トラック運送事業の運転日報の書き方がわかる!エクセルテンプレートなど徹底解説!
「運転日報の書き方がわからない。」
「運転日報をどこで入手すればいいのかわからない。」
運行内容を把握するため、運転日報を記録しなければいけません。しかし、運転日報の書き方を間違ってしまっては、せっかく苦労して作成しても、巡回指導や行政監査で指摘されれば意味はありません。
そこで、今回は、トラック運送事業の運転日報の書き方とエクセルなどの様式の入手方法について紹介していきます。
1.運転日報の様式
① 様式に必要な項目とは?
まず運転日報の様式についてが、法律で定められた項目さえ充たしていれば、たとえ自社で作成した様式でも問題ありません。ちなみに、運転日報に必要な項目は次のとおりになります。
【運転日報に必要な項目一覧】
①運転者の氏名
②乗務した事業用自動車の自動車登録番号、その他の当該事業用自動車を識別できる表示(事業者が定めた当該事業用自動車の車番または車号等)
③乗務の開始及び終了の地点及び日時、主な経過地点及び乗務した距離
④運転を交替した場合、その地点及びその日時
⑤休憩又は睡眠をした場合、その地点及び日時(10分未満の休憩についてはその記録の省略可)
⑥車両総重量8トン以上または最大積載量5トン以上の車両に乗務した場合
(イ)貨物の重量または貨物の個数、貨物の荷台等への積載状況等を記録する
(ロ)荷主の都合により集荷又は配達を行った地点(集貨地点等)で30分以上待機した場合に次の事項を記録する。
(1)集荷地点等
(2)荷主から指定された到着日時
(3)実際の到着日時
(4)集貨地点等での荷積み又は荷卸しの開始及び終了日時
(5)集貨地点等で附帯業務を行った場合は、その開始及び修了の日時
(6)集荷地点等からの出発日時
(ハ)集荷地点等で積込み若しくは取卸し又は付帯業務(以下「荷役作業」という)を実施した場合は以下を記載(荷主との契約書に実施した荷役作業の全てが明記されている場合にあっては、当該荷役作業等に要した時間が1時間以上の場合に限る。)
(1)集荷地点等
(2)荷役作業等の内容並びに開始及び終了の日時
(3)荷主が(1)及び(2)に掲げる事項について確認した場合にあってはその旨
(4)(1)及び(2)の掲げる事項について荷主の確認が得られなかった場合にあってはその旨⑦自動車事故報告規則第2条に規定する事故又は著しい運行の遅延、その他の異常な状態が発生した場合にあっては、その概要及び原因
⑧運行途中に中間点呼が必要な乗務に変更となった場合、運行管理者が新たに作成した運行指示書及びこれによる指示の内容(運行の経路並びに主な経過地、休憩地点における発車及び到着の日時等)
特に、車両総重量8トン以上または最大積載量5トン以上の車両に乗務した場合は、⑥の荷待ち時間や附帯業務の記載をしなければいけないので注意しましょう。
② 運行記録計の記録でも代用できる
運行記録計を装着しているのであれば、その記録(タコチャート、デジタコ)で、運転日報の様式がなくても、①~⑧の項目を直接、書き込むことで代用できます。
タコチャートの中央には、運転手の氏名や乗務した日、車両番号、距離等を書く欄があります。
ココを記載すると、法律上の「①運転者の氏名」「②乗務した事業用自動車の自動車登録番号、その他の当該事業用自動車を識別できる表示(事業者が定めた当該事業用自動車の車番または車号等)」を満たすことができます。
また、乗務開始時と乗務終了時のメーターを記載することで③乗務の開始及び終了の地点及び日時、主な経過地点及び乗務した距離」の”乗務した距離”を満たしたことになります。
なお、日付を書くのは、③④⑤⑥⑧の”日時”となっているので、かならず記載の必要があります。
さらに…
タコチャートに出庫・帰庫、荷待ちや荷卸し、休憩等を書いた後、荷積みについて積載状況・重量(個数等)を書けば、これで運転日報のかわりになります。(運転手交替や附帯業務を行った場合、その詳細も記載する必要あり。)
しかし、運転日報を給料の算出のために使用するため、タコチャートを運転日報として活用しているトラック運送会社はほとんどありません。
③ 運行記録計を装着していない車両は線引きが必要
車両総重量7トン以上または最大積載量4トン以上の車両は、運行記録計の装着が義務化されていますが、それ以外の車両は、装着する必要はありません。その場合、事業法の記載事項を充足するためには、運行記録計の代わりに、運行の詳細をすべて記載するか、”線引き”という作業を行わなければいけません。
※運行の詳細をすべて記載するのは労力がかかるため、多くの運送会社は”線引き”を選択しています。
ちなみに線引きとは、↑のような内容です。
市販で販売されている様式は、たいてい表面が、乗務員名や車両番号、距離等の記載、裏面が線引きになっているのですが、この線引きを記載していない運送会社が多いので注意が必要です。
④ GPS付のデジタコだと運転日報の労力が減る
GPS付のデジタコを導入している運送会社は、GPSで地点が自動的に記載されるので、わざわざ運転日報を書く必要がなく、運転者の労力が減ります。
昔は、燃料価格の高騰で少しでも燃費向上のため購入している運送会社が多かったのですが、いまは、運転手確保のため、労力削減を目的に導入しているところもあります。
2.各県トラック協会の運転日報の様式とおすすめ度
トラック協会のHPを見てみると、エクセル・PDFを公開している県もあれば、窓口販売のみで公開していないところもあります。
今回は、HPで公開している県ト協の運転日報を見ながら、独断と偏見(?)で、その特徴について紹介していきます。
(1)長野県トラック協会
URL⇒http://www.naganota.or.jp/tekiseika/chohyorui.html
(おすすめ度) 通常版 ★★★ チャート紙貼付版 ★★★★★ |
【通常版の感想】
1運行分(144時間以内)を1枚の紙でまとめられるよう工夫がされています。そのため、長距離輸送を頻繁に行う運送会社にとって、1運行を1枚でまとめられるので嬉しい仕様といえるのではないでしょうか。また、裏面を見ると、線引きができる欄があるので、運行記録計の装着が対象外の車両でも使用できます。
ただ、法律で定められた項目以外の内容もたくさん盛り込んでいるため、はじめて使用する運送会社や乗務員にとって使いにくいテンプレートになっています。
【チャート紙貼付版の感想】
指定の様式にチャート紙に貼付するタイプの珍しい運転日報。誰もが知っている某大手運送会社さんもアナログタコグラフを使用していた時代、この様式に近い方法で管理していました。裏面に日常点検記録簿を印刷すると、より使いやすそうですね^^
(2)愛知県トラック協会
URL⇒https://ssl.aitokyo.jp/proper/download/
(おすすめ度) 通常版 ★★★★ 荷待ち時間等記載版 ★★★★★ 荷待ち時間等+チャート紙貼付欄あり★★★★★ |
【通常版の感想】
シンプルイズベスト。
とてもコンパクトにまとめられています。
出庫・帰庫の時間を書く欄。休憩時間と地点を書く欄などが設けてあり、運行記録計の装着が対象外の車両でも線引きなしで、必要事項さえ書けば問題ないように作られているのはレベルが高いと思います。
ただ、線引きを好む運送会社や乗務員もいるので、選択肢のひとつとして裏面に「線引き欄」を残してもよかったのではないかなぁ…と感じています。
【荷待ち時間、荷役作業等記載版】
最大積載量5t以上、車両総重量8t以上の車両については、荷主都合で30分以上、荷待ち時間が発生する場合や荷役作業等が発生した場合は、運転日報に記載しなければいけませんよね?
ただ、それらの記載方法はとても大変で、運転日報とは別に全ト協が公開している様式を用いて書かなければいけませんでした。
けれど、愛知県トラック協会の運転日報は、荷待ち時間の記載と運転日報を一体化させているスグレモノ。本当によく考えられています。
(3)群馬県トラック協会
URL⇒http://www.gta.or.jp/tekisei/download.html
(おすすめ度) 通常版 ★★★★ チャート紙貼付版 ★★★★★ |
【通常版の感想】
荷待ち時間が記載できる。
とてもシンプルでデザインも秀逸。
ただ、30分以上荷主都合による荷待ち時間が発生しない事業所にとっては、使わないスペースが多くなってしまうため、荷待ちなし専用の運転日報も公開してくれていたら良かったのに…と思いました。
【チャート紙貼付版 】
愛知県トラック協会と同じ荷主都合による30分以上の荷待ち時間の記載に対応した記録用紙。デザインもよく記載しやすいです。
(4)東京都トラック協会
URL⇒http://www.ttaota.com/web3/info/tyohyo-sample.html
(おすすめ度) 通常版 ★★★ |
【通常版の感想】
シンプルで使いやすい感あり。
ただ「乗務開始地点」と「乗務終了地点」欄が空欄になっていて、遠方地でも対応できるようになっているのですが、主な経過地点の欄を見ると「車庫~車庫」になっています。これでは長距離輸送の2日目以降、第3者が運転日報を見たとき、混乱するのでは?と思いました^^;
3.荷主都合による30分以上の荷待ち時間を書く様式
「荷主都合による30分以上の荷待ち時間記録義務付け」専用の様式については、全日本トラック協会がすでに作成し、公開しています。山口県トラック協会がまとめていますので、参考にしてみてはいかがでしょうか?
4.保存期間
1年間保存になります。
まとめ!
トラック協会が公開されている運転日報(PDFエクセルテンプレート)も個性があって面白いですね。市販のものとはデザインがかなり違いますが「使いやすい!」と思った運転日報を使用するのがいいのではないでしょうか?
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コメント
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いつもお世話になっております。この記事も拝読させていただきました。
運転日報の書き方について、もう少し詳しく教えてください。
私は、下記のF社の運転日報に近いものを使用しています。
https://www.transtron.com/itp/itp-webservice/itp-dailyreport.html
③のエリアのチャートが24時間の記載(00:00-23:59)なので、長距離(複数日程)の場合、運行日毎に記載しようと考えています。
つまり、3日にまたがって運行した場合、3枚の日報を通し番号を付けて作成します。
このとき、①の入出庫の日時はどのようにしたら良いのでしょうか?
1)や2)のパターンを考えているのですが、どちらが正しいですか?
どちらも正しくない場合は、正しい記述の仕方を教えてください。
1)
3枚とも、
出庫日:【出発日の出庫日時】
帰庫日:【到着日の帰庫日時】
2)
1枚目
出庫日:【出発日の出庫日時】
帰庫日:【1日目の23:59】
2枚目
出庫日:【2日目の00:00】
帰庫日:【2日目の23:59】
3枚目
出庫日:【3日目の00:00】
帰庫日:【到着日の帰庫日時】