運行管理者が選任されていないなどの重大な違反が見つかった場合、30日の事業停止になるお話を以前しました。それほど、運行管理者の選任は重要な項目のひとつです。
ですが、巡回指導や行政監査では、運行管理者がいる・いないだけでなく、選任の状況についてもチェックを行い、問題があれば、当然、指摘されます。
年々、運行管理者について、見方が厳しくなってきたので、巡回指導の通知が来た事業所は、ぜひ事前にチェックしておいてくださいね。
1.運行管理者選任について再確認すべきチェックポイント
もしも、適正化指導員があなたの事業所に巡回指導に来たとき、どのような点に注目しているのでしょうか?
じつは、運行管理者の選任届出をチェックしているとき、次のことについて確認しています。あなたも漏れがないかチェックポイントを参考に確認してみてくださいね。
チェック① 配置車両数に応じて運行管理者を選任しているか?
チェック② 運行管理者の選任・変更・解任等したとき、支局に届出をしているか?
チェック③ 選任している運行管理者がきちんと所属事業所で業務しているか?(退職等してないか?)
チェック④ (複数の運行管理者を選任しているとき)統括運行管理者を選任しているか?
運行管理者の届出について意外としっかり管理しているようで、調べてみると「あれ?忘れてた!」という項目があるものです。もしも、確認したときにチェック①~④に届出不備などがあったら、巡回指導や行政監査にきたときに指摘される可能性大なので、巡回指導日前に改善しておきましょう。いかがですか?
2.チェックのされ方
適正化指導員が巡回指導をしたときに注目している点について、わかりやすくまとめてみました。参考にしてくださいね。
チェック① 配置車両数に応じた運行管理者を選任しているか?
配置車両数に応じて運行管理者を指定の人数以上、選任しなければいけないのはご存知でしょうか?
運行管理規定にも記載されていると思いますが、運行管理者の必要選任数は↓の表のとおりになります。
運行管理者の選任者数・簡易表
※車両数については被牽引車のぞく 29両まで ・・・ 1名以上 |
つまり、エンジン付きの車両が29両未満であれば、1名以上、運行管理者が選任されていればOKということになります。複数名、運行管理者の選任をしなければいけないのは30両以上からになるんですね。
もしも、30両以上所有しているのであれば、運行管理者の選任数が足りているかチェックしておきましょう。特に最近、大幅に増車したときなどは要注意ですよ^^
※以前は5両未満の営業所については、運行管理者の選任が必要なかったのですが、いまは必要になっています。(ただし、専ら霊柩自動車又は一般廃棄物の収集運搬のために使用されるう自動車の運行を管理する営業所、一般的に需要が少ないと認められる島しょに存在する営業所など地方運輸局長が認めて公示した営業所はのぞく)
チェック② 運行管理者の選任・変更・解任等が行われている場合、支局に届出を行っているか?
異動がある事業者はとくに要注意。所長兼運行管理者が異動してしまったとき、支局へ変更届出を忘れてしまうと…これも速報の対象になります。
例)運行管理者のAさん
大阪営業所 → 奈良営業所 へ異動 でも、支局への届出のデータでは、大阪営業所の運行管理者はAさんのまま。 このままでは「大阪営業所には、運行管理者がいない」と判断されてしまいます。 |
すぐに変更届出を出しましょう。
チェック③ 選任している運行管理者が所属事業所で運行管理業務をしてる?(退職等してないか?)
チェック②と同じですが、大手事業所でなくても、退職や死去などで、突然、運行管理者がいなくなった。他の営業所に転勤になったという点はチェックされます。
チェック④ (複数の運行管理者を選任しているとき)統括運行管理者を選任してる?
とくに気を付けたいのが、運行管理者を1名から2名に追加したとき。
このとき、統括運行管理者の選任を忘れてしまいがちです。
1名から2名以上になるときには[統括運行管理者の選任]を忘れずにしておきましょう^^
3.運行管理者1名体制の事業所は要注意!
運行管理者の選任数は29両未満であれば1名で問題ありません。きっと、このページを読んでいる多くの事業所も運行管理者は1名体制で行っているところがほとんどだと思います。
けれど、1名だけでいいと油断していると大変なことになるので気を付けなければいけません。「運送業の巡回指導のポイントと対策!」でも紹介しましたが、いま巡回指導では【速報制度】が始まりました。
復習すると、速報対象や30日の事業停止は、
①点呼が行われていない
②運行管理者・整備管理者がいない ③定期点検を実施していない |
の3点なのですが…
気を付けないと【②運行管理者・整備管理者がいない】に該当してしまうこともあるのです。
たとえば…
1. 家族経営で代表取締役社長が運行管理者を兼務したが死去した
2. 運行管理者が定年を迎えてしまった
3. 運行管理者が突然、退職してしまった
などで、とつぜん運行管理者不在の状態になり、速報されてしまった…ということもあるんですよね。
運行管理者は整備管理者と異なり、年2回(3月、8月)実施されている運行管理者試験に合格しなければいけません。試験回数も少なく、かつ合格率も低い。簡単に資格を取ることはできません。
だからこそ、運行管理者が健在のうちに、余裕があれば補助者を兼ねて運行管理者の有資格者をもうひとり確保することを検討しておいたほうがよさそうです。
まとめ!
たとえ、家族経営でも夫婦(社長と社長夫人)で運行管理者試験を受験したり、息子さんも一緒に資格を取得したりするケースをよく見かけます。大変ですが、将来を見越して家族で運行管理者の資格を取得しておいたほうがいいでしょう。