2024年4月から改善基準が改正されることに伴い、
「トラック運転手の連続運転はどのように変わったのか?」
「運転の中断時間についてよくわからない」
など、戸惑うことが多いかと思います。
連続運転の大枠に変更はないのですが、細かい点になるとわからない・気になる点が多いと感じている人も多いと思いますので、今回は、2024年4月改正の「連続運転」について解説していきたいと思います。
[quads id=1]1.国が考える連続運転の基本とは?
トラック運転手が、どのくらい連続して運転しても問題ないのか―
全ト協発行のマニュアルや労働基準監督書の冊子等では、次の4点がポイントになると書かれています。
① 運転開始後、4時間まで運転可
② 運転の中断は、おおむね10分以上/回で、計30分以上の休憩等が必要
③ SA・PA等に駐停車できないなど、やむを得ない場合、4時間30分まで延長可
④ 運転の中断は、原則として「休憩」
原則、いままでどおり、運転を開始してから最大4時間まで運転でき、休憩などを30分以上、確保すればOKということになります。
ただし、30分以上連続して休憩等を取る必要はありません。
1回あたりおおむね10分以上、運転から離れていれば運転の中断に該当します。つまり、分割しても計30分以上確保していれば問題ないというわけなんですね。
運転開始後、4時間以内又は、4時間経過直後に運転を中断して、30分以上の運転の中断が必要です。
休憩等なので作業も含まれる
運転業務から離れていれば、たとえ、休憩でなくても、運転以外の業務。
たとえば、倉庫業や附帯業務をしていてもカウントされます。
運送会社の担当者から、連続運転した後、かならず30分休憩を与えなければいけないのか質問を受けることがありますが、休憩は、
「労働時間が 6時間を超え、8時間以下の場合は少なくとも45分 8時間を超える場合は、少なくとも1時間の休憩を与えなければならない」
(労働基準法第34条)
↑を守れば問題ありません。
つまり、「30分以上の休憩等の確保」は、休憩もしくは、運転以外の業務を30分以上、確保すれば問題ないという解釈になります。
2.過去の試験から学ぶ!
実際に運行管理者試験の過去問に「連続運転」が何度も出題されています。
今回は「平成27年度 第1回の運行管理者試験問題」の問22を参考に「連続運転」について解説してきます。
問22
下図は、貨物自動車運送事業に従事する自動車運転者の運転時間及び休憩時間の例を示したものであるが、このうち、連続運転の中断方法として「自動車運転者の労働時間等の改善のための基準」に適合しているものを2つ選びなさい。
この4つの運行を見たとき、どれが改善基準を遵守しているか選択する問題です。
回答を解説
この問題の回答ですが「1・4」が正解になります。
つまり、2と3が違反していることになるのですが、どこが違反しているかについては、次のとおりになります。
(2が違反な理由)
2は、休憩時間が5分刻みになっています。そのため、【少なくても1回につき10分以上としたうえで分割することができる】から外れてしまい、20分しか休憩が取得できていないため「×」となります。
(3が違反な理由)
1回目 〇
【運転時間】2時間10分+1時間50分=4時間
【休憩時間】10分+20分=30分
2回目×
【運転時間】2時間10分+50分+1時間10分=4時間10分
【休憩時間】10分+10分=20分
※ 運転時間 4時間以内ではないため「×」
しかし、正解である1と4もパッと見たところ違反しているようにも見えます。なぜ、この2つの運行は問題ないのでしょうか?
3.乗務終了すると残り時間は”休憩等に該当する”
「1は、改善基準告示違反だ!」と判断した人もいるかと思います。その理由として多いのは、後半の運行に30分以上の休憩がないことだと思われます。
(1回目の運行)
【運転時間】 2時間10分+1時間30分=3時間40分
【休憩時間】 15分+15分=30分
(2回目の運行)
【運転時間】 1時間+3時間=4時間
【休憩時間】 10分
表にすると、このような感じです。
つまり、2回目の運行時の「休憩は10分しかない=30分以上の休憩等を与えていない」という判断になるわけです。しかし、表をよく見ると、3時間の運転が終わると、乗務終了になっていますよね。
運転時間の「休憩等」は、”=運転業務から離れた時間”なので、
【運転時間】4時間
【休憩等】 10分+乗務終了後20分=30分
このように、乗務終了後の時間も加えると、計30分が成立するため、2回目の運行も【問題なし】と判断されるわけです。
[quads id=2]4.休憩等30分以上取得でリセットされる
「1」が違反をしているのでは?と判断した、もうひとつの理由は、↑のとおり、赤枠の部分を見て判断したケースが考えられます。
赤枠だけを見ると、
【運転時間】1時間30分+1時間+3時間=5時間30分
【休憩時間】15分+10分=25分
「運転を開始してから、4時間以上の運転時間があり、かつ30分以上の休憩等が取られていない。」と見て取れます。
しかし、正解は先ほども紹介したとおり「1と4」です。
つまり「この運行は問題ない」ことになります。
なぜでしょうか?
なぜ違反ではないのか?
赤枠の運転内容をまとめると…
【運転時間】2時間10分+1時間30分=3時間40分
【休憩時間】15分+15分=30分
2回目の15分の休憩で、計30分以上の休憩時間等を確保したことになりました。
じつは、計30分以上の休憩等を与え、運転を中断した時点で、いちどカウントはリセットされるのです。
そのため、問題2では、赤枠の2回目休憩15分を取り終わった後、次の運転開始から、新たに4時間以内の運行が行われていないかチェックされるというわけなんですね。
まとめ!
いかがだったでしょうか?
運行管理者の過去問から学べることはたくさんあります。
ちょっと他の解説書とは違った視点での俺流解説でしたが、受験生や運行管理者の方に役立つなら、今後も暇なときにアップしていきたいと思います^^
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4時間運転して30分休んでまた、4時間運転して30分休んでまた、4時間運転して30分休んでの運行はよいのか?
問題ありません。
拘束時間の最大は16時間なので、
理論上、最大14時間30分運転が可能となります。
ただし、運転時間は2日平均9時間以内というルールもありますので
その点も考慮しなければいけません。
連続運転に関する質問となります。国交省認可のデジタコを使用していますが、精度と弊社の運行形態がうまくかみ合わずにいます。(例)①車両を少し動かすだけで運行扱いとなる→②少し動かし、停車した時点で休憩扱いとなってしまう→③その後運行を開始した場合、②の休憩扱いとなった時間+③の途中で休憩した時間の合計(分割休憩)で、長時間運行がシステム上可能(連続運転の違反として計上されない)となってしまう。
勿論、日報のグラフをきちんと見れば、4H以上の長時間運行となってしまっています。このようなケースは例え国交省認可のデジタコといえども違反であると思います。他社の方々の状況などはどのようなものでしょうか?
ご質問ありがとうございます。
連続運転については、運転開始後4時間以内又は4時間経過直後に30分以上の休憩等を確保することが必要になります。「休憩等」となっているように、休憩でなくても運転中断状態にあればOKになります。
なお、連続運転の30分は分割できますが、少なくとも1回あたり10分以上という条件があります。そのため、グラフを見たとき、この条件に当てはまらないと判断されれば違反と判断されます^^
休憩等の解釈ですが、積込や取卸、附帯業務なども含むとのご解説ですが、これはとにかく4時間を超えて連続運転をしなければよいという解釈でよいのでしょうか?
また運転の定義は、自賠法の運行と同義でよいのでしょうか?
長時間運転のシステムを作成中でございまして、作業時間と休憩時間を合わせて休憩時間と設計すればよいのかどうか検討中です。作業時間も10分以上でないと休憩等の時間としてカウントできない推測になりますが、何か違和感を感じます。また、8時間以上の労働時間の場合は、始業から6時間以内に1時間の休憩が必要だと思うのですが、そことの兼ね合いはどうなんでしょう。ご教授いただければ幸甚です。
自己解決しました。
非連続運転時間という定義をみつけました。
システム屋さん、はじめまして!
返事遅くなって申し訳ありません。
解決してなによりです^^
1と4が正解との事ですが、休憩等は10分以上が単位となるのに対し
4の休憩が5分で問題ないのは何故なのでしょうか?
コメントありがとうございます。
おっしゃる通り10分未満はカウントされませんので、いちばん最初の休憩5分はカウントされません。
それでも、
運転時間①:1時間35分、その他:5分、運転時間②:1時間20分、休憩①:20分、運転時間③:1時間、休憩②:10分を見てみると…
運転時間は計4時間(3時間55分+5分)、休憩30分となっているので「問題ない」という判断になります。
初心者な質問に対し、解説ありがとうございました。
スッキリしました。
業務上午前中に30分とるのが困難なのですが、朝、点呼して運行カードを指してすぐ休憩ボタンを押して10分から20分休憩しても、なんともないものなのでしょうか?
朝10分から20分休憩を取れると、午前中後10分から20分休憩を取るだけでいいので、これができると仕事上非常に楽なのですが、どうですか?
説明悪くてすいません。
瀬尾様、はじめまして
まず連続運転の視点から見るとすぐ休憩ボタンを押しても意味がありません。
また、8時間以上の労働につき1時間の休憩(6時間以上の労働に対し、45分休憩)を与えなければいけませんが、この場合も就業が始まってすぐの休憩は望ましくありません。
ただし、もしも点呼の前にすでに作業等の労働を行っているのであれば、10分から20分休憩することに意味は生まれます。(1時間休憩は分割も認められているため)
返答ありがとうございます。
投稿したのに次見たら消えていたので、投稿されてないと思い、返答に気づくのが遅くなってすいませんでした。
連続運転時間について詳しく説明頂いておりますので理解しておりますが、
例題の最後を業務終了時間とした場合、休憩時間の合計が1日当たりの必要時間に不足しています。
連続運転時間だけ考えれば1は〇かも知れませんが、休憩時間からすると×になります。
連続運転の問題なので休憩時間は無視しても良い?
田中様、質問ありがとうございます。
確かに1は休憩時間が足りないように見えますが、
出題は、乗務開始から乗務終了までしか記載されていません。
ですが、その後、積込作業等、運転業務以外に従事し、
そのときに休憩も取得しているケースもあります。
そのため、労働基準監督署の臨検などでは、
タイムカードや賃金台帳など別の帳票類と照らし合わせたうえで
総合的に休憩時間1時間以上取得しているか確認していることだと思います。
運行管理で3日運行の条件を教えて下さい
申し訳ありません。
どのような条件を求めているのか判断つきませんでしたので
回答が的ハズレになるかもしれません。
3日間の運行は、1泊3日と2泊3日のパターンがあるかと思います。
1泊3日の場合は、1泊2日の運行と変わらないので制約はないのですが、
2泊3日の場合は、中間点呼と運行指示書等が必要になります。
また、アルコール検知器を携帯させることも重要になってきます。
質問です。
①8:30 始業開始
↓
②8:30~8:45 15分休憩
↓
③8:45~11:45 3時間運転
↓
④11:45~12:00 15分休憩
↓
⑤12:00~15:00 3時間運転
↓
⑥15:00~15:10 10分休憩
↓
⑦15:10~16:00 1時間運転
始業開始早々に休憩を取った場合②④の休憩合計が30分になるため、連続運転時間の合計はリセットされて、③⑤の運転時間は連続運転6時間にはならないでしょうか?
こんにちは!
質問ありがとうございます。
厚生労働省の「トラック運転者の労働時間等の改善基準のポイント」では、運転開始後4時間以内または運転経過直後に運転を中断して、30分以上の休憩等を確保して…と書かれています。
つまり、運転を開始する前の②はカウントされないので、違反となります。
大変助かりました。ありがとうございます!
恐れ入ります。4時間連続運転をしてしまった場合の運行管理上での処理はどのようにすればよいのでしょうか?旅客の時は、日報に4時間連続運転の原因と今後の対策を記載し、運転者台帳に転記しておりましたが、それで監査は処分対象にならないのでしょうか?それとも1回でも違反は違反でしょうか?
はじめまして!
ご質問ありがとうございます。
運輸支局は監査方法を明らかにしていないので詳しくはお話できませんが、4時間以上の連続運転をした場合、改善基準告示違反として1カウントされることになります。拘束時間等も含め、5件以上あれば警告。6件以上15件以下で10日車、16件以上30件以下、31件以上は20日車、そして最悪の場合、事業停止30日間という処分があります。
なお、運行管理者は、仮に連続運転・速度超過等があった場合は、タコチャート等又は乗務等の記録(運転日報)に乗務員に対し指導したことを記録することが重要になります。仮に指導監督していない場合、最悪3日間の事業停止になるので注意しておきましょう。※詳細はいずれまとめて記事にしたいと思います。
早々のご回答ありがとうございます。
5件以上とは非現実的ですね。改善基準の観点から、前年比での改善を考慮してくれればと願います。
旅客と貨物の違い(慣習)に戸惑う毎日ですが、今後も宜しくお願いいたします。
①2時間10分 運転
②15分休憩
③1時間30分 運転
④15分休憩
⑤1時間 運転
⑥10分休憩
⑦3時間 運転
終了
この問題はなぜ正解なのでしょうか?
④の時点でリセットされるのは理解してます。
しかし連続運転はしていないものの⑤+⑦で4時間運転、その中で休憩は10分のみ。20分足りなくないですか?
ご質問ありがとうございます。
今回の質問について、
回答が長くなるため、
記事内に記載することにしました。
3.に詳細を書いてますので
参考にしていただければ幸いです。
「休憩等30分以上取得でリセットされる。」
これがわかる公文書がどこにあるかわからないので教えていただけませんか。
特にありません。
記事にして紹介したいと思います。