休業ではなく年休の時季指定を活用することはできないの?

2019年の日本は、異常気象の影響なのか豪雨などでの被害が各地で発生しました。

たとえば、会社の施設や設備そのものには被害がなくても、運送会社は道路が寸断されれば会社休業を余儀なくされることもあるかと思います。

このような場合、休業手当の支払い負担を避けるため、使用者の時季指定により、労働者に年次有給休暇を取ってもらうことは可能なのでしょうか? ?

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1.そもそも休業手当とは?

労働基準法第26条の休業手当(平均賃金100分の60以上) を避けるために、労働者に年次有給休暇を取得してもらうことは可能かどうかの相談だけど、休業手当 は天災でも適用されるのかなぁ…

そうだね、 今回の相談内容を解説する前に、 少し休業手当についておさらいしておいたほうがいいかもしれないね。

はい!
お願いします。

休業手当は「使用者の責に帰すべき事由による休業の場合」、使用者に支払い義務があるんだけど「天災地変などの不可抗力によるもの」 については、免除されることになっているんだ。

ただ、休業の理由が単に豪雨や台風などの自然現象であるだけで「天災地変などの不可抗力によるもの」と認められるわけではないんだ。

え!?豪雨や台風だけでは認められないんですか?

ここで参考になるのは、厚生労働省の「平成30年7月豪雨による被害に伴う労働基準法や労働契約法に関するQ&A」(平成30年7月31日)で示された判断基準を参考にしてみよう。

2.道路寸断などでは不可抗力とはみなされない

判断基準では、原則として、豪雨による水害等のため「会社の施設や設備が間接的な被害を受けた場合」は認められるとされているんだけど、そのような被害にまで至らず、豪雨による道路寸断等で配送ができなくなった…では、不可抗力とまではされないんだ。

え~!
だって運送会社は、道路がなければ仕事にならないのに、不可抗力には該当しないんですか?

それはひどすぎます。

うん、気持ちはわかるよ。

そこで、争点になるのが、今回の質問にあった使用者の時季指定による「年次有給休暇」になってくるんだ。

3.労働者の意見聴取など手続きを経れば可能性あり!

「時季指定義務」は確か働き方改革関連法による労働基準法の改正で新たに設けられた法律でしたよね?

確か、年次有給休暇を10労働日以上、持っている労働者を対象に、使用者がそのうち5日について年休付与の基準日から1年以内に時季を指定して年休取得を義務付けたもの…でしたよね。(改正労基法第39条第7項)

よく知っているね!
日々の勉強の成果だね!

あ…ごめんなさい。
じつはスマホでウィキペディアを見ながら答えていました。

そ、そう。
(褒めて損したなぁ汗)

ちなみに、この新方式では、使用者が時季指定を行うにあたって1番のポイントになるのは「労働者の意見を聴取し、できるだけ尊重する」ということなんだ。

労働者の意見を尊重しない場合は、罰則があるんですか?

罰則まではないよ。

聴取した意見をできるだけ尊重するという「努力義務」にとどまっているんだ。なので、意見を聴取したうえで、それ以外の日を時季指定することは当然可能というわけだ。

つまり、労働者の意見をきちんと聴取するという手続きなどを踏めば、理論的には「使用者が年休取得日を指定して年休を付与することで一斉休業に代える」という対応ができるというわけだ。

4.労働者に年休を取らせなかった場合は?

本来なら年休を取るかどうかは、私たち労働者自身が決めることなんだけど、仕事の都合で年休が取れないんですよね。

日本全体を見ても、年休取得率が一向に改善・向上しないというのもわかる気がします。

確かにそのような背景があって、使用者の時季指定により、強制的に年休を取得させるという非常手段とも言える措置を講じることになったんだと思う。

その影響で、今回の相談のようなケースで活用できる余地ができたというわけだ。

ちなみに、年休の時季指定だけでなく、じっさいに5日有給を取得させなければ、どのような罰則があるのですか?

労働者に5日有給休暇を取得させなかった場合かい?

仮にそのようなことがあれば、使用者は法律違反で、罰金30万円以下の罰則が科せられることになっているんだ。

まとめ

今回の相談のようなケースにおいて、理論的には可能といっても、台風や豪雨など自然現象は事前の時季予測が極めて困難です。

実際にうまく活用できるかどうかとなると…難しいかもしれませんね。

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