運行管理者の選任・解任の届出について解説!

運送会社の99%は中小企業です。
大企業のように選任(解任)をする機会はほとんどありません。

そのため、運行管理者が退職・死去していなくなった場合、行政書士に対応をお願いする運送会社が多いとは思いますが、自社で作成する場合「前に届出したのは5年前。あのときは確か…。」と記憶をたどりながら、時間をかけて作成しなければいけません。

今回は、自社で作成される運送会社のために運行管理者を選任・解任するときの方法について紹介していきたいと思います。

[quads id=1]

1.届出が必要な事由とは?

運行管理者の届出をしなければいけない条件を見てみましょう。

10

運行管理者を新しく選任するときや変更するとき以外にも、運輸支局に届出しなければいけないケースがたくさんありますよね。

また、すぐの届出を求められていませんが、届出しなければいけないときに、変更があれば併せて届出しなければいけない内容もあります。

・届出者の氏名又は名称変更(社名・商号変更)
・届出者の住所
・営業所の名称及び所在地変更

なお、届出の期限は、”1週間”とかなり短めです。

運行管理者は、原則、人員が増えた・減った・変更したときに届出することになっていますので、選任に変更がある場合は、すぐに運輸支局に届出しましょう。

2.届出の作成方法

011

出典元:http://www.aitokyo.jp/tekisei/download/index.html

運行管理者選任届出の様式は地域によって異なります。

だからといって所属している都道府県に合わせた様式を使わなければいけないルールはありません。

たとえ他県の様式を使用したとしても、窓口で何も言われることはないので安心して使用しましょう。

そもそも届出の様式は、各運輸支局やトラック協会が手作りしたものです。
必要な項目さえ揃っていれば問題ないので、使用しやすい様式をダウンロードして届出してくださいね。

3.資格者証の写しを添付する必要がある【選任・増員など】

増員・変更届出では、新たに選任する運行管理者が必要な資格を持っているのか確認されます。

運行管理者に必要な資格といえば…

↓の”運行管理者資格者証”ですよね。

出典元:http://blog.goo.ne.jp/motorman_racer-x

この”運行管理者資格者証”のコピーが必要になるのでかならず準備しておきましょう。

紛失したとしても大丈夫。
再発行ができますのでトラック協会等に問い合わせてくださいね^^

資格者証番号を覚えていない場合は、再発行手続きの関係上、

・いつ頃取得したのか?
・どの地域で取得したのか?
・氏名
・生年月日

等、電話で聞かれます。

ちなみに、遅くて1か月くらい再発行に時間がかかることがあるので、すでに紛失していることが判明しているのであれば、いま再発行の手続きをしていたほうが絶対にいいです。

根拠

貨物自動車運送事業法第18条第3項

一般貨物自動車運送事業者は、第1項の規定により運行管理者を選任したときは、遅滞なく、その旨を国土交通大臣に届け出なければならない。

通達 貨物自動車運送事業輸送安全規則の解釈及び運用

第19条 運行管理者の選任等の届出
3.法18条第3項においては「遅滞なく」届け出ることとなっているが、本条高の趣旨からみて遅くとも1週間以内には届け出るよう指導すること。

4.解任することを忘れていませんか?

たとえば、

旧) 運行管理者 Aさん(退職)
新) 運行管理者 Bさん

このようにAさんの退職に伴い、Bさんを新たに運行管理者に選任しようとしたとき、「運行管理者選任届出」を支局に提出すると思います。

その運行管理者選任届出に「選任名:Bさん」を記載していると思いますが、Aさんの解任を忘れていませんか?

Aさんの解任を合わせて書いておかないと、Aさんは解任されることなく、支局のデータでは「AさんとBさん2名を運行管理者として選任している」ことになってしまいます。

自動で切り替わるわけではないんですね。
気を付けておきましょう^^

5.運行管理者の選任・解任届出を忘れると大変

運行管理者が退職しても、運輸支局への届出の内容は当時のまま…

これはかなり危険です。

どのくらい危険かというと、見つかれば運送会社を存続できないほど、行政の目は厳しくなっているのです。

巡回指導で発覚すれば”速報”対象

平成25年10月1日より適性化事業実施機関が行う巡回指導が強化され「速報制度」が始まりました。

速報制度は、巡回指導を行ったとき「(この事業所には)運行管理者がいない」と判断された場合、運輸支局へ速報されてしまいます。

「速報」というのは、言葉のとおり、巡回指導終了後、適正化事業実施機関から運輸支局へ「運行管理者がいない」情報を伝えるのですが、通常の巡回指導結果と異なり、速報対象になると「行政監査」対象として扱われます。

つまり、後日、行政処分ありきの行政監査がほぼ確実に実施されるというわけなんですね。

行政監査が行われれば、車両を止める処分が下されます。

たかが届出と甘く見ていると痛い目に合うので「運行管理者(整備管理者)を変更したら絶対に届出をする」と思っておいてください。

30日間の事業停止処分

巡回指導で”速報対象”になると、運が悪いと思ってしまいがちですが、逆に運が良かったかもしれません。

…というのも、行政処分改正に伴い、重大事故が発生した後、行政監査が行われた際、「運行管理者(整備管理者)がいない」と監査官から判断されると、事業停止30日のとんでもない行政処分が下されるからです。

突然、行政監査が来て処分が下されると、運送会社は「運が悪かった…」では済みません。

むしろ、速報対象になれば「行政監査が来るまでに運行管理者(整備管理者)の変更届出を国に届ける対策を取る」ことができます。

巡回指導にて速報対象になった場合は、気持ちを切り替えて、突然の行政監査のときに発見されずに助かったと前向きにとらえましょう。

[quads id=2]

まとめ

運行管理者の不在はリスクがあります。だから、変更がある場合は、法律に合わせて1週間以内に届出をしたほうがいいです。

なお、資格者証を紛失すると、再発行手続きに時間がかかります。不測の事態に備えて、運行管理者の資格を持っている人で紛失していることが判明しているのであれば、いまのうちに再発行の手続きをしておいた方がいいです。

[hana-code-insert name=’ad3′ /]