処分を避ける!雇い入れ時の健康診断の受診のタイミングについて徹底解説!

トラック運送会社は新たに労働者を雇い入れたら、「雇い入れ時の健康診断」を実施しなければいけません。そのため、巡回指導や行政監査でも雇い入れ時の健康診断が実施しているか否か、確認されます。

ただ運送会社としては、雇い入れ時の健康診断は、どのタイミングで行えばいいのか、どのような内容なのか―などイマイチわからない担当者も多いのではないでしょうか?

そこで、今回は「雇い入れ時の健康診断」について解説していきたいと思います。

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1.雇い入れ時の健康診断のタイミングはいつ?

雇い入れ時の健康診断については、労働安全衛生規則第43条に次のとおり記載されています。

第四十三条
事業者は、常時使用する労働者を雇い入れるときは、当該労働者に対し、次の項目について医師による健康診断を行わなければならない。ただし、医師による健康診断を受けた後、三月を経過しない者を雇い入れる場合において、その者が当該健康診断の結果を証明する書面を提出したときは、当該健康診断の項目に相当する項目については、この限りでない。

「常時使用する労働者を雇い入れるとき…」なので、事業主は労働者を雇い入れる直前または直後に行わなければいけないと解釈になります。

ただし、これでも受診させるまでの期限が曖昧です。

そのため、運送会社としては、定期健康診断が直近で実施される場合、「できれば、(雇い入れ時の健康診断)を定期健康診断と一緒に受診させたい…。」などの迷いも生じてくることでしょう。

そこで、いつまでに雇い入れ時の健康診断を受診させればいいのか、労働基準監督署と適正化事業実施機関に質問してみました。

2.労働基準監督署の見解

雇い入れ時の健康診断については、先ほど紹介したように「雇い入れ前後に健康診断を受診させなければいけない。」ことが原則です。(通達(昭23.1.16基発第83号、昭33.2.13基発第90号)「雇入れの際とは、雇入れの直前又は直後」)

しかし、明確な期限が設定されていないため、労働基準監督署によれば「入社した後、すぐに定期健康診断を受診させたのであれば問題ない。ただ、どのくらいの期間までに定期健康診断の受診をすれば問題ないのか明確にできない。」との回答でした。

また、雇い入れ時の健康診断を都合よく先延ばししてしまうと「新入社員の診断結果を知らずに、重労働に従事させ、仮に不幸な事故が発生した場合、会社の責任が問われるので注意して欲しい。」とのことでした。

つまり、入社してからすぐに健康診断を受診させていなくても、臨検等ですぐ処分されるかと言うとそうでもない(ケースバイケースで判断)そうです。ただし、事故等が起きれば、民事裁判でも行政監査でも会社の管理の在り方について厳しく問われる―ようですね。

以上から、やはり乗務員が入社してきたら早急に健康診断を受診させた方が良さそうです。

3.適正化実施機関の見解

適正化事業実施機関は、雇い入れ時の健康診断について、どのような目安で判断しているのか問い合わせてみました。

やはり、労働安全衛生規則第43条を基に「雇い入れ前後で行って欲しい。」との回答でしたが、適正化事業実施機関の巡回指導では「雇い入れてから、1か月以内に実施しているか否か」がひとつの目安になっているようです。

ただし「1か月以内での実施」には法的根拠がないので、あくまでも巡回指導において適否をチェックするための目安-だそうです。

4.雇い入れ時の健康診断の診断項目は?

雇い入れ時の健康診断の診断項目は、全部で11項目あります。

この11項目について、医師による健康診断を行うことになるのですが、例外として、以前、勤めていた会社で3か月以内に健康診断を受診していて、その人が医師による健康診断の証明書を提出したときには、改めて健康診断を実施する必要はないことになっています。

5.雇い入れ時の健康診断を受診したら、次はいつ受診すればいい?

雇い入れ時の健康診断を受診したら、次はいつ受診したらいいのでしょうか?

じつは、労働安全衛生規則第44条3項において「雇い入れ時の健康診断を実施したら、実施日から1年間は定期の健康診断を省略できる」ということになっています。

つまり、雇い入れ時の健康診断を受診してから、1年以内に、定期の健康診断を受診すればOKということになります。

6.雇い入れ時の健康診断の費用は会社?自己負担?

雇い入れ時の健康診断の必要について「自己負担」をお願いしている会社もありますが、実際は、会社が負担すべきなのでしょうか?それとも個人の自己負担でも問題ないのでしょうか?

この件について、厚生労働省は「会社が健康診断の費用を払うこと」と明記した通達(基発第602号)を昭和47年に出しています。

したがって、事業主は雇入れ時および定期に実施する健康診断の費用は「原則として、会社が負担しなければいけない」ことになります。

Q&A

Q1.運送本社からグループ会社であるB運送本社に勤務することになった。この場合、雇い入れ時の健康診断は必要あるのか?

A1.グループ会社といえども、別法人なので、直近3カ月で健康診断を受診していなければ、雇い入れ時の健康診断を実施する必要がある。

Q2.出向の場合、出向元が実施するのか?出向先が実施するのか?

A2.出向元になります。

Q3.派遣社員の健康診断は、派遣先が行うのか?派遣元が行うのか?

A3.派遣の健康診断については、こちらの記事にまとめていますので、参考にしてください。

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