労働者が10名以上になった場合、労働基準監督署に就業規則を届出しなければいけません。
しかし、すべて正社員であるなら届出が必要なことはわかりますが、派遣社員や契約社員を含んでいる場合、判断に迷いますよね。
さらに、繁忙期で臨時的に雇い入れ、一時的に労働者が10名以上になる場合も就業規則を労働基準監督署に届出する必要があるのでしょうか?
1.臨時的に従業員数が10名以上になった場合はどうなる?
運送会社は99%が中小企業なので「常時、使用する労働者が日頃は8名くらい。けれど、繁忙期には2~3名程度、雇って労働者が10名以上になることがある。」という場合があります。
皆様がご存知のとおり、従業員10名以上になると、労働基準監督署に就業規則を届出しなければいけませんが、この場合の対処方法はどのようにしたらいいのか迷っている人もいるのではないでしょうか?
そこで「常時、使用する労働者が10名以上」とはどのような場合をいうのか解説していきたいと思います。
常時、使用する労働者とは?
厚生労働省の解釈はどのようになっているのでしょうか?
じつは…
「常時、使用する労働者の数は、当該事業主の通常の状況によって判断されるものであること。臨時的に労働者を雇い入れた場合、臨時的に欠員が生じた場合等については、労働者が変動したものとしては取り扱わないものとあること。」
(平成25年5月 基発第0529001号等)
このように出ていますので、今回のように、使用者が繁忙期で臨時的に労働者を雇い入れたとしても、その数は、【常時、雇い入れた労働者としては扱わない】ということになります。
一方で、臨時的に欠員が生じた場合については、そのまま【常時、使用する労働者数に変動はない】という解釈になります。
2.契約社員を含めて10名以上になった場合はどうなる?
常時、使用する労働者数に含めるのは正社員のみというわけではありません。
短時間労働者(パート・アルバイト等)も含まれるので、正社員と短時間労働者を含めた労働者が常時10名以上の営業所である場合は、労働基準監督署に届出をする必要があります。
3.派遣社員を含めて10名以上になった場合はどうなる?
とある運送会社の話です。
「最近、新規開拓に成功し、業務が忙しくなったため、派遣社員を3名ほどお願いしていたのですが・・・ふと考えると、なんと派遣社員を含めると労働者が10名になっていたんです。」
代表取締役社長のAさんは、慌てました。
「確か、就業規則は10名以上で提出する必要があったよな。派遣社員を含めると乗務員は10名。就業規則を労働基準監督署に届出しなければいけないのじゃないか?」
しかも、最悪なことに適性化指導員の巡回指導が明日に控えています。・・・にも、かかわらず、労働基準監督署に行く時間がない。A社長は困り果ててしまいました。
ここで質問をまとめてみます。
会社名 ・・・ A運送 本社
代表取締役社長 ・・・ A氏
従業員 ・・・ 社員4名、契約社員3名、派遣社員3名
疑問 ・・・ 派遣社員を含めると、合計10名以上になってしまう。この場合も就業規則を労働基準監督署に届出しなければいけないのか?
このようなことに遭遇したら、あなたならどのような判断をしますか?
回答.派遣社員は含まれない
確かに就業規則の届出は、事業所の従業員数が10名以上になった場合、届出する必要がありますよね。では、派遣社員はこの従業員数に含めるのでしょうか?
答えは、派遣社員はカウントしません。
派遣先ではなく派遣元の人数でカウントすることになっています。
ただ、契約社員や出向社員などは、従業員数にカウントされるので、気をつけなければいけません。
まとめ!
Aさんは適性化指導員の巡回指導で、就業規則の届出について、とくに指摘を受けることはありませんでした。ただ、就業規則は会社を運営していくうえで、トラブル回避のためにも作成・届出しておいたほうが無難です。