すでに乗務員として選任されている人を他の営業所の乗務員として選任することができるの?

運送業界は、乗務員不足で困っていますよね。だから、少しでも解消するために臨機応変に業務をこなしていかなければいけないのですが、だからといって法令違反をしてしまっては意味がありません。
…なので、法令順守しながら、かつ少しでも効率的に行えるヒントを当ブログから発信できれば…と思っています。
今回も、次のような質問をいただきました。
A営業所に所属する乗務員がB営業所所属のトラックに乗務することは可能ですか?
又、可能な場合は点呼はABどちらの営業所で行いますか?
この悩みを持っている事業所は多いのではないでしょうか?
そこで、記事としてまとめましたので参考にしてくださいね。
1.A営業所・B営業所兼務の乗務員として働くことができるの?
A営業所・B営業所、それぞれの営業所所属のドライバーとして、トラックに乗務することができるのでしょうか?
じつは、この複数の営業所を兼務して乗務している運転手。けっこういます。
つまり、A営業所とB営業所。それぞれ兼務することができるというわけなんですね。
ただし、条件があります。
まずはAとBの双方の営業所に「運転者台帳」を備えつけること。
そして、それに合わせて健康状態を把握するために健康診断の受診結果等のコピーを各営業所に備え付けていたほうが望ましいです。(望ましいという表現にしたのは、健康診断の受診結果の備え付けは、法律上、事業所ごとではなく事業者が5年保存のためです)
また、教育の実施や労働時間等が違反にならないためにも、A営業所とB営業所で連絡を密に取れるようなルールづくりをしておいたほうがいいです。行政監査のとき「A営業所(B営業所)でしていると思ていた。」という勘違いが起き、「じつはしていなかった…。」ということがないために…ね。
そして、A営業所・B営業所双方で教育記録簿を保管しておくといいですよ。
2.点呼はABどちらの営業所で行うの?
さて、AとBのそれぞれの営業所の乗務員として選任された場合、点呼はどのように行えばいいのでしょうか?
じつは、A営業所・B営業所それぞれ、どの車両を使用するか国に届け出を行っています。そのため、車両の移動が行われた場合は、同じ県内であれば【配置転換】、他県に移動する場合は【増減車の届出】をする決まりがあるんですね。
そのため、
A営業所…「広島100あ1234」
B営業所…「広島100あ5678」
このように運輸支局に営業所ごとに車両を登録している状態になっていると思います。
…
さて、話を元に戻します。
もしも、A営業所・B営業所に所属している乗務員がいたとします。
彼がA営業所にある「広島100あ1234」のトラックに乗るのであれば、A営業所の運行管理者から点呼を受けることになり、B営業所にある「広島100あ5678」に乗るのであれば、B営業所の運行管理者から点呼を受けることになります。
日常点検の運行の可否も同じですね。
それぞれ車両に合わせて、その営業所の整備管理者から運行の可否を得ることになります。
3.営業所が離れていると難しい
(出典元:全ト協HP)
A営業所とB営業所それぞれに「Aさん」という乗務員を所属させることができますが、彼がA営業所の車両を運転するのであれば、A営業所(もしくはA営業所認可の車庫)で点呼執行しなければいけませんでしたよね。
けれど、もしも
A営業所が鹿児島県。
B営業所が東京都
…にあった場合、かなり離れていることになります。
このように離れ過ぎている場合、彼をそれぞれの営業所に所属させるのは、現実的ではありません。…ですが、上のイラストのとおり、事業所内の中継輸送などで、ドライバーAさんがA営業所とB営業所の車両を使用している運送会社はあります。
その場合は、運転者台帳や教育記録、健康診断等のほか、点呼簿・日報も共有する必要があります。
4.法人が異なるグループ会社の場合はどうしたらいいの?
今回、質問を受けたのは、あくまでも同じ運送会社のA営業所とB営業所でのお話でした。では、法人が異なる場合(グループ会社等)、A運送とB運送で兼務することはできないのでしょうか?
答えは「できません」です。
ただし、例外があります。
それは、その乗務員を出向という扱いにするということです。
じつは、この出向については、時間があるときにじっくり記載しようと思っていたのですが、今回は簡潔に書きますね。
出向というのは、A会社→B会社に出向という話は聞いたことはあるかと思います。出向するとずっとその出向先で働かなければいけないと思ってしまいがちですが、そのようなことはありません。
日・月・火 → A運送
水・木・金 → B運送
というように、曜日ごとで出向させたり、させなかったり…ということも可能なんですね。
もし、この方法を使うのであれば、会社が行いたい方法を労働基準監督署と相談しながら行ったほうがいいです。私の知り合いは、A運送とB運送が同じ建物内にあるため、この方法を用いていました。参考になれば幸いです^^
まとめ!
営業所ごとに運転者を配置しなければいけませんが、営業所が近くであれば、この裏技を使えばうまく乗務員を配置することもできるでしょう。
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コメント
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こんにちは。こちらはトラックの事について
書いてるものですが、バスも当てはまりますか?
私は高速バスの運転士です。
こんにちは!
貨物専門で解説しているので、
旅客についてはあまり詳しくありません。
お力になれずに申し訳ありません。
はじめまして。よろしくお願いいたします。
車両の車庫の件ですが、A営業所所属の車両を同じくA営業所の運転手が乗務して、運行に出かけた場合、
B営業所を車庫として使用することはできますか?
宮崎様
はじめまして!よろしくお願いします。
車庫の件についてですが、
A営業所の車両をA営業所所属の運転手が乗務した場合、
同法人のB営業所の車庫を車庫として利用することが出来るか否かですよね。
答えを先に言うと「できません。」
それはなぜかというと、営業所毎で車庫の届出を行っているため、たとえ、同法人でもそれぞれ認可された車庫しか使用できないのです。
※ただし、A営業所からB営業所まで5km以内(地域によっては5km以上のところもあり)の場合、A営業所がB営業所の車庫の一部をA営業所の車庫として認可届出をしている場合があります。そのようなときは、A営業所の車両は、B営業所の車庫の一部を使用することができます。