一般貨物自動車運送事業では、事業法に基づき、車両総重量7t以上または最大積載量4t以上の事業用事業者は、運行記録計(デジタコ)の装着が求められています。(2017年4月1日より)
ディーラーから購入する場合は、特に問題ないかと思いますが、ときに、機器を販売している営業の方から勧められた機器が、法的に問題がないかなど不安になることもあるでしょう。
この記事では、運行記録計と保安基準について詳しく解説し、違反を防ぐためのポイントをお伝えします。
1. 運行記録計の役割と法的義務
運行記録計の法律はどのようになっているのでしょうか。
まず、貨物自動車運送事業輸送安全規則 第8条2に”運行記録計”について、どのような性能を持った機器であればいいのか書かれています。
道路運送車両の保安基準(昭和二十六年運輸省令第六十七号)第四十八条の二第二項の規定に適合する運行記録計(以下「運行記録計」という。)
ここに記載されているとおり、”保安基準”第47条の2第2項の規定に適合すればOKと書かれています。
”保安基準”第47条の2第2項の規定
前項各号に掲げる自動車に備える運行記録計は、二十四時間以上の継続した時間内における当該自動車の瞬間速度及び二時刻間の走行距離を自動的に記録することができ、かつ、平坦な舗装路面での走行時において、著しい誤差がないものとして、記録性能、精度等に関し告示で定める基準に適合するものでなければならない。
つまり、この2つの法律に沿った運行記録計であれば「問題ない」との判断になるはずです。
2. 通信型ドライブレコーダーをデジタコ代わりに使う場合の注意点
では、次のパターンではどうでしょうか?
私の知り合いの運送会社から「とある営業マンから提案された機器(ドライブレコーダーに通った地点や日時を記録できるもの)があり、それをデジタコの代わりに使用していたが問題ないのか?」という相談がありました。
商品のHPを見ると、通信型ドライブレコーダーは、運行記録計のように走行データを記録する機能を備えています。
近年では、この運送会社以外にも、多くの事業者に導入されているようですね。
しかし、通信型ドライブレコーダーを運行記録計の代用として使用しても良いのでしょうか?
3. 運行記録計と保安基準の関係:認定の必要性とは?
私では判断がつかなかったので、直接、運輸支局に聞いてみることにしました。
Q:運行管理計に使用できる機器とはどのようなものか?
A:保安基準に則ったものであればどのようなものでも差し支えない。
以上の回答でした。
簡単にまとめると…
国土交通省から認定を受けていない機器であっても、保安基準に適合していれば問題ないとされていますが、詳細は国土交通省の基準書を確認することをおすすめします。
なお、国土交通省が問題ないか否か確認する場合は、次に紹介する「道路運送車両の保安基準の細目を定める告示」を参考に判断するそうです。
➡以下の保安基準リンクをご確認ください。
保安基準全文はこちら(国土交通省)
ポイント!
国土交通省が定める「道路運送車両の保安基準」では、記録装置が一定の基準を満たしていれば認定機器でなくても問題ないとされています。
しかし、保安基準を満たしていない機器を使用する場合、本人が大丈夫だと判断しても、実は、満たしておらず、行政処分の対象となる可能性があるため、注意が必要です。
4. 通信型ドライブレコーダーを選ぶ際のポイント
通信型ドライブレコーダーを運行記録計の代用として導入する場合、機器選びは慎重に行いましょう。以下は、選ぶ際のポイントです。
- 保安基準に適合しているか確認する
機器が記録すべきデータ(速度、運行時間、休憩時間など)を正確に取得できるか確認しましょう。 - サポート体制が充実しているか
データの管理や運用サポートが充実しているメーカーを選ぶことで、トラブル時も安心です。 - コストと運用メリットのバランスを考える
通信型ドライブレコーダーは、リアルタイムでのデータ送信やAI解析が可能な製品もあり、従来のデジタコにはない利便性を提供します。事業規模や予算に応じて適切な機器を選定しましょう。
まとめ
運行記録計や通信型ドライブレコーダーの選定は、事業運営の効率化や法令遵守に直結する重要なポイントです。
国土交通省の認定を受けていない機器であっても、保安基準に適合していれば使用可能ですが、記録するデータが不十分な場合は違反となるリスクがあります。
事業者としては、基準をしっかり確認し、信頼性の高い機器を導入することが重要です。
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