先日、知り合いの運転手と話をする機会がありました。前からお世話になっている方で、いつものとおり、気さくに話しかけてくれる気のいい人です。
そんな彼から、ちょっと神妙な面持ちで質問を受けました。
「俺、10年前くらいに運行管理者資格者証を取得したけれど、講習にも行ったことないし、そもそも運行管理者として選任されたこともない。もう、資格は失効されているかな?」
確かに私の持っている資格の中にも、更新するための講習を受けなければ失効する資格もあります。だから、知り合いの運転手の疑問は至極当然のことだと思います。
では、運行管理者資格者証はどうでしょうか?
失効することはあるのでしょうか?
1.資格者証が失効することはない
答えから先に言うと…
「年数が経過することで、自然に運行管理者の資格を失うことはない」です。
つまり、運行管理者講習を受けなければ、資格が持続できない…というわけではないのですね。
ただし、永遠に資格が持てるわけではありません。
貨物自動車運送事業輸送安全規則第26条第2項に次のように記載されています。
資格者証の交付を受けている者が死亡し、又は失踪宣告を受けたときは、戸籍法(昭和22年法律第224号)による死亡又は失踪宣告の届出義務者は、遅滞なく、その資格者証をその住所地に管轄する地方運輸局長に返納しなければならない。
このようになっています。
「永遠でない」と言っても、死去したら失効すると書かれてある程度です。私も運行管理者資格者証を取得していますが、墓場まで資格を持っていくつもりはありません^^
ご遺族が返却の督促を受けることもない
ただ、気になることは、安全規則では【返却しなければいけない】と記載されていますよね。
でも、現実問題、亡くなった運行管理者のご遺族はこの法律を知りませんので、「亡くなった運行管理者資格の返却手続きはされているの?」と思いますよね?
実際には、遺族が資格を返却しているケースはありません。
国も亡くなられた遺族のことを考えて督促してまで返却を促したりしてはないようです。
お役所仕事ではなく、このような無言の配慮してくれるのは嬉しいですね。
(トラブルを避けているだけかもしれませんがw)
2.解任届出のときに資格者証を求められることがある
ですが、まったく国が返却を求めてこないということはありません。
たとえば、運行管理者の変更届出や解任届出のときです。
仮に運行管理者Aさんが死去して解任(変更)届出をするとき、届出の解任(変更)の理由欄を「死去」にしてしまうと、支局の窓口の担当者から「亡くなった運行管理者の資格者証を返納してください。」と求められることがあります。
そのため、行政書士の中には、わざわざ死去した方の運行管理者資格者証を添付したくないために、解任(変更)理由を「死去」と書かずに「退職」と書くケースもあるようです。
死去による退職なので、別に嘘を書いたわけでもありません。
ちょっとした裏技のようなものですね。
3.失効はなくても国から返却命令があることも
時間が経過して資格者証を失効しなくても、法律違反をしたり、法律違反をするような命令をしたりすると国土交通大臣が運行管理者資格者証の返納を求めることがあります。
参考:貨物自動車運送事業法第20条
国土交通大臣は、運行管理者資格者証の交付を受けている者がこの法律若しくはこの法律に基づく命令又はこれらに基づく処分に違反したときは、その運行管理者証の返納を命ずることができる。
酒酔い運転や酒気帯び運転、薬物等使用運転、無免許運転等、資格者が違反行為を命令したり、自ら行っていたりするなどあった場合などがあげられます。
これも詳しく書くと長くなるので、時間があるときに、運行管理者資格者証の返納命令について書いていきますね。
まとめ!
資格を取得してから、10年何も講習等受けなくても、資格は失効されることなく有効です。たとえ、資格者証を紛失したとしても、運輸支局の整備部門で手続きを行えば、再発行の手続きができます。
なお、運行管理者の再発行の手続きについても、今後のブログ記事のなかで紹介していきたいと思います。