今年65歳になる運転者を雇い入れたとき、どの適性診断を受診すればいい?

トラック運転手が新たな運送会社に転職した場合、”適齢診断”を受診しなければいけませんよね。

トラック運転手の平均年齢は高くなったため、最近は、60歳以上の応募も多数あります。そのため、最近では運送会社を悩ます問題も発生しているようです。

私も次のような質問を運送会社から受けました。

「64歳〇ヵ月のトラック運転手を採用したのですが、(あと〇ヵ月で65歳になるので)初任診断より適齢診断を受診しておけばいいのでしょうか?」という内容です。

同じ年度であれば、65歳に達していなくても、(雇い入れ時の適性診断では)適齢診断を受診しても問題なさそうですが、実際はどうなのでしょうか。

1.65歳に達していない運転手は、その診断?

詳細を説明します。

とあるA運送会社に64歳9か月の運転者である”鈴木さん”が入社してきました。

管理者の田中さんは、鈴木さんは、今年、65歳の誕生日を迎えるので、採用した後、すぐに適性診断の対象になる。だから、前倒しで雇い入れ時でも「適齢診断」を選択しても問題ないだろうと考えました。

実際、あなたの会社で同様の件が発生した場合は、どのように対処するでしょうか?

生徒:「先生、運転者の診断について質問があります。65才に達していない運転者を新しく雇った場合って、どんな診断を受けるべきなんですか?」

先生:「いい質問だね。65才未満の運転者、例えば64才9ヶ月の運転者を新たに雇った場合は、まず『初任診断』を受ける必要があるんだよ。」

今年、65歳になるにもかかわらず「64歳9か月で入社してきた場合は、”初任診断”の方を受診させる必要がある」との回答でした。

2.なぜ、適齢診断ではないのか?

今年、65歳になるのであれば、新たな雇い入れ時の適性診断も”適齢診断”を受診させれば良さそうな気がします。

それに、数か月後にまた適性診断を受診させるのは、面倒臭いですし、お金もかかります。

生徒:「え、そうなんですか?でも、適齢診断って65才に関係しているんですよね?」

先生:「その通りだよ。65才以上の運転者は『適齢診断』を受けなければならないんだ。これは、運転者が65才に達した日以後1年以内に最初の適齢診断を受診し、その後は3年以内ごとに定期的に受診することが法律で決まっているんだよ。」

そうなんです。

「運転者が”65歳に達した日以後”」という表現が使われているので、今年、65歳未満のトラック運転者が入社してきた場合は、すべて初任診断を選択することになるのです。

生徒:「じゃあ、64才9ヶ月で雇った人が65才になる前に適齢診断を受けたら、無効になるのですか?」

先生:「実は、そういう場合でも65才になった後に再度、1年以内に適齢診断を受ける必要があるんだ。つまり、65才になる前に受診しても、65才になった日以後1年以内に新たに診断を受ける義務があるんだよ。」

3.初任診断と適齢診断の違い

初任診断と適齢診断の違いはどのようなところにあるのでしょうか?

引き続き、質問が続きます。

生徒:「なるほど。でも、初任診断と適齢診断はどう違うんですか?」

先生:「初任診断は、新たに運転者として業務に就く人が受ける診断で、運転者が安全に業務を始めるための癖がないかを確認するものだよ。一方、適齢診断は年齢に応じた診断で、特に高齢運転者の安全運転能力を定期的に確認するためのものなんだ。」

生徒:「じゃあ、64才9ヶ月の運転者は初任診断を受けてから、65才になったら改めて適齢診断を受けることになるんですね?」

先生:「その通り。だから、65才未満の運転者を雇う場合、初任診断を優先して、その後の適齢診断は65才に達してから実施することになるんだ。これにより、運転者の事故に繋がる運転の癖や過去の運転能力の変化を把握し、交通事故を未然に防ぐことができるんだよ。」

生徒:「理解できました。診断スケジュールをきちんと守ることで、安全な運行が保たれるんですね。」

まとめ

先生:「そのとおり。企業が運転者に適切な時期に診断を受けさせることは、安全運行のために欠かせないんだ。これで分かったかな?」

生徒:「はい!よく分かりました。ありがとうございました!」

特例で65歳以上であれば、初任診断ではなく”適齢診断”を受診させればいいのですが、採用時点で65歳未満であれば初任診断になります。

納得いかない部分もありますが、どこかで線引きが必要になりますので仕方のないことかもしれません。

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