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対面点呼を終えた後、すぐ別の輸送をするときの解釈は?

長距離輸送を終えて営業所にいちど帰社し、乗務終了の点呼【対面点呼】を終えて2時間くらい休憩時間を取る。

そして、休憩時間が終了した後、また別の輸送が舞い込み、乗務前点呼【対面点呼】をした後、また長距離輸送をしなくてはいけなくなった。

この場合、

といった質問をいただきました。

今回は、レアケースだと思いますが、質問に基づき、どのような問題点があるのか紹介していきたいと思います。

1.とあるA運送の運行内容

それでは、実際に、A運送の運行内容(サンプル)を見てみましょう。

(長距離輸送)
21:00 乗務前点呼(電話) ⇒  10:00 【A運送 本社】乗務後点呼(対面)

10:00~12:00 【A運送 本社】にて昼食休憩

(新たな長距離輸送)
12:00 【A運送 本社】乗務前点呼(対面) ⇒ 22:00 乗務後点呼(電話)

サンプルでは、AM10:00にA運送に帰社。
1運行を終了していることがわかります。

続いて10:00から12:00(2時間)で昼食休憩を取った後、12:00から新たな1運行がスタートしていますよね。

ですが、ここで疑問が生まれます。

10:00に帰社した後、8時間の休息時間がありません。
なのに、すぐに新たな1運行を実施しても良いのでしょうか?

考えてみれば…

点呼執行は、法律上、休息前後のタイミングで行うことになっています。

それが今回の場合、休憩時間を取得した後、乗務前点呼(対面点呼)をして出発しているのです。

この質問をしてきた担当者は「改善基準告示違反なのは理解している。ただ、点呼執行はこのままで問題ないのだろうか?」と悩んでいました。

もしも、あなたが点呼を管理する立場であれば、どのようにしますか?
考えてみましょう。

2.行政や適性化指導員の判断は?

解説していきます。

今回の運行の場合、行政監査や巡回指導では、どのように判断するのでしょうか?

答えは…

事業所が管理している【点呼執行の状況をそのまま見る】(=点呼執行のタイミングについては指導しない)になります。

今回の場合、点呼記録簿上の点呼執行を見ると…

・1回目の長距離輸送 … 1運行
・休憩後の2回目の長距離輸送 … 新たな1運行

このようになるわけですよね。

点呼執行に問題はないのか?

今回の輸送を改めて見てみましょう。

(長距離輸送)
21:00 乗務前点呼(電話) ⇒  10:00 【A運送 本社】乗務後点呼(対面)

10:00~12:00 【A運送 本社】にて昼食休憩

(新たな長距離輸送)
12:00 【A運送 本社】乗務前点呼(対面) ⇒ 22:00 乗務後点呼(電話)

実際は、チャート紙などを見ないことには最終的な判断が付かないと思いますが、この運送には、分割休息・8時間以上の休息時間が途中にないと仮定して解説すると…

運送会社は、休息時間がない(もしくは与えるつもりだったが、イレギュラーで新たな運行が入った)状態でも、1度、本社営業所に戻ってきたため、10:00帰社のときに、点呼執行で1運行終了しています。

そのため、行政監査や巡回指導では、

「点呼執行において、問題なし」

と見るのです。

点呼記録において問題なしとは?

点呼記録簿において、1日24時間のうちに点呼執行を2回(中間点呼が必要な場合は3回)しなければいけません。

拘束時間が16時間を超過(休息時間8時間未満)した場合でも、このルールを守る必要があるのです。

そのため、今回のように、拘束時間の関係上、やむを得ない場合、運行記録上、2時間の休憩時間しかないところでも、休憩時間に入る前に乗務後点呼を行われていれば、その2時間の休憩時間が「休息時間」とみなされることになります。

点呼執行と改善基準告示では、違反項目はそれぞれ独立しているので「点呼執行においては違反なし」という判断になるわけなんですね。

改善基準告示としては拘束時間16時間超過・休息時間不足の違反

点呼記録簿としての記録は「問題なし」ですが、改善基準告示は別です。
違反として見られます。

今回のケースでは、10:00~12:00 【A運送 本社】にて昼食休憩の部分が【休息時間】として見られるわけですから、

行政や適正化指導員の判断は、

「休息不足・拘束時間16h超過」

として見る。

このようになります。

3.とあるB運送の運行内容

続いて、B運送のサンプルを見てみましょう。

(1回目の輸送【長距離輸送】)
21:00 乗務前点呼(電話) ⇒  2:00 【B運送 本社】乗務後点呼(対面)

2:00~4:00 【B運送 本社】にて休憩

(新たな2回目の輸送【長距離輸送】)
4:00 【B運送 本社】乗務前点呼(対面) ⇒ 10:00 乗務後点呼(電話)

このようなB輸送 本社の運行内容の場合、どのように解釈すればいいのでしょうか?

まず、拘束時間は、

21:00-10:00で計13時間

10:00から8時間の休息を取得していれば、【21:00(乗務前点呼)~10:00(乗務後点呼)】していれば、通常の運行です。

…なのに

「なぜこの運送会社は、B運送会社に帰社した2:00で乗務後点呼(対面)(4:00で乗務前点呼)をしているのだろう?」

と疑問に思いませんでしたか?

じつは、運行内容によっては、このような管理をせざるを得ない場合があるのです。

それを今から紹介していきます。

ケース① 1回目長距離輸送+2回目長距離輸送=144時間超過

になる場合、4:00~6:00 【B運送 本社】の休憩を区切りとせず、点呼記録簿上、「21:00 乗務前点呼(電話)-10:00 乗務後点呼(電話)」としてしまうと、7泊8日で144時間オーバーとして見られてしまう可能性があります。

そのため、サンプルでは、2:00に帰社したときに乗務後点呼を行うことで、3泊4日で区切りをつける…つまり、1運行を終了させています。

そして、4:00に乗務前点呼を行い【新たな1運行の開始】としているのです。

ちなみに、このようなケースの場合、どこで区切るかは事業所判断にゆだねられます。

それをもとに行政監査や巡回指導などは、点呼記録簿と運転日報を照らし合わせて、適否を見られるので、この知識はつけておいた方が無難です。

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長距離輸送のトラックは1運行144時間以内に戻らなくてはいけない法則! - トラックの杜│一般貨物運送事業に役立つ情報をブログでお届け!

ケース② 1回目3泊4日+2回目1泊2日の場合

だった場合、1回目と2回目をあわせても144時間以内になります。

そのため、休憩のために帰社した2:00~4:00に点呼執行しなくても「21:00 乗務前点呼(電話)-10:00 乗務後点呼(電話)」でも問題ありません。

つまり、記録上、1回目の輸送と2回目の輸送をあわせて、1運行(144時間以内)になっていると判断されます。

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↑の記事でも解説しましたが、途中、本社に戻ったからといって1運行として扱われるわけではありません。

たとえば、宅配便など輸送の内容によっては、何度も所属営業所に戻るケースがあります。それと同じ扱いです。

ケース③ 1回目1泊2日輸送+2回目1泊2日輸送の場合

このような輸送だった場合、「21:00 乗務前点呼(電話)-10:00 乗務後点呼(電話)」として扱ってしまうと少し面倒くさいことになります。

それは…、2泊3日以上の運行として扱われるので、中間点呼及び運行指示書が必要になってしまうのです。

運行指示書の作成は大変なので、その辺も含めて、点呼執行を行いたいところですね。

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