配車係と運行管理者の違いとは?

運送会社で働き始めたばかりの人やこれから「運送会社で働きたい」と思っている方が、インターネットや求職誌などで運送会社を調べていくと「配車係」「運行管理者」というワードをよく目にすることがあります。

「配車係と運行管理者の仕事はどのような違いがあるの?」
「前の運送会社では、違いはなかったけど…」
「イマイチ、違いが分からない…」

運送会社ですでに働いている人でも混同されがちな「配車係」と「運行管理者」。

今回の記事では、「配車係」と「運行管理者」の違いを、現在、運送会社で運行管理者として働いている私がご説明させていただきます。

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1.配車係とは?

どこの運送会社にも必ずと言っていいほどいる「配車係」

この配車係の主な仕事は、取引先から依頼される様々な仕事を各運転手に割り振る仕事になります。

依頼された仕事を、運転手の技量や資格またスケジュールなどを考慮し適材適所に人員を割り振っていく仕事になります。

会社によっては、仕事の窓口業務も兼ねており、営業の仕事も同時にやられている方もいます。

毎日、電話やメールを使い取引先や担当者の方と連絡を取り合いスムーズに運行ができるよう、取引先と運転手とのパイプ役のように日夜連絡を取り合うことも大切な仕事内容です。

2.運行管理者とは?

運行管理者とは国家資格の「運行管理者資格」を持っており、なおかつ会社から選任されている人の事を言います。

運送会社は大小関わらず、必ず運行管理者が必要になりますし、運行管理者の必要人数は会社の所有台数によって決まります。

運行管理者の仕事は、日々の運行が安全に行なわれるよう指導管理することーです。

労働時間の管理から運行が安全に行なわれるよう運転手の体調確認、休憩施設の管理まで運送会社に幅広く携わる仕事になります。

3.2つの仕事の大きな違い

ここからは2つの仕事の違いを比較しながらご説明させていただきます。

まず一つ目の大きな違いは「国家資格が必要か否か」

配車係の仕事は誰にでもなれる仕事です。
配車係というのは係名であり資格や経験がなくても仕事には問題ありません。

しかし、運行管理者は誰にでもなれる訳ではありません。

毎年2回行われる国家試験に合格し、会社側から選任してもらえなければ運行管理者にはなれません。

また、受験資格には1年以上の実務経験か実務経験同等の講習を受けることも必要ですし、選任後には定期的に講習も受けなくてはなりません。

役割の違い

配車係と運行管理者は根本的な役割が違うことは理解できたでしょうか?

配車係は日々の仕事が円滑に進むように運転手へ的確な指示を行なう仕事に対し、運行管理者は配車係が行なっている運行が労働基準に適性であり、安全に行なわれるように指示ができているのかを監督する事が仕事になります。

4.運送会社での現状

では、なぜ実際に働いている人でも混同してしまうようになるのでしょうか?

それは、ほとんどの会社の運行管理者が配車係を兼務している人が多いからだと私は思います。

実際の仕事中に、なにも分かっていない無知な配車係が配車をした後に、運行管理者が手直しをして運転手に指示をするという2度手間を行なっている時間はあまりにも無駄すぎます。

そのような無駄を省く為にも、多くの会社が運行管理者が配車係を行なっていることが多いです。

その為、「運行管理者=配車係」という事が詳しく知らない運転手などに認知されているのだと思います。

配車係の苦悩

ここからは配車係と運行管理者の苦悩について書いていきたいと思います。

まずは配車係の苦悩です。

配車係は現場の運転手と管理職の運行管理者や、運転手と会社との板挟みになることがしばしばあります。

現場を円滑にまわすために頭を下げ、運転手に多少の無理を聞いてもらわなくてはならないこともありますが、その際に労働時間の超過や休憩時間・休息時間の減少などといった問題に直面した場合には、運行管理者にも指導を受けることもあります。

余裕を持った運行のスケジュールを最初から組めればいいのですが、なかなか上手くいかないことが多く、さらに2024年から始まる「物流2024年問題」以降はさらなるタイトなスケジュール調整が配車係には求められてくるでしょう。

運行管理者の苦悩

続いては運行管理者の苦悩についてです。
運行管理者の苦悩はまさしく先に出ました「2024年問題」です。

かつての運送会社は、寝る時間を惜しんで走れば走るだけの給与が伴う仕事でした。

しかし、事故の増加や過労死の増加に伴い、労働基準が明確化され、また働き方改革による労働時間の制限などにより今までのような思うような走りはできなくなっています。

このような法定労働時間の制限や時間外労働の制限などの違反が無いように会社内を管理しているのが運行管理者であり、もし違反している実態があった場合は、運行管理者の責任問題になることが多いようです。

その為、運行管理者は基準や制限内に収まるよう配車係等に指示を出し運行を行なうのですが、現場との連携が上手くとれていなかったり、会社との意見交換が上手くできていない場合には、想像どうりには物事がうまく運べず精神的苦痛を負うこともあると思います。

5.私が考える最良の配車係や運行管理者へのなり方

ここまでは、配車係と運行管理者の違いについて書いてきましたが、ここからはどうやればこの2つの職業に就けるのかを説明させていただきます。

また、実体験を元に最良のステップアップ方法もお教えします。

まずは「現場を知る」ことが最優先だと私は思います。
ーなので、1番最初に運転手になることをおすすめします。

会社によっては管理職にそのまま採用という会社もあるとは思うのですが、やはり現場の楽しみや苦労などの日常を同じ目線に立って経験することがとても大事な事だと私は思います。

そして一通りの仕事を経験した後に、配車係としてスケジュール管理や社内全体の動きを知ることをおすすめします。

これまでに現場で培った知識等を生かし、運転手目線での配車ができれば運転手からの信頼の厚い配車係になれることでしょう。

ここまでくれば、後は運行管理者資格を取得するだけです。

資格を取得し、さらに広い視野で会社全体を把握し運転手が働きやすい環境を日々作っていく事が大きな仕事になってきます。

徐々にステップアップをしていくにつれて様々な問題や障害がでてくるでしょう。しかし、どんな時も運転手の気持ちを知っていることで運転手目線での考えができるので、運転手に寄り添った選択ができると私は思います。

そうすることで運行管理者を中心に1つの大きなチームが徐々に出来上がり、一致団結し統率のとれている運送会社は社外からの信頼も厚く割合のいい仕事を多く獲得されているように私は思います。

6.似ているようで少し違う視点の仕事

2つの仕事の違いやなり方などを説明させてもらいましたがいかがでしたでしょうか?

「配車係は運転手というチームの司令塔的役目の仕事」
「運行管理者はチームの指揮をとる監督的役目の仕事」

この2つは運送会社にとってはなくてはならないポジションです。

「2024年問題」以降は運送会社にとってさらに重要なポジションになることは間違いないと思います。

運送会社を良くするも悪くするもこの2つの役職次第と言っても過言ではないと思います。その為、将来、運行管理者資格は今以上に重要な資格になっていく事でしょうし、取得も年々難しくなっていく事でしょう。

資格取得が難しくなり、資格所有者が減少すれば必然と給与なども上昇していくハズです。

2つの仕事の違いをよく理解し、就職や目標に役立てていただければ幸いです

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