1日に2回勤務があった場合の取り扱いはどうしたらいいの?

私はブログを書くとき「タイトルはパッと見てわかりやすい内容に…」ということをいつも心掛けています。

しかし、今回は、かなり迷いました汗

「1日に2回勤務」では、イメージしにくいと思います。このようなとき、もっと表現力があれば、うまく伝わるのになぁ…と思ってしまいます。

字でダメなら、サンプルを用いて…ということで、↓のとおり、例を用意しましたので、参考にしてくださいね。

【サンプル】

2:00~5:00 乗務(1回目の運行)
5:00~13:00 休息(8h労働)
13:00~18:00 乗務(2回目の運行)
18:00~ 休息

このように1回目の運行後、休息8時間を取得。同日、すぐに次の運行が始まるような場合、どのように取り扱えばいいか…迷ってしまいますよね。

本来、休息8時間を取得すると勤務終了し、休息後から次の日の勤務が始まります。

しかし、今回の例のように、1日に休息8時間を挟み、勤務が2つある場合、どのようにすればいいのでしょうか?

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1.1日に2回勤務があった場合 パターン①

今回の例では、24時間内で休息を挟んで2つの運行が存在します。そのため、1日だけど「2日勤務扱い?」と思っている方もいるかもしれません。

しかし、サラリーマンとトラック運送会社の運転手では、”1日”の取扱いが異なります。

サラリーマンの1日は0時から24時という枠組みですが、トラック運転手では当てはまらないのです。

厚生労働省が発行している「トラック運転者の労働時間等の改善基準のポイント」によると、トラック運転手の”1日”は「始業時刻から起算して24時間」という扱いになっています。

つまり、今回の例では、出勤簿上では、間に8時間の休息があったとしても「1日扱い」というわけなんですね。

点呼記録簿はどうしたらいい?

それでは、点呼記録簿はどのように記入すればいいのでしょうか?

点呼執行は、休息前後で点呼執行しなければいけないので、1日のうちに乗務前、乗務後点呼(中間点呼が必要な場合は、中間点呼も)を2セット行う必要があります。

つまり、点呼記録簿は、通常、ひとりにつき、1行用いると思いますが、このような変則的な運行をする場合は、2行使用することになるというわけなんですね。

2.1日に2回勤務があった場合 パターン②

では、続いて、次のような場合は、どのような取り扱いになるのでしょうか?

(7月3日)
2:00~11:00 乗務(1回目の運行)
11:00~21:00 休息
21:00~(翌7月4日)6:00 乗務(2回目の運行)
6:00~ 休息

サンプルの運行内容を見ると、始業時間は早朝2:00になっています。

途中8時間の休息を取った後、2回目の運行を行っているのですが…先ほどと違って、始業時間である早朝2:00から24時間を過ぎても運行が続いています。(7月4日の2:00~6:00)

また、2回目の運行についてですが、通常であれば「日付をまたいだ勤務の場合は両日出勤扱いになるの?」でも紹介しているように、日付をまたいだ勤務の場合、始業時刻の属する日の労働として扱われるはずです。

7月4日の2:00~6:00の取り扱いはどのようになってしまうのでしょうか?

出勤簿の取り扱いは?

まず出勤簿の取り扱いについては、労働基準監督署の判断によれば、印鑑の押し方は「任意」になるそうです。

つまり、サンプルの内容をもとにお話しさせていただくと、出勤簿7月3日のみの押印でもいいし、7月3日、7月4日どちらとも押印してもいいとのことでした。

どの地点で新しい勤務とみなされる?

次に1日の考え方ですが、改訂4版 自動車運転者労務改善基準の解説にその答えがありました。

改善基準告示における休息期間の役割は、勤務と勤務を区別するところにも、その意味があり、勤務と次の勤務の間に一定の長さ以上の休息期間を置くことによって、前の勤務と後ろの勤務を切り離すことにしているものである。
すなわち、継続8時間以上の休息期間が与えられれば、その直後の勤務は新しい1日の勤務の始まりになるということである。

つまり、サンプルを例に話をすると、
7月3日は、休息時間8時間後にもうひとつの始業時間21時~が発生することになるのです。

残業代はどのように取り扱われる?

①2:00~11:00(労働時間8時間、休憩1時間)
②21:00~翌6:00(労働時間8時間、休憩1時間)

の勤務をした場合、残業はどのように取り扱われるのでしょうか?

①・②がそれぞれの勤務で分かれるのであれば、労働時間は8時間、休憩は1時間で残業代は発生しないの?…と思うかもしれません。

しかし、通達では、次のように書かれています。

午前8時から午後5時迄を所定労働時間としている場合の本条の時間外の労働時間計算に当っては1日の労働時間を通算し8時間を超えた分の時間による。但し、この場合その労働が継続して翌日まで及んだ場合には、翌日の所定労働時間の始業時刻迄の分は前日の超過勤務時間として取扱われる
(昭和28.03.20基発(旧労働省労働基準局長名通達)第136号)

①と②は勤務としては分かれますが、いざ残業を計算する場合、「1日の労働時間を通算し8時間を超えた分の時間による…。」と書かれています。

つまり、勤務ではなく、1日の労働時間が8時間を超えたか超えていないかで、判断されるのです。つまり…

この勤務の場合、2:00から勤務が始まっているので、1日は、2:00~翌2:00の24時間と判断されます。

そうなると、21:00~翌2:00までが残業として扱われる…ということになるのです。

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コメント

    • 久保智克
    • 2020年 9月 21日

    質問です。
    上記『2.1日に2回勤務があった場合 パターン②』の場合の確認です。
    たとえば

    1回目 9/3 1:00-10:00(拘束9h、休憩1h、通常勤務8h)
    2回目 9/3 22:00-7:00(拘束9h、休憩1h、通常勤務8h)

    両勤務間が 12h(8h以上)開いているので2回目は新しい勤務の始まりと考えると
    1回目も2回目も8h勤務で残業ゼロとして構わない。また2回目は出勤簿は9/4の勤務として構わない。
    と考えてよいという理解で良いでしょうか。

      • トラックの杜
      • 2020年 11月 05日

      久保様、はじめまして!
      質問ありがとうございます。

      今回の質問について、本文で追記しました。
      参考にしていただければ幸いです。

    • 荒生 邦博
    • 2021年 9月 03日

    いつも参考記事をありがとうございます。

    「フェリー乗船待ち時間の分割休息と乗船時運行の点呼要領」について質問させていただきます。

    ・運行3日目の事例
    →0:00休息(8h以上)→2:00乗務 →8:00休息(6h) →14:00乗務(6h)/フェリー乗船待機 →20:00乗船(休息6h) →20:05乗船完了/休息開始~下船まで(休息20h)

    上記の事例について、2:00~8:00の休息、14:00~20:00の乗船待機を分割休息(合計12h)とし、1回目の乗務について3回の点呼を実施しますが、2回目の乗務と乗船時の運行について各々3回づつの点呼が必要となると考えられます。

    質問①:乗船待機時間(4h以上)を休息とすることの是非について
     〃②:2回目の乗務において乗務前点呼と中間点呼を、乗船完了時に乗務後点呼として合わせ1本とすることの是非について

    以上 よろしくお願いします。

    • タム
    • 2022年 7月 06日

    こんにちは。

    「どの地点で新しい勤務とみなされる?」について。

    「休息8時間以上の休息期間が与えられれば、その直後の勤務は新しい1日の勤務の始まり」
    であれば、分割休息4h以上を挟んだだけでは、その休息直後の勤務は新しい始業ではなく継続した勤務と考えればよろしいでしょうか。

    例えば、
    21:00~3:00まで乗務
    3:00~8:00まで休息
    8:00~22:00まで乗務

    この場合、休息5時間なので8時からの乗務は継続した1日扱い、であれば

     始業時刻 出発の21時
     終業時刻 翌日22時
     休息期間 5h(休息不足)
     拘束時間 20時間(25h-休息5h)
     残業   翌日の21時から1時間

    この考え方で合っていますか?
    よろしくお願いいたします。

      • トラックの杜
      • 2022年 7月 11日

      タムさん
      ご質問ありがとうございます。

      今回のご質問の内容ですが、
      21時から翌22時までを「継続した勤務」と考えることはできません。

      ※分割休息は、休息が1日で計10時間以上必要です。
       そのため、1日の拘束時間の最大は14時間までとなります。

      そのため、一般的には、改善基準告示違反にはなりますが…
      1日目 始業 21:00 終業 3:00 
      2日目 始業 8:00 終業 22:00

      が通常の区切り方になると思われます。

    • タム
    • 2022年 7月 06日

    すみません。

    残業のくだりは間違っておりました・・・
    失礼いたしました。

    • 内木
    • 2022年 9月 26日

    お世話になります。

    23:00~翌7:00 同日22:00出勤~同日23:30退社 この場合はどう計算すればいいですか?

      • トラックの杜
      • 2022年 9月 27日

      内木さん、お世話になります。

      15日23:00-16日7:00 労働
      16日7:00-16日22:00 休息
      16日22:00-16日23:30 労働

      と考えた場合、
      ・日付をまたいだ勤務の場合、始業時刻の属する日の労働として扱われる
      ・継続8時間以上の休息期間が与えられれば、その直後の勤務は新しい1日の勤務の始まりになる
      がポイントになります。

      サンプルの場合、15日23:00が始業時刻なので、
      23:00-翌7:00の労働は、15日の労働として扱われます。

      また、継続8時間以上の休息が与えられているので、
      その直後の16日22:00-16日23:30は16日の労働になります。

    • 2023年 2月 21日

    質問です。
    1日の間に、勤務と勤務の間に8時間以上の休息があれば
    休息後の勤務は、また新たな1日の始まりの解釈はわかりました。

    では、②21時〜翌6時の勤務の件ですが、上記に当てはまると
    1日の考えとして、21時から翌日の21時までが、また1日となる事でよろしいですか?

    もう一点、1日の拘束時間の考え方ですが、始業時間は始まりから
    24時間とみることから
    ①2時〜11時は 2時が1日の始まりなので、例え新たな1日の始まりの運行があろうと、②21時〜翌6時の運行の21時〜2時までの運行に関しては、ダブルカウントにはならないのでしょうか??
    それとも、新たな1日の運行になるのだから、ダブルカウントは
    取らない解釈でいいのでしょうか??
    宜しくお願いします。

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