- 「巡回指導の通知文書が届いたがどうしたらいいの?」
- 「どのように対処したらいいのかわからない」
- 「行政処分とかあるの?」
- 事業報告書・事業実績報告書などの提出方法
- 乗務員に対する教育
- 運行管理と整備管理
以前は運輸開始してから6か月以内に巡回指導が行われていましたが、いまは運送業の許可を得た後、運輸開始してから3か月以内に実施されています。
これは、国土交通省の通達で決められているので、特別な事情がない限り、運輸開始後3か月以内に来るのは間違いないでしょう。
過去に、運送会社に勤めていて巡回指導を経験したことがあれば、対応法も含めて理解していると思いますが、はじめて立ち会うとなると、どのようなものかわからず、戦々恐々としているかもしれませんね。
そこで、今回は、運輸開始した後に行われる巡回指導はどのようなものか解説していきたいと思いますので参考にしてください。
1.充分に対策できる
不安に感じている運送会社もチラホラあって、Yahoo!知恵袋にも似たような相談内容がありました。
業態柄、現金での受け取り等はなく、出納帳等はありません。又、総勘定元帳一本での管理を行っている為、経費明細や入出勤伝票等の帳票は使用しておらず、出せる帳簿が総勘定元帳しかありません。
弊社は一期目を2月に迎えたばかりなので、前年度分は2月迄の総勘定元帳しかありません。今期についても、今月分の元帳はまだ完成しておらず、来月指導が来ても先月分の元帳が出せるかわかりません。
又、許可がおりたのも今期に入ってからなので、前期の元帳では運送にかかわる売り上げはおろか、経費等も記載はありません。
以上のことから、経理処理についてどこまで踏み込んだ話になるのかわからないことと、帳簿がどこまでみられるのか、指導自体が初めての事なので不安に思っています。その他運送に関わる帳票(点呼記録や、点検記録簿等)については完備しているつもりです。
慌てる必要なし
運送会社を始めるのは、簡単なことではありません。
はじめての経営でドタバタしている中での「巡回指導の通知」。
しかも、運輸支局から依頼を受けた適正化指導員が帳票類の管理をしているか訪問すると言われたら、正直、迷惑でしかありません。
ですが、法律で決まっている以上、選択の余地はありませんよね。
大丈夫です。
多くの運送会社が同じような悩みを抱えています。
なかには、不安のあまり、行政書士の先生と契約し、巡回指導に立ち会ってもらう会社もありますが、そこまでしなくても問題なく対応できます。
巡回指導は、処分ありきの行政監査とは異なります。
事前に訪問日時を通知文書で知らせしてくれますし、閲覧する書類一覧も添付されているので、対策は充分にできます。
【参考】
・運送業の巡回指導の対策とポイント!
2.帳票類はどのくらい見られる?
適正化事業実施機関は、貨物自動車運送事業法に基づき、創設された機関です。
経理関係よりも運行管理や整備管理、改善基準告示を中心に帳票類を見られます。
経費明細や入出勤伝票、総勘定元帳なども準備するよう求められるかもしれませんが、名義貸しなど重要な違反を疑われない限り、基本、見られることはありません。
適正化指導実施機関の指導員によると「巡回指導は、全日本トラック協会が作成した統一マニュアルに基づき、指導を行っている。そのため、多少、地域差や指導員の質によって見方は変わるものの、原則、同じである。」と回答をいただきました。
私が立ち合いをした過去の巡回指導では、総勘定元帳などの経理に関する書類を見られたことはありません。
つまり、あなたの運送会社でも同様に、総勘定元帳を確認される可能性は低いと思っていいです。
ただし、経理の帳票類のなかで「賃金台帳」だけは確実にみられます。
社会保険と雇用保険の加入状況の調査の際、社会保険の領収証、概算申告書のほか賃金台帳の提示を求められました。
経理関係は以上で、基本的には、点呼記録簿や運転日報、運転者台帳など、事業法に係る帳票類を提示できるよう準備しておくことが重要です。
3.運輸開始してから1回目の巡回指導は説明がほとんど
巡回指導は法律で定められているため、定期的に対応しなければいけません。
だからといって厳しい指導が待っているのかと言えばそのようなことはないので安心してください。
もちろん、輸送秩序を乱したり、輸送の安全を確保できない運送会社は、厳しい指導が待っていることでしょう。
ですが、まだ運輸開始してから3カ月程度です。
人間でいえば、生まれたばかりの赤ん坊の状態と言えます。
当然、右も左もわかりません。
いきなり、完璧に管理することは困難です。
(※もちろん、できた方がいいですが汗)
適正化事業実施機関もそのことを承知しています。だから、2年に1度の巡回指導よりも親切・丁寧に教えてくれました。
今後、行わなければいけない帳票類はとくに丁寧に教えてくれた
運輸開始してから3か月以内に訪問するということは、これから実施しなければいけないこと…
例えば、
などは、特に丁寧に教えてくれた印象でした。
たとえ、あなたが知識不足があったとしても、厳しい口調で注意を受けることはありません。
マニュアルや記入例を用いて説明した後、様式を配布してくれたので、運送会社としては、明日からでも取り組む環境を整えてくれました。
ある意味、至れり尽くせりの状態ですね。
なお、巡回指導でお話をお伺いしたところ、巡回指導の総合評価(取り組みに対する評価)の付け方は、全国で統一されているようなのですが、サービス(マニュアル・様式の配布など)については一律ではありません。
なので、若干「違うじゃないか!」と思う都道府県もあるかもしれません。
…とはいえ、私は、過去に複数の都道府県の巡回指導に立ち会ったことがありますが、どの指導員も穏やかで、輸送の安全に取り組む姿勢を見せれば、懇切丁寧に教えてくれます。
恐れるよりも、学ぶ姿勢で臨むことをオススメします。
4.無認可移転などについては厳しい
「巡回指導を軽視しても大丈夫。」と言っているわけではありません。
何も帳票類がそろっておらず、総合評価”E”の判定をされると、今後の運営に支障が出ますし、最悪の場合、行政監査になってしまいます。
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また、本来、運輸支局に届けなければいけないことをしていなかった場合も厳しく見られます。
たとえば、運輸開始してすぐにもかかわらず、営業所や車庫が許可された場所から”勝手に移転”して、無認可で経営していた場合などは、厳しい指導が行われます。
巡回指導は、法令違反を教えてくれる、または”気付き”を得られる時間ですが、自身でやれることは、精一杯、行うことが重要です。
まとめ!
巡回指導で見られる項目は「運送業の巡回指導のポイントと対策!」にまとめています。
巡回指導の通知が来たら、事前に帳票類をチェックして、見落としがないかどうかもういちどチェックしておいたほうがいいですよ。
また、適正化指導員が指定した帳票類をすぐに提示することができれば、予定の時間よりも早く終わることが多いです。
だから、通知文書に書かれてある帳票類を机の上にまとめておくといいです。