「車両の稼働中、運行管理者は営業所に常駐しておかなければならない」という話を聞いたことはないでしょうか?
確かに稼働しているのであれば外出しないほうがいいかもしれませんが、事業内容によっては、出庫時間と帰庫時間が決まっているので、その間、営業に出たいというケースもあるかと思います。
法律上、稼働中、運行管理者は外出しても問題ないのかどうか―
今回は、その点について、紹介していきたいと思います。
1.法律を探しても見つからない
「車両の稼働中、運行管理者は営業所に常駐しておかなければならない」という根拠条文を探したところ、残念ながら見つかりませんでした。ですが、年配の運行管理者によると「確かにあったはずだ!」の一点張り。
年配の運行管理者だけでなく、知り合いの運行管理者に聞いても同様の回答をする人が多く、どうやら、過去に根拠条文があったようです。このままではモヤモヤするので、調べてみたところ、やはりありました。根拠となる条文が!
さっそく、その条文について紹介してきます。
2.「輸送安全規則の解釈及び運用について」の第20条3項にあり!
平成19年3月30日改正の「貨物自動車運送事業輸送安全規則の解釈及び運用について」にその内容が記載されてました。
新旧対照表があるのでわかりやすいですね。ずっと下に進むと・・・
第20条 運行管理の業務 第3項にその旨が書かれてあります。
第20条 第3項(旧)※平成19年で削除
3.運行管理者が不在等のため業務を行うことができない場合は、代務者を予め定める等により、運行管理を確実に行わせること。 |
それが平成19年3月30日改正で消去されてしまったのです。
(左の「新」の項目には記載されていません。)
3.支局に電話で確かめてみる
思い込みも嫌なので、実際に運輸支局に電話しました。
Q.「車両の稼働中、運行管理者は営業所に常駐しておかなければならない」と話を聞くのですが、肝心の根拠条文が見当たりません。旧「輸送安全規則の解釈及び運用」の第20条3項がそれにあたるのでしょうか?
通達改正により消えているということは「車両の稼働中、運行管理者は営業所に常駐しなくてもOK」ということですか?
A.そうですね。消えてますね。いまは、運行管理者は必ずしも営業所に常駐しなくともよいことになっています。
乗務前点呼を行った後、営業回りで営業所をはなれたりするケースがこれに該当します。この間、運行管理者のかわりに補助者を常駐させることも必須ではありません。つまり、実質的に運行管理(点呼等)ができていれば営業所への常駐は必須ではないということです。 |
もちろん、お役人様の回答なので、たとえ、法律の根拠がなくても、安全輸送のためには運行管理者を常駐することが望ましいと釘を刺されましたw
まとめ
まとめますと、運行管理者は常駐しなければいけないという法律的な根拠はなくなり、しっかりした運行管理さえすれば、営業等で外出することもOKということになります。
[hana-code-insert name=’ad3′ /]
整備管理者になりたいのですが、運転者であれば、点呼の前に日常点検をしているので実務経験2年はクリア出来ると書いてありますが、本当にそれで大丈夫なんでしょうか?
日常点検でも問題ありません。
整備管理者選任前研修の修了証と実務経験証明書があれば整備管理者に選任することができます。
ただし、在籍期間が2年以上なければいけません。
前社が1年。いまの会社が1年だと実務経験は2枚必要になります。
※白ナンバーの会社に勤めていた期間は実務経験には該当しません。
いつも分かりやすい説明ありがとうございます。大変参考にさせていただいております。質問ですが、現在当社グループ会社と「他グループ営業所点呼」を導入したいと思っております。例えば、ある会社(当社のグループ会社)でAさんが7時、Bさんが8時、Cさんが9時に乗務前点呼を受けるとします。AさんとBさんの乗務前点呼はCさんが行い、Cさんは他グループ営業所点呼により当社の運行管理者に点呼をやってもらいます。Cさんは戻りが早く15時に他グループ営業所点呼にて乗務後点呼、その後順次AさんとBさんが帰社してCさんが点呼行うという運用はアリでしょうか?。他グループ営業所点呼はIT点呼の16時間と違い、連続する8時間以内という規定があり、全員の乗務前、乗務後点呼をグループ会社で行うことはほぼ不可能に近い(8時間以内には収まらない)からです。今までは、点呼のために運行管理者が出勤していましたが、働き方改革の流れの中で日曜日など閑散な日に限り上記の運用を行いグループ会社に所属する運行管理者の労働時間を減らしたく。上記の「運行管理者は必ずしも営業所に常駐しなくてよい」という理論が当てはまるような気がするのですが。
はじめまして!
質問ありがとうございます。
書類の共有やGマークの取得等、デメリット部分もあるため、この特例(同一敷地内に複数の営業所が所在するグループ企業による点呼執行)を活用する運送会社は、私はいままで見たことがありませんでした。ですが、今回の質問のように働き方改革等の流れにより、労基署の臨検が増加傾向にあるため、今後は活用する運送会社が増えてくるかもしれませんね。
さて、話をもとに戻しますが、今回の相談の件で、Cさんが運行管理者(兼乗務員)と仮定して回答すると、所属する営業所(もしくは認可車庫)にてAさん、Bさんの点呼執行をすることはOKです。
もちろん、運行管理者が運転すると、点呼記録簿、運転日報、チャート紙等の書類を念入りに見られます。(たとえば、Cさんが運転している時間帯に、点呼記録簿上、Cさんが他乗務員に対して対面点呼を執行していると記録されていないか等。)
ですが、今回の質問では、乗務前点呼は他グループ会社で行い、乗務後点呼においては、Cさんは誰よりも早く帰ってきてAさん・Bさんの点呼をしているようなので、問題ないと思われます。
もしも、Cさん以外に乗務後点呼を別の補助者が行っているのであれば、運行管理者の点呼執行(月単位の1/3以上)不足の懸念が出てきますが、それくらいかもしれません。(乗務前点呼の他グループ点呼は補助者扱いになるため。)
なお、グループ会社であれば、条件によっては別の選択肢もあるのですが、機会があれば記事にしたいと思います。
分かりやすくご説明いただきありがとうございました。今回の運用は日曜日、祝日などの出勤者が少ない日に限り運用しようと思いますので(平日の大部分を運行管理者が点呼していれば)1/3ルールはクリアできると算段しております。