけないのですが「指示事項一覧表」があれば、そのままの言葉を記載する必要はないのです。
指示事項一覧表の「5.スリップ注意」があるので、点呼記録簿の指示事項の欄に「5」という数字を入れるだけでいいのです。
言葉ではなく番号を書けばいいので、すっごい楽だとは思いませんか?指示事項を書く面倒くささが一気になくなりました。
3.指示事項一覧表を使ううえでの注意点
ただし、気をつけなければいけないことがあります。
行政監査のとき、指示事項の欄を見た監査官が「この5は何を意味しているのですか?」と意地悪な質問してきたときに「指示事項一覧表とリンクしています。」とキッパリ答えられるようにしておかなければいけません。
適性化指導員が指示事項一覧を活用するなら…
① 指示事項一覧表を営業所に貼付する。(乗務員に周知する)
② 点呼記録簿のファイルにも一緒に添付する
をすすめてきたのは、乗務員にわかるようにするという意味だけでなく、監査対策の意味もあったのでしょう。
だから、①②を省いて、指示事項に数字を書く習慣をつける…というやり方はすごく危険なので、最低でも② 点呼記録簿のファイルにも一緒に添付するは忘れないようにしたいですね。
まとめ!
毎日、ドライバーに輸送の安全について、指示した内容を点呼記録簿の「指示事項」に記載するのは大変なことです。
だから、指示事項一覧表を使って、点呼記録簿の記載を簡易にしなければ継続するのは難しいのではないでしょうか。