拘束時間の解釈については、社内で認識のズレが生じてしまうことがけっこうあるようです。当運営部にも、何度か担当者同士で話し合いをした結果、答えが出ず、最終的に当方に質問をしてくる事業所もあるくらいです。
さて、これから紹介する内容は、トラック運転手と運行管理者がとある運行内容について拘束時間に問題がないかどうか話し合って結論が出なかった例になります。
面白い内容でしたし、役立つ情報になると思ったので、私なりに解説していきたいと思います。なお、見落としなどがありましたら、コメント欄に書いていただければと思います^^;
1.迷いを生んだ運行内容とは?
それでは、運送会社を迷わせた運行の事例を見てみましょう。
3月1日 乗務開始 7:00
3月1日 乗務終了 13:00
3月1日 乗務開始 21:00
3月2日 乗務終了 2:00
3月2日 乗務開始 8:00
3月2日 乗務終了 15:00
いかがでしょうか?
この運行内容を見て、改善基準告示違反になるでしょうか?ならないでしょうか?
一緒に考えてみてくださいね。
2.1日の始業時間は出勤してから24時間
それでは、解説していきます。
まず、おさえておきたいのは、トラックの1日は出勤してから24時間ということ。(参考「日付をまたいだ勤務の場合は両日出勤扱いになるの?」)
まず、ココはおさえておかなければ話は進みません。
ちょっと、イマイチよくわからないという人は↑の参考を見ておいてくださいね。
…で、運行内容をふつうに見てみると、3月1日は、7:00から始まり、3月2日の2:00で終わりのように見えててしまいます。すると、この区間の拘束時間は、19時間で改善基準告違反になってしまいます。
でも、本当に19時間なのでしょうか?
3月1日 7:00 ~ 13:00
3月1日 21:00 ~ 3月2日 2:00
このようにして分けると改善基準告示違反に見えません。では、どちらが正しいのでしょうか?
その答えは…「これだけでは判断できない」です。
「え…?」「適当なことを言いやがって!」と思ったかもしれません。でも、運輸支局に同じ質問をしても同じ回答になるはずです。では、なぜそのような答えになったか説明します。
3.すぐに判断できない理由
なぜ「これだけで判断できない」という回答になるのか…簡単に言えば、点呼記録簿がないからです。
これは、けっして私だけの意見だけではなく、巡回指導や行政監査においても、さきほど紹介した情報だけで判断せずに、点呼記録簿・運転日報などを照らし合わせながら総合的に判断するはずです。
それは、なぜか⋯?
…
解説します。
「3月1日7:00に乗務前点呼、3月2日の2:00に乗務後点呼」になっていると、拘束時間は19時間のように見えます。けれど、点呼記録簿を見てみると、分割休息になっていたらどうでしょう?
「3月1日7:00に乗務前点呼、3月2日の2:00に乗務後点呼」であったとしても、改善基準告示違反にもならずにきちんと成立します。
では「3月1日 7:00~13:00、3月1日 21:00~3月2日 2:00」で区切るのが間違っているのか?…というと、この区切りでも問題ありません。
つまり、1日のうちに、複数、休息があった場合、どこで区切るのか…については事業所に選択権があります。だから、行政は運転日報だけでなく、点呼記録簿も含めて見たうえで行政は判断するし、日報だけで判断できないから、点呼記録簿を見るのです。
4.翌日の内容も同じ考え方
3月2日も同じ考え方です。
乗務終了が2:00で、出勤が8:00なので、6時間しか休息時間がありません。通常なら改善基準告示違反です。
けれど、先ほどと同じように、点呼記録簿を見たとき、分割休息などの特例を活用していれば、違反になりません。
5.拘束時間の重複も考えた区切り方を!
今回のサンプルでは該当しないのですが、1日2運行あるときは、区切り方には要注意です。(後日、詳細を紹介していきたいと思います。)
乗務後点呼を早く執行した場合、拘束時間が重複する区間が長くなり、労働時間は短いにもかかわらず、1日の最大拘束時間16時間を超えることもあるのです。
まとめ
勢いで書いたところもありますので、時間があれば少しずつ加筆していきたいと思います。