物流新聞などに「貨物自動車運送事業輸送安全規則の一部改正」に伴い、運転日報に新たに記載しなければいけない項目が増えました。
運転日報は「出発・到着地点、時刻」や「休憩時間・地点」など、記載しなければいけない項目が多く、日々、大変苦労していることだと思います。
では、「運転日報に集貨地点・荷役作業等の記載」はどのような内容なのか、さっそく見ていきましょう。
1.集貨地点等・荷役作業(積込みor取卸し又は附帯業務)の記載が追加
トラック運送業界では、長時間の荷待ち時間や荷主との契約にはない”荷役作業”などが大きな影響を与えていますよね。
タコチャートやデジタコを見ても、走行時間はそこまで長くなく、あきらかに荷主都合で苦しめられている運送会社は多いです。
このように、運送会社の自助努力だけでは解決困難な拘束時間の問題を踏まえ、国交省は「貨物自動車運送事業輸送安全規則」が改正されました。(公布:令和元年5月10日、施行:令和元年6月15日)
簡潔に言えば、一定の条件を満たした車両に限りますが、運転日報に”荷役作業や付帯業務の実態”を記入しなければいけなくなったというわけです。
国土交通省からしてみれば、荷主側が運送会社に対して、過度な要求や長時間労働をさせている証拠を記載するように指導し、荷主勧告等の判断材料にしたいと考えているようです。
2.車両総重量8t以上又は最大積載量5t以上の車両が対象
荷主都合による30分以上荷待ち時間については、すでに平成29年7月に記載対象になってしまいましたが、集荷地点・荷役作業等の記載も「車両総重量が8トン以上又は最大積載量が5トン以上の車両に乗務した場合に限る。」が対象になっています。
いわゆる大型車は、運転日報に記載しなければいけない項目が増えたのですが、その内容は次のとおりになります。
① 集貨地点等
② 荷役作業等の内容並びに開始及び終了の日時
③ 荷主が①及び②の事項について確認した場合にあっては、その旨
④ ①及び②の事項について荷主の確認が得られなかった場合にあっては、その旨
※荷役作業を行った場合、荷主との契約書に実施した荷役作業等の全てが明記されている場合は、荷役作業等に要した時間が1時間以上である場合に限る。
こうやって見ると書く内容はけっこうあります。
3.運転日報への記載条件は?
なお、運転日報に記載しなければいけない条件についてですが…
a.荷主との契約書に、実施した荷役作業等がすべて明記されている場合
荷役作業等に要した時間が計1時間以上になったとき、記載の対応が必要になります。
b.契約書に荷役作業等のすべてが明記されている場合以外
たとえ、荷役作業等が1時間未満であったとしても、契約書に明記されていない場合は、荷役作業について日報に記載しなければいけないことになっています。
4.ドライバーが実施した荷役作業等の内容とは?
「②荷役作業等の内容並びに開始及び終了の日時」の荷役作業等とは、どのようなものでしょうか?
簡単にまとめますと…
1.積み込み(手荷役・機械荷役)
2.取卸し(手荷役・機械荷役)
3.荷造り
4.仕分け
5.検収・検品
6.横持ち
7.縦持ち
8.棚入れ
9.ラベル貼り
10.はい作業
などが該当してきます。
◆デジタコが対応していない!どうしたらいいの?
「積み込み/取り卸し」等は、すでに対応しているデジタコがほとんどです。
そのようなところは、改めて「②荷役作業等の内容並びに開始及び終了の日時」を記載する必要はありませんが、その他、附帯業務の詳細について対応していない場合が多いです。
この場合、どのようにしたらいいのでしょうか?
支局に確認したところ「この改正は、運送会社を守るために始まった法律であるので、詳細は書いて欲しい。」との回答でした。
5.荷主側の確認の有無
「③ 荷主が①及び②の事項について確認した場合にあっては、その旨」「④ ①及び②の事項について荷主の確認が得られなかった場合にあっては、その旨」と書かれているように、集荷地点の発着及び荷役作業の開始・終了について、(発・着)荷主側担当者の確認が行われたか「有・無」を記載する必要があります。
7.困ったときはQ&Aを見てみる
国土交通省のHPに、Q&Aが掲載されています。
いちど目を通しておくことをオススメします。
まとめ!
大型車が対象とはいえ、乗務員に運転日報をより詳細に書くよう指示するのは至難の業です。
とくにいまは乗務員不足もあってなかなか強く教育できないなか、運送会社の管理者は苦労させられそうです。
また、デジタコも法が改正したことが手書きで追記しなければいけなくなるなど、運送会社の負担もかなり増えそうです。