トラックの日常点検の手順と記録保存の方法は?

トラックの一部に異常もしくは故障したまま、運転してしまうと大事故につながってしまいます。だからこそ、日々、日常点検を行うことが大切なのですが、残念ながら、怠る事業所は後を絶ちません。

そのため、国は重大事故を防止すべく、日常点検などの項目は、他の帳票類と比べて、かなり厳しい行政処分の内容になっています。

今回は、トラックの日常点検の手順と記録・保存方法、行政の処分内容等、重要な情報をまとめましたので、参考にしていただければと思います。

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1.日常点検は出発前1日1回する必要あり

日常点検は、その日の出発前のタイミングで必ず実施しなければいけないルールになっています。つまり、1日1回、日常点検を行い、整備管理者に運行の可否を決定してもらい、点呼時に運行管理者が確認する流れになります。

なお、1日1回というルールは、”車両ごと”であることを忘れていはいけません。

たとえば、田中さんが、A車からB車に乗り換える場合、

(田中さん)
A車…日常点検・点呼済み
↓乗り換え
B車…日常点検

このような場合、その日、B車に乗車するのが、田中さんが初めての場合は、改めてB車の日常点検を行う必要があります。

すでに、その日、B車の日常点検を別の乗務員がしているのであれば、田中さんは、改めて実施する必要はありません。

(ココもポイント!)
点呼の法廷項目には「日常点検」があるので、乗り換える毎に点呼執行を行わなければいけないのか質問をいただくことがありますが、田中さんは、すでにA車のときに行っているので改めて行う必要はありません。
(点呼は運転者ごとに行うものであるため。)

失敗例:1運行に1回しか日常点検をしていない運送会社も!

1日1回ではなく「1運行に1回しかしなくてもいい」と勘違いしている運送会社もいまだにチラホラ見かけます。とくに長距離輸送をするときには、1日1回、日常点検をすることを忘れずにしておきましょう。

2.日常点検の手順

(出典元:全ト協点検整備ハンドブック)

日常点検の手順は、全ト協の「点検整備ハンドブック」に、1~21の順番で行うよう記載されています。

ちなみに、全ト協の「事業用トラックの点検整備ハンドブック(平成25年3月改訂)」はHPからダウンロードできるので印刷して確認しておきましょう。

>全ト協HP

トラック運送業界はまだ未熟?

日常点検を取り組んでいる事業所と取り組んでいない事業所の差は激しいです。

また、地域差はあると思いますが、私の知り合いの運送会社に、バスの元運転手が入社してきたようなのですが、日常点検の意識が高く、その差に驚いた…という話を聞いたことがあります。

点検関係は事故に直結するので、行政も厳しく取り組み状況をチェックします。

「まわりの運送会社も取り組んでいないから…」と言って、日常点検の記録を残さず、いままでどおり運営していくのは危険すぎます。今日からでも構いません。日常点検を実施し、記録に残していきましょう。

日常点検の行政処分の内容は?

行政監査があった場合は、次の表に基づき処分されます。

通常、行政処分は、”初違反〇日車”と数字が固定されているのですが、点検だけは異なります。違反車両の数だけ、処分日車数も増えていくのです。

たとえば、

5両所有の運送会社(日常点検の未実施が4両)の場合
違反内容「初違反5日車×4両=20日車」の処分

このようになります。

20日車ということは、日常点検の違反だけでも、2両が10日止められてしまう計算です。かなり重い処分ですよね。所有車両が多ければ多いほど、そのリスクは高まりますので、記録保存だけは確実に行っておきましょう。

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3.日常点検で異常が見つかった場合

(出典元:全ト協点検整備ハンドブック)

日常点検をしているときや運転中に異常箇所を見つけてしまった場合は、すぐに整備管理者(もしくは補助者)に「〇〇に異常箇所が見つかったのですが…。」と伝えたうえで、修理を受ける必要があります。

修理が終わったら、その修理をした項目及びその処置を記録表に書いておきましょう。

間違っても、運転中、異常箇所が見つかったにもかかわらず、そのまま運転だけは避けてくださいね。

ダンプでの横転事故

私の知り合いのダンプ乗務員Aさんは、運転中、その違和感からリアスプリングに異常があると薄々、気が付いていたのですが「いま戻るのは面倒だ。このまま乗務しても大丈夫だろう」と判断して、整備管理者に連絡をしませんでした。

結果、構内での横転事故に発展したことがあります。
異常や違和感を感じたら、かならず整備管理者の指示に従いましょう。

4.日常点検結果の報告と確認

日常点検が終わったら、整備管理者もしくは補助者に点検結果を報告することになっています。

そして、運行の可否を求めることになっているのですが、そのとき、確認を行った整備管理者又は補助者は点検表に検印(確認印)を押印する必要があります。

なお、整備管理者ではなく、整備管理者補助者が点検結果を確認したときは、のちほどあらためて整備管理者による確認を行うことが重要です。

5.日常点検の様式はどれを使ったらいいの?

日常点検記録簿は、トラック協会などで販売されていたり、HPで公開している様式をダウンロードして使用する方法があります。

販売されている帳票類のなかには、運転日報に日常点検を記入する項目があるので、それを使ってもOKです。

ちなみに、のちほど、Q&Aでも紹介しますが、トラクタ&トレーラーを持っている運送会社は、トレーラー用の日常点検記録簿を別に作成して、記録保存する必要があるので気を付けてくださいね。

6.主な疑問は?

(出典元:千葉県トラック協会HPより)

Q1.トラクタとトレーラーの日常点検は、一緒にするので「トラクタ+トレーラー」で1枚の日常点検を使用しているが問題ないのか?

A1.トラクタとトレーラーは別々に記録保存しておく必要があります。

※トレーラー(シャーシ―)のみを複数回点検記録できる様式を使用する工夫が必要です。

Q2.海上コンテナなどでは、トラクタとトレーラーをつなぎ変えることが頻繁にあるが、日常点検として「1日1回、運行前に実施する」となると、繋ぎ変えるたびに実施しなくてはいけないのか?

A2.繋ぎ変えるたびに日常点検をしなければいけない。

道路運送車両法第47条(使用者の点検及び整備の義務)第2項には「1日1回、その運行の開始前において、同項の規定による点検をしなければならない。」と規定されているため、つなぎ変えるトレーラーの日常点検を実施しておかなければいけないことになっています。

Q3.そもそも日常点検記録簿や保存について法的根拠はないのではないか?

A3.日常点検の記録や保存記録については法的根拠なし。

※ただし、整備管理者が運行の可否を決定し、記録保存するのは必要不可欠であることから、行政監査が行われたときにも、記録がなければ処分されます。

7.法的根拠

日常点検の法的根拠は次のとおりになっています。

●道路運送車両法第47条の2(日常点検整備)

自動車の使用者は、自動車の走行距離、運行時の状態等から判断した適切な時期に、国土交通省令で定める技術上の基準により、灯火装置の点灯、制動装置の作動その他の日常的に点検すべき事項について、目視等により自動車を点検しなければならない。

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