改善基準告示に該当する乗務員の条件は?

行政処分の一部改正(平成25年11月1日施行)に伴い、乗務時間の基準に著しく違反した場合は、事業停止30日間(平成26年1月1日適用)になりました。そのため、改善基準告示の遵守について頭を抱えている人も多いのではないでしょうか?
ただ、この改善基準告示。
そもそもどのような人に該当するのか把握していますか?
リスク管理するうえでどのような人が対象になるのか、きちんと把握し今後の対策に活かしていきましょう。
改善基準告示の該当の有無
改善基準告示に該当するか否かについては次の文言が重要になります。
「自動車運転者の労働時間等の改善のための基準(抄)」
第1条 この基準は、自動車運転者(労働基準法(昭和22年法律第49号。以下「法」という。)第9条に規定する労働者(同居の親族のみを使用する事業又は事業所に使用される者及び家事使用人を除く。)であって、四輪以上の自動車の運転の業務(厚生労働省労働基準局長が定めるものを除く。)に主として従事する者をいう。以下同じ。)の労働時間等の改善のための基準を定めることにより、自動車運転者の労働時間等の労働条件の向上を図ることを目的とする。
1.給料取得者
自動車を運転している乗務員で会社から給料をもらっている人が該当します。つまり、会社から給料が支払われていれば営業ナンバーも白ナンバーも関係なく該当するというわけなんですね。
なお、先ほど冒頭で説明した基準の第1条において対象者は「労働基準法第9条に規定する労働者(=給料をもらって働いている人)」と記載されていますので、社長が自分自身で運転をブイブイしていたとしても労働者ではないので改善基準告示の対象外になります。
ちなみに労働基準監督署や運輸支局に役員は該当するのかと聞いたところ、家族経営で息子さんなどが運転している場合は「同居の親族のみを使用する事業又は事業所に使用される者及び家事使用人を除く」と記載されているので除外されます。
ただ会社に雇われた役員などは運転の内容で判断するとのことでした。たとえ役員であってもずっと運転していると労働性が高いと判断され、適性化指導員や行政から指導を受けてしまうようです。
気をつけて下さいね。
2.4輪以上の車両
むかしはオート三輪が幅を利かせていましたがいまは見ませんよね。もしも、このオート三輪で輸送した場合はどのようになるのでしょうか?
じつはオート3輪は改善基準告示には該当しません。
また二輪のバイク便が都心などでよく見かけますが、あのバイク便のライダーさんも改善基準告示違反の該当から外れることになります。「自動車運転者の労働時間等の改善のための基準」第1条において「四輪以上の自動車の運転の業務に主として従事する者をいう」と記載されているからなんですね。
3.いつも運転している人
「自動車運転者の労働時間等の改善のための基準」第1条において「四輪以上の自動車の運転の業務に主として従事する者をいう」と記載されているのでいつも運転している人が該当します。つまり、仕事のほとんどが運転時間に費やされている人が対象という意味になります。
月に数回しか運転していない人は?
月に数回しか乗務していない運転者であったとしても「四輪以上の自動車の運転の業務に主として従事する者」に該当する場合には、改善基準告示が適用されます。(※ただし、労働基準法上の労働者に該当する場合に限ります。)
ただし、職種は「運転者」と称していても、他の業務も行っており、事実上、「四輪以上の自動車の運転の業務に主として従事する者」に該当しない場合には、改善基準告示の適用はありません。
4.公道を走行している車両
構内作業のために四輪以上の自動車を運転することがあります。
公道を走ることがない車両は該当するのかというと…該当しません。
あくまで道路で使用される自動車が対象なんですね。
5.[追記]平成30年4月20日に輸送安全規則の解釈・運用が改正!
平成30年4月20日に輸送安全規則の解釈・運用が改正されたことにより、社長などの役員も改善基準告示の対象となることになりました。
[貨物自動車運送事業の解釈及び運用について](抜粋)
(第3条第4項関係)
(1)事業者が運転者(個人事業主、同居の親族及び法人の業務を執行する役員(いかなる名称によるかを問わず、これと同等以上の職権又は支配力を有する者を含む。以下「事業主等」という。)が運転する場合には、当該者も含む。)の勤務時間及び乗務時間……以下略…
なお、事業主等が運転者として選任される場合の拘束時間は、「自動車運転者の労働時間等の改善のための基準」(平成元年労働省告示第7号。以下「改善基準告示」という。)で定める労使協定の締結をお子合っている場合にあっては、当該労使協定により延長することができる範囲を超えないものとすることとする。
このように記載されています。
支局に確認しても、やはり、社長が運転業務をする場合の拘束時間は、改善基準告示の対象になるとの回答でした。
まとめ
いかがだったでしょうか?
すべての人が改善基準告示に該当するわけではなかったんですね。
なかには営業ナンバーだけでなく白ナンバーも該当することに驚いた方もいたと思います。白ナンバーだから大丈夫と思ってた方は気をつけておいたほうがいいですよ。
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コメント
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目的だけを読めば確かに白ナンバーも該当します。
しかし、第2条以降の条文には旅客や貨物と明記されています。
青ナンバーを対象としていると思いますが?
第4条に貨物自動車運送事業のことが詳細に記載されています。
最初は事業法に適用される運転者について記載されていますが、
第4条6に
前各項の規定は、旅客自動車運送事業(道路運送法第二条第三項の旅客自動車運送事業をいう。次条において同じ。)及び貨物自動車運送事業以外の事業に従事する自動車運転者(主として人を運送することを目的とする自動車の運転の業務に従事する者を除く。)について準用する。
と書かれていますので、貨物自動車運送事業以外の事業に従事する自動車運転者も適用されるということになります。
改善基準に違反した場合、運行管理者本人にお咎めはないのか?
現実には休息期間の8時間を守ろうとすれば、運行管理者は、その次の勤務も変更が必要だし…。しかし、現実には中々出来ないのが現状だと思う。
普段の無事故ならば大丈夫だろうが、大きな事故を運転士がやってしまった場合、行政から運行管理者本人にお咎めはないのか?会社が処分されるのは当然としても、それは現実にはどうなのか?