新聞やニュースですでに目にしている人もいるかもしれません。
「政府が長時間労働を防止するため、1ヵ月の残業が80時間に達する事業場に対して、労働基準監督署が立ち入り調査を行う」
あなたは、このような記事を目にしたことはありませんか?
最近は、残業に対して国が規制をかけようとガンガン動いています。
これに伴い運送業界はどのような影響を受けるのか気になる人もいるのではないでしょうか?
そこで、今回は、運送業界にとって気になる「残業が月80時間で労働基準監督署が立ち入り調査」について紹介していきたいと思います。
1.立ち入り調査の基準が長時間労働抑制のため変わる!
この立ち入り調査は、政府が1億総活躍国民会議に提出する労働関連政策の目玉のひとつで、長時間労働を抑制して「労働生産性をあげよう!」という目的の他に、子育て中の女性や高齢者が働きやすい環境を整えようとする狙いがあります。
ですが、もともと長時間の残業をしている事業場への立ち入り調査は、厚生労働省内に設けられた長時間労働削減推進本部の指示により、平成27年1月から、すでに全国の労働基準監督署が実施しています。
ただ、いままでは1ヵ月あたり100時間を超える残業が行われているとされる事業場や長時間労働による過労死などに関する労働災害請求があったすべての事業場をターゲットとしていたハズなのですが…。
それが変わるというわけなんです。
【参考】
平成27年6月までの半年間に監督指導した実績は合計3602事業場。 |
2.ターゲットの範囲を広げてきた!
平成27年4月には通称「かとく」。正式名「過重労働撲滅特別対策班」が東京労働局と大阪労働局に設置されて、大手チェーン店の違法残業が摘発されて話題になりましたが、それくらい厚生労働省は長時間労働を抑制するために動いているんですね。
それを象徴するように、立ち入り調査については、残業時間をこれまで月間100時間超をターゲットにしていたものを、月間80時間超まで下げてきたんです。
これにより、さらに取り締まりを強化する方針のようですが、トラック運送業界にはどのような影響があるのでしょうか?
3.労働基準監督署を舐めてはいけない!
以前から、労働基準監督署は労働基準法などに基づいて、定期的に…もしくは労働者からの告発などの情報により、会社に立ち入って臨検監督(監督指導)を行っています。
仮に司法警察事務として、事業主が何度も何度も指導されたにもかかわらず、是正を行わなかった場合、どのようになるのでしょうか?
ひょっとしたら、労基署から「ちょっと小言を言われるだけ」の注意で済むと思っている方もいるかもしれません。ですが、決してそのようなことはないんですよね。
たとえば、重大・悪質な内容であれば、労基法などの違反事件として取り調べ等の任意捜査、捜査・差し押さえ、最悪の場合、逮捕などの強制捜査を行って、検察庁に送検されるんです^^;
4.ほとんどの事業場はなんらかの違反が見つかってしまう
では、その監督指導はどのくらい行われているのかというと…
なんと!
年間17万件ほど実施されているそうです。
そのうち、定期監督(労基署が主体的、計画的に行う監督指導)では、6割強の事業場でなんらかの労基関係法令の違反が認められるとか。
立ち入り調査は、これらとは若干異なるのですが、極端な長時間残業を摘発することで、「かとく」の場合は、特にそうなんですが1種の1罰百戒的な効果を狙ったところがあるようです。
5.トラック運送業界はターゲットにされているフシあり!
政府が長時間労働に対して、だんだん規制を強化していく方向なのは間違いないけれど、トラック運送業界は、労働時間規制について自動車運転者の労働時間等の改善基準告示にて特別扱いされていますよね。
でも、その一方で、毎年、監督行政の重点指導対象としてターゲットされているフシがあります。
まとめ!
平成28年3月にも広島県でトラックドライバーが居眠り運転して、大きなトンネル事故が発生しています。また、業種そのものも違いますが、平成28年1月には軽井沢で15人が死亡したスキーバス事故もあって、自動車運転者に対する世論も厳しいです。
今後も厳しくなる可能性が高いですね^^;
追記:いまは月45時間で臨検監督が行われる可能性が出てきました。(参照:「労働基準監督署の臨検監督が行われるタイミングは?」)
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