適性診断には、義務診断以外に一般診断がありますが、ときに「一般診断は3年に1回受診しなければいけないのではないか?」という質問をいただくことがあります。
確かにYahooの検索ワードでは「一般診断」と一緒に「3年に1回」を加えて検索している人もいます。それだけ運送会社の中には「一般診断は3年に1度受診が必要」と感じている人が多いということなのでしょう。
ただ、本当に一定の間隔ごとに一般診断などを乗務員に受診させなければいけないのでしょうか?
1.一般診断は3年に1回受診しなければいけないか?
適性診断を実施している機関として有名なのは「自動車事故対策機構」ですが、この事故対のHPを見ると…
義務診断は、初任診断・適齢診断・特定診断。
任意診断は、一般診断
※3年に1回受診することが望ましい診断
というように紹介されています。
では、この一般診断。
法的に3年に1回受診しなければいけないのでしょうか?
…
…
答えは、法的に”必要ない”です。
つまり、行政監査や巡回指導で一般診断が未受診だとしても、とくに指摘されることはありません。
2.3年に1度の受診が義務のように広まったのはなぜ?
一般診断の受診はあくまで”任意”です。
任意ということは、受診しても受診しなくてもOK。
運送会社の判断にお任せします…ということになります。
これは昔から変わっていません。
それなのに、なぜ冒頭に話したように「3年に1回、受診しなければいけない」という認識を持った運行管理者の方がいるのでしょうか?
適性診断に義務診断が新設されたときに遡る
それは平成13年9月1日にさかのぼります。
当時、一般診断と特別診断に加え、適性診断の初任診断など4つの診断が新設されました。
そして、適性診断が新設された翌年の平成14年に国は「自動車事故対策センター等における適性診断及び指導講習の活用について」において次のように案内をしています。
適性診断の義務診断の対象者以外について、一般診断を「定期的(3年毎)に受診させること」と書かれています。これだけ見ると一般診断を受けさせなければいけないようにも見えます。
ただし、①に書かれているように一般診断は義務ではありません。
3年に1度受診するよう努めること…になっているため
この通達の本文書をしっかり見ると…
「適性診断及び指導講習を活用し、事故防止に努めるよう併せて関係機関には指導して欲しい」
と書かれています。
もう一度、↓を見ると…
(1)一般診断
義務による受信者以外の運転者…
というように、一般診断について「義務による受診者以外」という表現を使っているため、任意であることがわかります。
さらに、先ほどの本文により、一般診断は義務の対象ではないけれど、適性診断を扱う関係機関は、事故防止のために「一般診断を定期的に受診するよう(運送会社に)指導したり案内するなど努力してね。」と言っているわけです。
そのため、法律上では任意なのですが、国の通達どおり、関係機関は「適性診断は3年に1回受診して欲しい。」と案内したため、当時からいる運行管理者は「3年に1回受診させなければいけない」「当時はそうだった」という発言に繋がった…のではないでしょうか。
3.法的に義務ではないが、積極的に活用している運送会社は多い
積極的に定期的に一般診断を受診させている運送会社があるのは、第一の理由として”事故防止”のためだと思われます。やはり、適性診断は、”運転の交通事故を起こす悪いクセ”を振り返ることができる大事な材料です。
しかも、トラック協会の助成金制度のおかげで、一般診断は無料で受診することができます。
そのため、閑散期において、教育の材料として使用しているところも多いのです。
さらに指導監督指針12項目における安全会議の資料の材料であったり、Gマーク申請に必要になるため、定期的に活用している運送会社はたくさんあります。
まとめ
一般診断が3年に1回、定期的に受診しなければいけない(義務)になっているかと言えば、答えは”No”になりますが、事故防止のため、運送会社で活用しているところが多いです。
なかには、運転者を納得させるため、定期的に受診することは「決まっている。」とお話しているところもあるかもしれません。
ただ、適性診断は事故防止に役に立つ大事なツールになりますので、運転者側も管理者の意図を理解したうえで、協力していきましょう。