ツーマン運行の点呼執行と労働時間の取扱いについてまとめてみた!

以前は、”ツーマン運行は割に合わない”ということで、実施している運送会社はほとんど無かったのですが、最近は、行政監査等で改善基準告示違反が厳しくなったこともあり、ツーマン運行を導入している運送会社もあるようです。

そこで、今回は「ツーマン運行の点呼執行と労働時間の取扱いについて」まとめてみました。

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1.ツーマン運行の乗務前・乗務後点呼のタイミングは?

乗務員Aさんと乗務員Bさんが、1両のトラックで交替して運転するツーマン運行ですが、通常、乗務する前に点呼執行するのであれば、どのタイミングで行えばいいのか、迷っている人もいるのではないでしょうか。

ここで思い出して欲しいのは「点呼執行は、休息前後で実施する」ということです。

ツーマン運行も同じ考え方です。

(乗務前点呼)
出庫する前に、点呼場で乗務員Aと乗務員Bに対して「乗務前点呼」を行う。
(乗務後点呼)
拘束時間最大20時間後、休息4時間に入る前、乗務員Aと乗務員B一緒に「乗務後点呼」を行う。

このようになります。

2.中間点呼のタイミングは?

それでは、次に中間点呼のタイミングについて考えましょう。

乗務前点呼と乗務後点呼は、乗務員A・Bの同時で行う必要がありました。やはり、中間点呼も乗務員A・Bの同時で行う必要があるのでしょうか?

答えは、同時に中間点呼を行う必要はありません。
つまり、中間点呼の場合は、個別でOKということになります。

たとえば、Aが運転中、Bが車内で休憩中の場合、Bのみに中間点呼を実施する。また、逆にBが運転中、Aが車内で休憩中の場合は、Aのみ中間点呼を実施すればいいのですね。

4.ツーマン運行時の労働時間はどのように扱われる?

ツーマン運行のとき、通常、乗務員Aは運転。そして、乗務員Bは車内で仮眠を取っていることだと思います。そのため、ツーマン運行時の労働時間はどのように取り扱えばいいのか迷いますよね。

労働時間を知るには、まずツーマン運行の特例内容を思い出してみましょう。

ツーマン運行
1日20時間
2人乗務(車両内に身体を伸ばして休息できる施設がある場合に限る)の場合、最大拘束時間は、1日20時間まで延長でき、休息期間は4時間まで短縮可。

このように書かれています。

ちなみに、拘束時間は、

拘束時間=労働時間+休憩時間

でしたよね。

そのため、たとえ、乗務員Aと乗務員Bが交互に運転または仮眠を取ったとしても、仮眠は休息時間として扱わない。つまり、仮眠は休憩扱いになるというわけです。

このことから、拘束時間から休憩時間を除いた時間が「労働時間」となります。

POINT
ツーマン運行の場合は「改善基準告示」の「1日についての拘束時間が15時間を超える回数は、1週間について2回以内とすること。」という規定は適用されない。
しかし、1か月における拘束時間は、ワンマンと同様に293時間以内でなければいけない決まりになっています。

5.ツーマン運行の運転時間はどのようにしてみる?

それでは、ツーマン運行のときの運転時間はどのように見るのでしょうか?

その答えは「個別に見る」になります。

個別に見ることができるように、運転日報に「運転を交替した場合、その地点及びその日時」を絶対に書かなければいけないことになっています。そこは、注意してくださいね。

6.ツーマン運行に拘束時間の重複はあるのか?

通常の運行では、

1日目 10:00発 - 22:00着
2日目  9:00発 - 22:00着

この場合、2日目の9:00~10:00の1時間は、1日目・2日目ともに拘束時間として加算されます。

では、ツーマン運行で、

1日目 8:00発 - 翌日 2:00着
2日目 7:00発 - 翌日 1:00着

このような運行をした場合、2日目の7:00~8:00の1時間は、1日目・2日目ともに拘束時間に加算されるのでしょうか。

答えは、ツーマン運行は特例であるため、通常とは異なり「それぞれ乗務開始~乗務終了の拘束時間のみを考えるため、加算はない」ということになります。

7.ツーマン運行のとき、運行指示書が必要か?

続いて、ツーマン運行のとき、運行指示書が必要か否かについてですが、「4.ツーマン運行時の労働時間はどのように扱われる?」で紹介したとおり、運転交替による仮眠はあくまでも休憩扱いです。

乗務前点呼と乗務後点呼の両方が対面ではなく、電話で行う日(=2泊3日以上の運行)があれば、中間点呼が必要になりますし、運行指示書も必要になります。

そのため、ツーマン運行においても「2泊3日以上の場合には運行指示書がいる」と覚えておけば問題ありません。

8.ツーマン運行のときの休息とは?

 ツーマン運行のときの休息について、支局の解釈は「車両が停まった状態で宿泊施設などで休むこと」になっています。

運送会社の中には、ツーマン運行であれば、24時間運行ができると思っている会社もあるようですが、4時間は停めて休息を取らせることが重要です。

9.ツーマン運行のデメリット

ツーマン運行の特例で、1日に20時間まで拘束時間を延長できますが、月の拘束時間は293時間(労使協定で320時間)の範囲で行う必要があるため、低く抑えられた運賃では対応できないと考えている運送会社は多いです。

臨検で是正勧告を受けた事業所が改善のために、一時的にツーマン運行を利用しても、また元の運行内容に戻るケースが多いと言えるでしょう。

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