運行管理者は、選任された年度に必ず講習(一般講習もしくは基礎講習)を受講しなければいけませんよね?
ですが、ときに「〇〇のときって運行管理者の講習を受けなければいけないのかな?」と迷うケースがあります。そんなレアなQ&Aをまとめてみました。
講習を受講すべきか受講しなくてもいいのか否か、迷っている人は、ぜひ参考にしてくださいね^^
1.転勤先でも運行管理者に選任された場合
ひとつサンプルを紹介します。
A営業所で運行管理者に選任されていた田中さん。
転勤を言い渡され、B営業所の運行管理者として働くことになりました。
かんたんにいえば、↓のとおりです。
【Bさん】
A営業所(運行管理者・解任) ⇒ B営業所(運行管理者・選任)
B営業所で改めて運行管理者に選任された田中さんですが、ココでふと疑問に感じました。
「俺は、B営業所の運行管理者としては、はじめての選任だよな。前年度にA営業所の運行管理者として一般講習を受講したけれど、やはり、B営業所の運行管理者として、選任年度に一般講習を受けなければいけないのかな?」
田中さんのように、すでに選任されていた運行管理者が、転勤で新たに他営業所で選任された場合、どのような扱いになるのでしょうか?
じつは、田中さんのケースのように、営業所を異動したとしても、初めて選任届出された運行管理者ではないので、今年度の受講義務は生じません。運行管理者の一般講習受講はあくまでも2年に1回ペースという考えになります。
2.転職前に運行管理者一般講習を受講していた場合は?
転職する前に「運行管理者一般講習」を受講していた場合はどのようになるのでしょうか?
たとえば、次のようなケースです。
【Bさん】
A運送(運行管理者)
⇒ R2年4月一般講習受講
⇒ R2年6月A運送退職
C運送就職(R3年8月)
⇒ R3年10月 C運送(運行管理者・選任)
本来なら、C運送の運行管理者として選任された場合、選任された年度に運行管理者一般講習を受講するのが適当と思われますが、よく見てみると、Bさんは、1年前に前職の運送会社にて一般講習を受講しています。
仮に、前職で受講した運行管理者の受講が適用されるのであれば、R2年に受講しているので、次の受講義務は、2年後のR4年度になります。
ですが、適用されない場合は、選任された年度…
つまり、R3年度に改めて、運行管理者講習を受講させなければいけないことになります。
R3年度で受講すべきか、R4年度で受講すべきか、どちらになるのでしょうか?
…
…
答えは、選任された年度である「R3年度の受講が必要」になります。
受講が必要な理由
運行管理者の受講義務については、「貨物自動車運送事業輸送安全規則」第23条に「運行管理者として新たに選任した者」が対象と書かれています。
(運行管理者の講習)
第二十三条
一般貨物自動車運送事業者等は、国土交通大臣が告示で定めるところにより、次に掲げる運行管理者に国土交通大臣が告示で定める講習であって次項において準用する第十二条の二及び第十二条の三の規定により国土交通大臣の認定を受けたものを受けさせなければならない。
一 死者若しくは重傷者(自動車損害賠償保障法施行令第五条第二号又は第三号に掲げる傷害を受けた者をいう。)が生じた事故を引き起こした事業用自動車の運行を管理する営業所又は法第三十三条(法第三十五条第六項において準用する場合を含む。)の規定による処分(輸送の安全に係るものに限る。)の原因となった違反行為が行われた営業所において選任している者
二 運行管理者として新たに選任した者
三 最後に国土交通大臣が認定する講習を受講した日の属する年度の翌年度の末日を経過した者
そして、「運行管理者として新たに選任した者」の解釈については「貨物自動車運送事業輸送安全規則の解釈及び運用について」に次のように書かれています。
第23条 運行管理者の講習
2.「新たに選任した運行管理者」とは、当該事業者において初めて選任された者のことをいい、当該事業者において過去に運行管理者として選任されていた者や他の営業所で選任されていた者は、新たに選任した運行管理者に該当しない。ただし他の事業者において運行管理者として選任されていた者であっても当該事業者において運行管理者として選任されたことがなければ新たに選任した運行管理者とする
つまり、法人が変われば「新たに選任した者」として扱ってね…ということになっているんですね。
3.運行管理者になる前に運行管理者一般講習を受講していた場合は?
次のケースはどうでしょうか?
鈴木さんは「トラックの杜急送」で補助者として働いていました。鈴木さんは運行管理者に選任される前から、補助者として勉強のために(受講義務がなくても)一般講習を受講するなど熱心に勉強していたのですが…
仮に、この鈴木さんが、一般講習を受講した年月日と同じ年又はその翌年に選任された場合、どのような扱いになるのでしょうか?
ちょっとわかりにくいので、↓表をもとにお話ししていきますね。
【鈴木さん】
R2年度 ⇒ 一般講習を受講(運行管理者未経験)
R3年度 ⇒ 運行管理者に選任
(疑問)
R3年度は一般講習の受講義務はあるのか?
※転職等はせず同じ法人に勤めているものとする。
先ほどお話したとおり、すでに運行管理者として選任されたうえで、R2年度に一般講習を受けていれば、R3年度に他営業所にて運行管理者に選任されたとしても、選任年度に一般講習の受講義務は発生しません。(※基礎講習の受講義務がある可能性はあり。)
しかし、今回の鈴木さんのケースのように、運行管理者に選任されていないにもかかわらず、選任される前に運行管理者の一般講習(もしくは基礎講習)を受講していた場合は、どのようになるのでしょうか?
じつは、初めて選任届出された運行管理者は、当該年度に運行管理者講習を受ける必要があります。
つまり、補助者のときに講習を受けていたとしても、選任年度での一般講習の受講は必要になるというわけなんですね。
追記
では、次のケースはどうでしょうか?
運行管理者としてまだ選任されていないときに、一般講習を受けたけれど、運行管理者の選任年月日と同じ年度内だった場合です。表でまとめると↓のようなケースです。
【田村さん】
・一般講習の受講 …【R3年6月3日】
・運行管理者に選任された年月日…【R3年9月30日】
この場合は、運行s管理者に選任される前に一般講習を受講していますが「選任年度内に講習を受けている」ので問題なし―という判断になります。
【関連】
・運行管理者一般講習(2年に1度)は「年」毎の受講?「年度」毎の受講?
まとめ!
新たに選任した運行管理者の解釈は、異動と転職では大きな違いがあります。その点を間違わないようにしておきましょう。