「ウチのドライバーに限って、飲酒運転や無免許運転はないと信じてはいる!」
気持ちはわかるけれど…絶対にないとはいえませんよね。
もしも、ドライバーが仕事中に服務規定を無視して、なおかつ道路交通法違反である飲酒運転や無免許運転で労災事故を起こした場合、このようなときの労災保険の取扱いはどのようになるのでしょうか?
このような違反をした人に労災保険など手厚い保護なんて…と思うかもしれませんが、じっさいのところ、どのように扱われるのか紹介していきます。
1.保険給付は行われる
結論から書きますね。
たとえ、飲酒運転でも…無免許運転でも…仕事中の事故であれば、基本的に業務災害として保険の給付は行われます。
「えー!なんでー?」と思われるかもしれませんが、労災保険法上、業務上外の認定という視点では、まったく普通の業務災害と変わりがないと判断されるんです。
では、労災保険における業務上外の判断とはどのようなものなのでしょうか?
労災保険における業務上外の判断とは?
労災保険の保険給付は、業務上の災害による負傷や疾病・生涯・死亡(傷病等)に対して行われますよね?
この業務上の傷病等とはなにかというと、そもそも「その業務についていなければ、このような傷病等は生じなかった」であろうと認められ、加えて「そのような業務についていれば、このような傷病等が生じる危険がある」であろうと認められるものなんです。
つまり、業務起因性のある傷病等であるか否かで判断されるというわけなんですね。
2.労災保険給付とは?
このため、その傷病等が業務についていること。
表現を変えれば、「労働者が労働契約に基づき、事業主の支配下にある状態」において発生したものであることが条件とされているんです。
3.トラックドライバーも該当する
一般的には、業務遂行性(業務についている状態)があれば、業務起因性(業務によって発生したもの)が認められ、業務上の傷病等であるということになるんですね。
ただ、トラックドライバーは、事業主の支配下にありながら、その管理化を離れて業務に従事します。
具体的には、貨物等の運送業務のため、事業場外において服務には服しているわけなんですが、用務先との間を、通常もしくは合理的な順路及び方法によって往復しているのであれば、その途上で発生した事故は【業務災害に該当する】と判断されるというわけなんです。
4.結論
今回の例のように、飲酒運転や無免許運転というだけでは、内容や詳細は状況に応じて変わるので、「絶対にこうなります!」というような断定はできません。
ただ、ふつう飲酒運転や無免許運転であっても、その行為が業務として特に必要性が否定されるような事情がないのであれば…業務上の災害として扱われ、保険給付が行われるということになります。
まとめ
今回の例では、服務規程を無視するなどしているわけですので、社内的には、重大な服務規定違反として厳しい懲戒処分などになるでしょう。
また、労災保険の扱いにおいては、労働者に重大な過失があったとしても保険給付こそされますが、保険給付の支給制限を受けることは言うまでもありません。