NHKでも運送会社の「みなし労働時間制」について、取り上げられていたことがありました。また、最高裁判の判決で海外旅行の添乗員に「みなし労働時間制」は適用されないという判決の報道もありましたよね。
「みなし労働時間制」は、ときどき耳にするけれど、イマイチわかりにくいし、トラック運送でも取り入れることができるのか知りたいと言う人も多いと思います。
そこで、今回は運送業における「みなし労働時間制」について紹介しますね^^
1.みなし労働時間制とは?
みなし労働時間制には「事業場外労働」と「裁量労働」の2つがあります。
「事業場外労働」は、主に営業マンや外務員など、事業場外で使用者の直接的な指導監督を受けることがなく、自分の裁量性をもって断続的に働く労働者については、【所定労働時間働いたとみなす】と言う解釈になります。
つまり、つまりですよ。
1時間働こうが、15時間働こうが所定労働時間働いたことになる…というわけなんです。
使用者の立場としては、働いている時間が正確な数字を把握することができないから、みなし時間で管理するというわけです。だから、基本的には、時間外労働が発生しないという解釈になるんですね。
ただ、業務遂行によっては、通常所定労働時間を超えて労働することが必要になることがあります。その場合、業務を遂行に通常必要とされる時間労働をしたとみなすため、みなし時間に応じて時間外労働が発生します。
ただし、労使協定をして、その業務に通常必要とする時間を決めておけば、その時間働いたとみなされ、時間外労働にはなりません。
2.みなし労働時間制にも条件がある
単に事業場外で働いている。ただそれだけで、誰でも適用になるわけではありません。当然、条件があるわけです。
<条件>
① グループで従事する場合で、なかに時間管理をするものがいる
② 無線やポケットベル等で随時指示を受けながら働いている
③ あらかじめ訪問先、帰社時間等具体的な指示を受け、指示通りに働き帰社する
このような場合には認められないとの行政解釈になっています。
3.トラック運送業でみなし労働時間制はつかえる?
「トラック運送業でみなし労働時間制は導入できるの?」といった疑問をお持ちの方がいると思います。
結論から先に言うと【物品運搬の目的をもった運転などの運送そのものが業務の場合は、みなし規定の適用はされずに、いわゆる入・出庫に基づく労働時間の算定が原則】ということになりますので、難しいといえます。
…というのも、みなし労働時間制は先ほどもお話したように【営業職】など時間管理ができない業務に限られてるからなんです。
一般貨物運送事業の乗務員は運転日報や点呼執行が義務化され、遠方でも運行指示書や乗務前・中間・乗務後点呼で時間管理をしっかりしているので、みなし労働時間制の条件である【労働時間が算定しにくい】には該当しないというわけなんですね。
【根拠】
平成元年・3・1・基発第93号
「自動車運転者の業務は事業場外において行われるものではあるが、通常は走行キロ数、運転日報等からも労働時間を算定し得るものではあり、事業場外みなし労働時間制の『労働時間を算定し難いとき』という要件には該当しない。」