点呼記録簿の法定項目のひとつに「アルコール検知器の使用の有無」があります。
法律改正で義務化になったので、運送会社は、各営業所にアルコールチェッカーを置いて、乗務する前の運転手に点呼のときに使用させているハズです。
けれど、このアルコールチェッカーについて、どのようなモノを購入すればいいのか、細かい点についてまだよくわからない点も多いと思います。
先日も、とある知り合いからアルコール検知器について質問を受けたので、せっかくの機会なのでまとめてみたいと思います。
1.飲酒運転があった場合の事業者の処分
飲酒運転の事故があった場合のトラック運送会社に対する処分は、かなり厳しいです。
そのため、運送会社の中には、運転手を雇用した際【飲酒運転をさせないために誓約書】を書かせるなどして、対策しているところもありますが、法的に何も意味しませんし、効果もそこまでありません。
やはり、法律で定められている通り、日々、点呼執行時にアルコール検知器を使用して、飲酒していないか、地道に確認することが飲酒運転を防ぐうえでとても重要になってきます。
令和3年6月28日に千葉県で、交通ルールを守って一列で歩いていた下校中の小学生たちが、飲酒運転をしていた車にはねられ、2人が亡くなり、3人が大けがを負うとても痛ましい交通事故が発生
↑の記事は、一般貨物自動車運送事業を取得した運送会社ではなく、自家用トラックが引き起こした事故ですが、会社としてアルコール検知器を使用させていなかったことが大きく報道されました。
この事故は他人毎ではありません。
悲惨な事故を起こさないためにも、運送会社としてアルコール検知器を使用することは、会社を守るために必要不可欠だと言えます。
2.据え置き型のアルコール検知器
トラック運送会社には、多くの乗務員が所属しているため、法律上、機種は問われていません。しかし、飲酒運転を防ぐことを考えれば、据え置き型のアルコール検知器を使用したいところです。
据え置き型のメリットは、使用した後、その結果が用紙に印刷されるので、会社としてアルコール検知器を使用させたか否か証拠になること。
そして、メンテナンスは、センサーユニットを外して、部品をメーカーに送付すればいいので、長期的に見れば据え置き型の方がおすすめだと言えます。
値段は高額ですが、多くの運送会社は、都道府県トラック協会の助成制度を利用して購入しています。助成制度で出費が抑えられるのであれば、なおさら携帯型よりも据え置き型を選択したほうが良いですよね。
3.携帯型アルコールチェッカーなら?
携帯型アルコール検知器には、安いモノから高いモノまで様々あります。
…なら「コストを掛けずに安いアルコール検知器を購入すればいいのでは?」と思うかもしれませんが、値段が安いということはそれだけ理由があります。
安い機器は、検知器が反応するまで、待ち時間が長いケースがあります。
一般家庭で使用するのであれば問題ないのですが、運転手数人が使用する場合は、使えません。
また、センサー寿命が短いーということが大きな問題になります。
そもそも事業法では、アルコール検知器の維持管理をしなければいけないことになっています、維持管理をしていない場合は、当然、処分されるのです。
安いアルコール検知器1台のみ営業所に置いて満足している運送会社もありますが、長持ちしない検知器を置いて、使用したふりをすることが、いまの時代、大きなリスクになります。
●業務用として使用できるアルコール検知器とは?
では、業務用として使用でき、耐久性に優れたアルコール検知器はどれなのかについて紹介します。(あくまで、トラック運送会社向けで一般の方向けではありませんのであしからず。)
私が携帯型アルコール検知器でオススメなのは、ソシアックのアルコール検知器になります。
通常、市販されているアルコール検知器は、センサー寿命は約1000回。
運送会社で使用するとなると、この回数では少なすぎます。
でも、ソシアックのアルコール検知器のセンサー寿命は、約5000回になっていますので安心です。長持ちで、かつリーズナブルなので、長年、このシリーズにはお世話になっています。
据え置き型の購入が難しいという運送会社は、このソシアックのアルコール検知器をオススメします。
1泊2日以上の運行をする場合は、かならず別途購入を!
「営業所に1つあれば問題ない。」と安心していると大きな落とし穴が待っています。
アルコール検知器の使用の有無は、点呼執行毎に行わなければいけませんので、たとえ、長距離輸送など宿泊する運行がある場合でもしなければいけません。
当然、事務所に戻ることができないので、1泊2日以上の運行をする場合には、アルコール検知器を携行させなければいけませんので、準備しておきましょう。
長距離輸送をする頻度によって、購入するアルコール検知器が変わってくると思いますが、基本的にひとり1台になるのであれば、そこまで高価なアルコール検知器でなくても問題ないかと思われます。
経営になるべく負担のかからない機器を選択しましょう。
まとめ
輸送安全規則において、アルコール検知器は、アルコールインターロックに加えて、性能等は問わないということになってます。
つまり、記録型の立派なアルコール検知器でなくても、「警告音・警告灯・数値等」によって、飲酒しているか否かわかればいいということになります。
無理して高額な機材を購入する必要はありませんが、「ただ安ければいい」というのも今の時代、かなり危険です。耐久性やリスクなどを考えたうえで購入するようにしましょう。