「配車係」は、請け負った仕事をトラック運転手にうまく振り分ける、運送会社のいわば”司令塔”にあたるポジションにいる存在ですよね。
上手くパスを回したり、コミュニケーションを取らなければ、チームは機能しなくなります。
今回は、この「配車係」に注目し「配車係に向いている人とそうではない人」を、運送会社に勤務している現役の配車係にまとめてもらいました。
1.配車係に向いている人
配車係に向いている人がどのような人か、その特徴をまとめてみました。
①まじめでスケジュール管理が好き
配車係の主な仕事は、所有車両に対する乗務員の配置と仕事の割り振りを行なうことです。
運送会社によって一人一車(車両が個人個人に固定されている)こともありますし、仕事により車両が変わる会社もあります。
社内で保有する仕事を各従業員に割り振り、人員や車両を余すことなく使えるかが配車係の力量となってきます。
そのため、稼働可能な人員と車両数、どのような仕事依頼が来ているのかを常に把握しておかなければなりません。
各従業員のスケジュール管理を配車係に就いている間、ずっと把握・割り振りをしなくてはいけません。このスケジュール管理を行うにあたり、まじめに、コツコツ、1日1日、しっかりとスケジューリングができる方でないと配車係は辛いと思います。
逆に、スケジュール管理が好きな方は、配車係の仕事がおもしろく感じるのではないでしょうか。
②メリハリがしっかりできる
次に配車係に向いている人の特徴は、メリハリがしっかりできる人です。
仕事の間はずっとスケジュール管理等を行なわなければいけません。そのスケジュール管理も、日々、更新されていくので終わりは無く、ループしていきます。
そのため、仕事以外の時間や休憩中は、頭を切り替えなければ、精神的に長続きできません。
オンとオフの切り替えをしっかりできる人が配車係に向いていると言えます。
③人見知りをしない方
配車係の特徴のひとつに、毎日、多数の人と電話や面談が多いことが挙げられます。
そのため、できるだけ、人見知りをしない人が向いていると言えるでしょう。
毎日、初対面の人としゃべる訳ではありません。ですが、顔も知らない人と、毎日、電話で会話したり、突発的な問題で見ず知らずの人と対面することも少なくありません。
初対面の人と話す機会が多いので、人見知りをしていると精神的に持たなくなります。
なので、できるだけ人見知りをしない人の方が配車係には向いていると言えるのです。
④自分の意思をしっかり持ち、周りの意見を取り入れれる方
運転手には老若男女さまざまいます。
その個性豊かな運転手のスケジュール管理を任されているのが配車係です。
ただ、スケジュール管理をしているが故に、食い違いや思い違いなどが毎日のように起きてしまいます。その際、会社や取引先の意見を取り入れつつ、最良の判断をして運転手に伝えなければなりません。
もちろん、その逆もあり、熟練の運転手は自己主張の強い方も多いです。
「自分が正しい!」と頭ごなしに否定するのではなく、良いところは見習い、悪いところは自分なりに変更していくような臨機応変さも求められます。
⑤配送の経験や知識が豊富な方
ここまでは、若手新人配車係を想像しながら書いてきましたが、運送会社で、現実的で有効な配車係の就任方法が運転手からの登用です。
現場の知識や道路情報を網羅していますし、経験豊富で仕事を熟知されている方が配車係に就任していると、仕事は容易になります。
しかし、ここで気を付けておきたいのは、今まで自分が現場で出来ていたことが、すべての人に当てはまるわけではない…ということです。
「私が出来たから、他の運転手もできるだろう。」
「なぜ、これくらいのことができないんだ。」
と判断するのは安直で、どのレベルに基準を置くのかが難しい点ですね。
その辺りさえ注意して行なえば、知識や経験が豊富な人にとって、配車係の仕事は意外と簡単にできるかもしれません。
2.配車係に向いていない方
ここまでは配車係に向いている人について、お話してきました。
次は、不向きな人の特徴や気を付けておきたい点などについて書いていきます。
①大雑把で時間にルーズな方
稼働可能な人員数と車両数を管理し、スケジュールを組んでいく仕事なので、大雑把にしてしまうと様々なところに迷惑がかかってきます。
まず、従業員の仕事量が平均化されません。
たとえば【Aさんは毎日多忙だけど、Bさんは休みが多い】など、歪なスケジュールが組まれ、いずれ大きなトラブルに発展してしまいます。
また取引先と運転手のパイプ役を担っているので、時間に対する考えがルーズだと、会社全体がルーズに見られます。
このような問題を避けるため、しっかりとしたスケジューリングができる方が配車係に向いていると私は思います。
②人と話すのが苦手な方
配車係は、人と接する機会が多いです。
業務的なことはもちろんのことですが、人間関係の信頼度が仕事に直結するため、話すことがとても重要になってきます。
運行上で問題が起きたときも、初期対応は、ほぼ配車係が行なうと言っても過言ではないと思います。
その際に、運転手から現場状況等を聞きだし、取引先や相手先とやり取りをする話術も必要となってきます。
そのため、話すことが苦手な方は配車係は苦労が多いですね。
しかし、これは多少の慣れもあると思いますので、経験していけばある程度、何とかなるのではないでしょうか。
③周りに流されてしまいやすい方
スケジュール管理を任されている配車係は、自分なりのルールを決めておかないといけません。
他者の意見を取り入れることはとても重要です。
ですが、社内の中枢を担っている配車係が、昨日と今日で言っていることが異なるとどうでしょうか?信頼関係に大きな影響を与えてしまいます。
自分や社内の基準通りに実行し、ベストな配車を、毎日、行うこと。
それが配車係には必要なことなのです。
④自己主張が強く短気な方
- 運転手と会社
- 運転手と取引先
- 会社と取引先
配車係はこれらのパイプ役であり、緩衝材役でもあります。
そのため、配車係までが自己主張をしてしまうと双方にしわ寄せが集まってしまいます。
運転手には運転手としての意見、取引先は取引先側から意見、様々な事を言われる事があります。そこで冷静に判断し、最良の答えを見つけることが重要です。
私が過去に見てきた「有能」と言われる配車係の方は、どなたも社内外問わず信頼度がとても強いという共通点がありました。
たとえば、信頼を得るために、どのような状況でもすぐに状況把握ができる。問題解決の能力に長けていて、コミュニケーション能力も優れている人ですね。
あくまでも理想ですが、私もその理想に近づきたいと思っています。
まとめ
いかがだったでしょうか?
スケジュール管理が上手で、人間関係を良好に構築することがうまく、さまざまな人とコミュニケーションを取ることができる方が配車係に向いています。
全て完璧にこなせる人は少ないですが、私が思う配車係の理想像はこういった人です。
もし、配車係を目指したり、就任予定のある方は、向いている人に当てはまるよう目的・目標を持ちながら、務めていくと上手くいくと思います。
配車係はとてもやりがいのあるポジションです。
会社の未来を左右し、手腕1つで大きく変えることができるポジションであるため、周囲からの期待も大きく様々な壁が毎日のように立ちはだかることでしょう。
しかし、その壁を越えれば唯一無二のポジションを築くこともできますし、周囲から頼られる存在になります。
「優良な運送会社に優良な配車係あり」。
この言葉を胸に私は、日々、配車係の仕事を務めています。