イベントのため、会場にトラックを1か月置いているけど…問題ない?

改善基準告示において、1運行144時間以内に認可車庫に戻らなければいけないルールがありますよね。

この144時間ルールは運転者や車両すべてに適用されるのか質問がありましたのでまとめてみました。

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1.相談内容

まずは、相談内容を紹介します。

緑ナンバートラックに荷主の機材を積んだまま約1か月間の移動展示の話しがあります。展示会場は1週間ごとに変わりますので、移動は1か月間で4回を予定しており、それぞれの移動距離は50km~100kmくらいです。

荷主の機材はトラックに積んだままのものもあるため、トラックは車庫へ戻ることなく約1か月間の貸し切りとなりますが、展示会の期間中は運転手は不要なので、運転手はトラックを会場へ置いたまま公共交通機関などで会社へ戻ります。そして次の移動には、また運転手がトラックを置いてある会場へ向かい次の会場へと運転します。

144時間ルールを調べても運転手の乗務時間や拘束時間は書かれておりますが、このような場合についてはどのような扱いになるのかよくわかりません。似たようなケースでは、コンサートツアーなどのトラックはどのような扱いになっているのでしょうか。ご教示をお願いします。

ノブ先生、
この相談内容でポイントになるところは、どこでしょうか?

う~ん…。そうだね、

この相談内容では、
・トラックは車庫へ戻ることなく約1か月間の貸し切り
・運転手はトラックを会場へ置いたまま公共交通機関などで会社へ戻る。
・この場合の144時間ルールはどのように扱われる?

の3つが重要なんじゃないかな。

2.1の運行144時間ルールのおさらい

解説する前に、まず知ってもらいたいのは「1の運行144時間ルール」が通達でどのように書かれているか…ということだ。

まずは、↓の資料を見てごらん。

えーと…。

あっ!
真ん中あたりに「運転者が1の運行における最初の勤務を開始してから、最後の勤務を終了するまでの時間は144時間を超えてはならない」と書かれてますね。

そうだね。
ただ、これだけでは少しわかりづらいところがあるから、併せて、次の資料も見てほしい。

※参考資料「国土交通省HP

「一の運行」などについて解釈が書かれてますね!

この2つの資料を見ると…

運転者は、所属する営業所を出発してから、同営業所に帰るまでを「1の運行」とし、144時間を超えてはいけないということになっているんだ。

ここまではいいね?

はいっ!

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3.運転者に対するルール

ノブ先生、今回の質問では「運転手は会社に戻っているけれど、車両は会社に戻ってきていない。」ですよね。

この場合、1運行144時間ルールは適用されるのでしょうか?

タロウくん、さきほどの資料をもう一度、見てみよう。

資料では「1の運行」のことが書かれているが、かならず、その前後に「運転者が」という言葉が付いるよね?

つまり、この1運行144時間ルールは【運転者に対するルール】なんだ。

なるほど!

つまり、今回の相談は「運転者は144時間以内に営業所に戻っている」から、1の運行144時間ルール違反にならないということなんですね。

よくわかったね。
タロウくん。

ボクの出演も、最近、増えましたから!

4.運輸支局に通報されてしまう恐れあり

でも、先生。

車両に1運行144時間ルールは適用されないとわかりまし
たが、そうなると、今回の相談内容のように、車両を遠方に置いていても問題ないということでしょうか?

たしかに1の運行144時間ルールでは問題ないかもしれない。けれど、トラックを別の場所に停めていると、別の問題が出てくるんだ。

あっ!
ひょっとして、通報されるということですか?

そのとおりだ。

1か月も会場に駐車しておくと、たとえば、地域住民や同業者から「車庫飛ばしや無認可車庫への常駐の疑いあり」として運輸支局に通報されてしまい、最悪の場合、処分される恐れがあるというわけだ。

5.監査・巡回指導で無認可車庫の常駐と見られる目安は?

貨物自動車運送事業の法律では、車両をどのくらい別の場所に置けば”車庫飛ばし”とみなさるのか、その目安が記載されていません。

では、監査・巡回指導では何を目安にしているのでしょうか?

じつは、道路交通法を目安にしているようです。

車検証では、住所の変更等があった場合には、15日以内に変更しなければいけないルールになっています。

そのため、15日以上、認可車庫以外に置いていた場合(15日以内に1度も認可車庫に戻らなかった場合)、無認可車庫に常駐とみなすようにしているようです。

まとめ!

改善基準告示や今回の1運行144時間ルールは、あくまでも運転者に対するルールになります。そのため、車両は対象外になります。

その一方で、車両は、無認可車庫への常駐として扱われる可能性大です。

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