トラックの1日の運転時間の限度は?運転時間に係る法律をまとめて解説!
あなたは、トラック運転手が1日に何時間まで運転してもOKなのか知っていますか?
運転者の労働時間などについては、厚生労働省の「改善基準告示」などに書かれているのですが、2日平均や2週間平均等については書かれているものの、1日の運転時間の限度については、はっきりと書かれていません。
では、月の拘束時間や2日平均等のルールを遵守したうえで、トラックの1日の運転時間は最大、どのくらい運転することができるのでしょうか?
1.運転時間の限界は〇〇時間だった!
1日の運転時間の限度の答えから先に書くと、最大「14時間30分」まで可能です。
では、なぜ「14時間30分」が限度なのかというと、改善基準告示の拘束時間と連続運転の限度から導くことができます。
まず、拘束時間と連続運転を思い出してみましょう。
●1日の拘束時間は最大で16時間まで。
●1日の休息は8時間以上。
●運転時間 4時間に対して、30分以上の非運転時間が必要。
このふたつの条件がありました。
1日の運転時間の限界にチャレンジした結果
拘束時間と連続運転を遵守したうえで、1日の運転時間の限界にチャレンジをした場合、↓のイラストのようになります。
「4時間運転し、休憩等を30分。」が3セット。
そして、残りの2時間30分を運転に充てています。
つまり、↓のとおりになるわけです。
● 運転時間 14時間30分
● 休憩 1時間30分
● 休息 8時間
これだけでは、法律違反になりません。
ですが、現実問題、このような運転をすることはできません。
2.長時間の運転時間には大きな壁がある!
1日の運転時間は”14時間30分”が最大です。
しかし、14時間30分の運転をするのは非現実的です。
そのため、改善基準告示も1日の運転時間の限度について、あえて触れておらず、拘束時間や連続運転など、さまざまなルールを守ったうえで運転するよう記載されているのです。
とくに運転時間で意識しなければいけない改善基準告示は、
① 2日平均して1日あたり運転時間9時間まで
② 2週間平均して1週あたり運転時間44時間まで
③ 連続運転は4時間まで
ですね。
これら運転時間に係る①~③について、その詳細を解説していきます。
3.運転時間の制限① 2日(始業時間から48時間)平均して1日あたり運転時間9時間まで
「2日平均して1日あたりの運転時間9時間まで…」のルールは運行管理者試験にも出題されているので記憶している方も多いかと思いますが、その参考書に書かれている正式な計算式は…
↑の式ですね。
たとえば、今回は4月2日を中心に見るとして、特定日を4月2日に指定しましょう。そうすると…
① 特定日(4月2日)と特定日前日(4月1日)の運転時間の2日平均
② 特定日(4月2日)と特定日前日(4月1日)の運転時間の2日平均
この①②が、9時間を超えていないかチェックして、両方とも超えていれば”違反”扱いになります。
運行管理者試験の例
過去に運行管理者試験で出題されたものを見てみましょう。
2日平均の運転時間で問題ない運転は”〇”。
違反な運転は”×”になっています。
なぜ、↑の図のようになっているのか解説すると、上から順番に解説すると…
1.片方の平均(特定日の前日と特定日)が9時間を超えていないためOK。
2.前日、翌日の平均とも9時間を超えているため、×
3.前日、翌日の平均とも9時間を超えていないため、〇。
よく間違えやすいのは「2日平均で1日9時間まで」の表現のために、勘違いしてしまいがちですが、9時間までOKといった場合、9時間はOK。9時間1分はNGということになります。
そのため、3.は「法令違反ではない」ということになるわけですね。
特定日はどこになる?
以前、「どこを特定日として監査を行われるのか?」という質問を受けたことがありますが、この「特定日」についてよくわからないという人もいるかと思います。
ですが、あまり深く考える必要はありません。
たとえば、行政監査が行われ、点呼記録簿や運転日報をチェックした場合、その【チェックした期間、すべてが特定日として扱われ】、ひとつでも2日平均の運転で違反があればNGと考えたほうがいいです。
たとえば、行政監査で↑のように4月1日~4月14日の運転時間をチェックされたとします。
この場合、4月1日から、1日ずつ2日平均を割り出されます。
そして、↑のチェック表から「4月10日を特定日とした場合、二日平均の運転時間が9時間超えをしていますね。」と監査官から注意を受けるというわけです。
4.運転時間の制限② 2週間平均して1週あたり運転時間44時間まで
1日あたりの運転時間はわかりにくい点がありましたが、今回の
ややこしくわかりにくい点がありましたが、「2週間平均して1週あたり運転時間44時間まで」のルールは単純です。
まずは、さきほどと同じように、とある1日を指定します。
そして、そこから2週間の運転時間を見て、1週あたり44時間以内であればOKということになります。
あくまで2週間を見て1週平均44時間以内なので、とある1週間が運転時間44時間を超えても、次の週で調整すればOKということになります。これも、不規則な業務が多い運送会社ならではですね。
5.運転時間の制限③ 連続運転は4時間以内
運送会社の中には、4時間運転したら30分の休憩等が必要と考えている人もいますが、若干異なります。
連続運転時間については、4時間半を”ひとつの器”と考えたほうが早いです。
そのため、運転時間も運転以外の業務(または休憩)も分割することができますが運転以外の業務(または休憩)は、1回あたり10分以上必要です。
サンプルとしては…
・運転1回目 …1時間20分
・運転以外の業務…10分
・運転2回目 …1時間20分
・運転以外の業務…10分
・運転3回目 …1時間20分
・運転以外の業務…10分
※運転時間 合計4時間
休憩時間 合計30分
といった感じです。
↓のように運行管理者試験にも出題されているので、参考にしてみてはいかがでしょうか。
まとめ!
面白半分で記事を作成していたら、なんだか運行管理者試験を受験する人のための記事になってしまいました^^;
ただ、2日平均の運転時間などは、じっさいに特別巡回指導や行政監査などでみられる項目なので、しっかりと管理しておいたほうがいいですね。
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コメント
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お世話になっております。
毎度拝見させていただいております。
前回は、一月の拘束時間の算出方法で質問させていただいたところ、とてもわかりやすい回答をしていただき、ありがとうございました。
今回は2週間平均の運転時間の算出方法について質問させてください。
1日の運転時間の1日は始業から24時間を指すと改善基準のポイントに明記されていますが、
2週間平均の場合は、特定の日の0:00から2週間後の0:00までの運転時間を単純に対象範囲とすればよいのでしょうか。
例えば、特定日を4/1とした場合
①始業点呼 4/14 22:00、終業点呼 4/15 6:00
②始業点呼 4/15 15:00~
のような業務になった場合、
①の業務中の運転時間は、すべて4/1起算の2週間平均の算出対象となり、②の業務の運転時間からが4/15起算の算出対象となるのでしょうか。
それとも一月の拘束時間の算出方法と同様に、4/5の0:00で区切って、前と今回の算出対象に分かれるのでしょうか。
よろしくお願いいたします。