Gマークの巡回指導を受ける前に確認しておきたい項目5つ
巡回指導は「Ⅰ.安全性に対する法令の遵守状況」の項目で、40点満点中37点を占めていて、運輸安全マネジメントと合わせて、合計32点以上必要です。
特例申請の一部を除き、安全性評価優良事業所(Gマーク)を申請すると”巡回指導”が行われます。それでは、 Gマーク巡回指導 が行われる場合、どのような対策をすればいいのでしょうか?
今回は「Gマークの巡回指導を受ける前に確認しておきたい項目5つ」について解説していきます。
1.事業計画等
(1)乗務員の休憩・睡眠施設の保守、管理は適正か。【配点1点】
- 休憩・睡眠施設を倉庫がわりに使っていた。
- 不衛生だった。
- 別の場所に移転していた。
このように乗務員が休憩・睡眠を取ることが困難である場合や国に無認可で移転していた場合、減点されますが、通常の管理さえしていれば、この「乗務員の休憩・睡眠施設の保守・管理」で減点されることはほとんどありません。
詳細を知りたい方は、関連リンクを貼っていますので参考にしてください。
2.帳票類の整備、報告等
(1)事故記録が適正に記録され、保存されているか。【配点1点】
(2)運転者台帳が適正に記入等され、保存されているか。【配点1点】
(3)車両台帳が整備され、適正に記入等されているか。【配点1点】
「帳票類の整備・報告等」で気を付けなければいけないのは”運転者台帳”になります。
選任された乗務員の数だけ、運転者台帳がなければ減点されてしまいますので、直近で入社してきた乗務員の運転者台帳を作成しているのか、もう一度、確認しましょう。
3.運行管理等【重要】
(1)運行管理規程が定められているか。 【配点1点】
(2)運行管理者に所定の講習を受けさせているか。 【配点1点】
(3)事業計画に従い、必要な運転者を確保しているか。 【配点1点】
(4)過労防止を配慮した勤務時間、乗務時間を定め、これを基に乗務割が作成され、休憩時間、睡
眠のための時間が適正に管理されているか。 【配点3点】
(5)過積載による運送を行っていないか。 【配点3点】
(6)点呼の実施及びその記録、保存は適正か。 【配点3点】
(7)乗務等の記録(運転日報)の作成・保存は適正か。 【配点3点】
(8)運行記録計による記録及びその保存・活用は適正か。 【配点1点】
(9)運行指示書の作成、指示、携行、保存は適正か。 【配点1点】
(10)乗務員に対する輸送の安全確保に必要な指導監督を行っているか。 【配点3点】
(11)特定の運転者に対して特別な指導を行っているか。 【配点1点】
(12)特定の運転者に対して適性診断を受けさせているか。 【配点2点】
「3.運行管理等」はどの項目も重要です。
過労・点呼簿・日報・運行記録計は日々の管理で見られますし、すぐに改善は難しいです。ですが、それ以外の教育などは対策ができるので、対応しやすい項目を中心に紹介します。
(2)運行管理者に所定の講習を受けさせているか
油断しておくと減点されやすいのが、運行管理者・整備管理者の受講状況です。
運行管理者・整備管理者が巡回指導に立ち会っていない場合、管理者本人が手帳を所持したまま仕事で外出していることがあるのです。
そのため、せっかく研修に参加しているにもかかわらず、巡回指導では手帳を提示することができず、減点されることがあるのですね。
だから、巡回指導が行われる前に…
①手帳をコピーしておく(本人がわかる写真のページ・基礎講習・一般講習の受講状況)
②手帳を預かる
①・②どちらかを行い、巡回指導で対応できるようにしておくことが重要です。
(10)乗務員に対する輸送の安全確保に必要な指導監督を行っているか
- 乗務員が全員受講しているか(後日、フォローも含めて)
- 指導監督指針12項目を1年間で充足しているか
- 3年間記録保存しているか
この3つは巡回指導前に確認しておくことが重要です。
指導監督指針12項目とは?など乗務員全員に対する安全教育について、よくわからない点があれば、詳細のリンクも貼っておくので参考にしてください。
(11)(12)特定の運転者に対する特別指導と適性診断
特定の運転者に対する教育関係にミスがないか確認しておきたいところです。
とくに「①新たに雇い入れた運転者」「②65歳以上の高齢運転者」については気を付けておきましょう。
①新たに雇い入れた運転者
過去1年間に入社してきた運転手がいないか確認してください。(すでに全員分の運転者台帳を作成している場合は、入社年月日を確認することをオススメします。)
最近、入社している運転手がいないのであれば問題ないのですが、もしも該当する運転手がいれば、巡回指導で適切な教育を受けさせているのか入念にチェックされます。
とくに確認される項目は次の3つ。
①運転記録証明書の取得
②特別な指導の記録保存(3年以上のブランク・未経験に限る)
③初任診断の受診
あなたの運転手には①~③の書類がそろっていますか?
なかでも、①は、年1回、全員分の運転記録証明書をかならず取得している運送会社は要注意です。
毎年、全員分、取得しているなら洩れがないように思えますが、本来、新たに雇い入れた運転手については、運転する前に運転記録証明書を取得する必要があります。
そのため、たとえば、年1回6月に全員分、運転記録証明書を取得している運送会社の場合、7月に入社してきた運転手については、翌年6月までの間、計11か月も運転記録証明書を取得していないことになります。
その空白期間に巡回指導に来られたら、残念ながら指導の対象になるというわけです。
新たに雇い入れた運転手については、その都度、運転記録証明書を取得しなければいけないことを忘れないようにしましょう。
②65歳以上の高齢運転者
新たに雇い入れた運転手以外にも気を付けておくべきなのは『65歳以上の運転手』になります。
65歳以上になると…
①適齢診断の受診結果
②診断結果に基づく教育記録簿
①・②が必要になりますよね?
とくに、②の適齢診断の受診結果に基づいた社内教育の教育記録簿を作成していない運送会社が多いのです。
適齢診断の場合、診断を終えたら終わり…というわけではありません。
診断結果に基づいて、今後、運転をどのように行うのか振り返り(社内教育)が必要になります。そして、社内教育の結果を”教育記録簿”にまとめ、保存する必要があるのです。
初任診断の教育について把握している運送会社は多いのですが、適齢診断後の特別指導と教育記録簿の記録保存については、存在そのものを知らないケースが多いので注意しておきたいところです。
教育記録簿の項目は、Gマーク点数が高いです。
かならず記録保存しておきましょう。
注視されているのは教育だけではない
新たに雇い入れた運転手で注視されているのは、教育の実施状況だけではありません。
次の保険・診断・台帳等の帳票類が揃っていなければいけません。
①雇用保険・労災保険・社会保険・健康保険などの保険関係
②雇い入れ時の健康診断
③運転者台帳の作成
この3点も運送会社が行っていないことが多いので、あえて適正化事業実施機関は、入念にチェックしていますので気を付けましょう。
4.車両管理等
(1)整備管理規程が定められているか。 【配点1点】
(2)整備管理者に所定の研修を受けさせているか。 【配点1点】
(3)日常点検基準を作成し、これに基づき点検を適正に行っているか。 【配点1点】
(4)定期点検基準を作成し、これに基づき、適正に点検・整備を行い、点検整備記録簿等が保存
されているか。 【配点3点】
整備管理者研修は、運行管理者研修で紹介しましたので、日常点検と定期点検の記録について見落としやすい点を紹介します。
(3)日常点検基準を作成し、これに基づき点検を適正に行っているか。
日常点検を実施して記録保存していれば、減点されることはほとんどありません。
しかし、台車を保有している運送会社は気を付けるべき点があります。
それは、日常点検は車両ごとに記録保存していなければいけないので、記録をつけていてもヘッドのみしか記録をつけていない。つまり「台車の日常点検の記録がない」と判断される場合があります。
たとえば、運転日報に日常点検表が一緒に記載できるタイプがありますが、あれは「台車」の記録を兼ねていないのです。
ヘッド・トレーラーそれぞれ記録保存するようにしましょう。
(4)定期点検記録簿の作成・保存
定期点検記録簿は、営業所の事務所に記録保存しなければいけません。(努力義務)
しかし、3カ月・12カ月定期点検などを認証工場を通じて実施していても、たいていは、トラックに定期点検記録簿の控えを置いたままにしていることが多いです。
定期点検記録簿の控えをコピーしていないと、巡回指導の当日、すでにトラックは出庫しているため、定期点検記録簿を提示できないという事態もあり得ます。
Gマークの評価では定期点検記録簿の配点は3点とかなり高いですので、営業所の事務所にコピーを記録保存する習慣をつけて、すぐに提示できる環境を整えましょう。
5.労基法等
(1)就業規則が制定され、届出されているか。【配点1点】
(2)36協定が締結され、届出されているか。 【配点1点】
(3)労働時間、休日労働について違法性はないか(運転時間を除く)。【配点1点】
(4)所要の健康診断を実施し、その記録・保存が適正にされているか。【配点1点】
労働基準監督署に届出した就業規則や36協定などを社労士・行政書士の先生がそのまま所持していることがあります。
コピーでも構わないので、事務所に保存していれば問題ないのですが、手元にないのであれば指導されてしまいます。
すぐにFAXで取り寄せることができればいいのですが、たいていは難しいでしょう。
たとえ、労働基準監督署に届出していたとしても、手元にない場合、巡回指導で提示することができないため、減点される可能性があります。
そのため、巡回指導の実施日が決まったら、事前にFAXしてもらう(労働基準監督署の受付印があるもの)など対策をしておきましょう。
まとめ!
巡回指導で指摘されやすく、減点されるともったいない5項目について紹介しました。
Gマークを取得するためにもケアレスミスは避けて、基準点数以上を取得し、合格できるようにしましょう^^
コメント
この記事へのトラックバックはありません。
この記事へのコメントはありません。