前職で整備管理者をしていた経験を活かして、転職先でも整備管理者に選任された。または異動で別の営業所の整備管理者になった。
このようなとき、ふと思います。
「あれ?整備管理者に選任されたら、選任された翌年度末までに受診しなければいけないよね。」
異動や転勤などさまざまなケースがあると思いますが、今回、まとめてみましたので参考にしていただければと思います。
1.整備管理者研修とは?
もしも、あなたが整備管理者に選任されたら、研修を受講しなければいけません。その根拠は次の安全規則に書かれています。
貨物自動車運送事業輸送安全規則 第15条(整備管理者の研修)
貨物自動車運送事業者は、地方運輸局長から道路運送車両法第50条の規定により選任した整備管理者について、研修を行う旨の通知を受けたときは、整備管理者に当該研修を受けさせなければならない。
ちなみに研修のルールとしては…
・選任年度の翌年度末までに必ず定期研修を受講する(H31.4改正)
・その後、2年に1度研修を受講する
・複数選任している場合は、全員に受講義務が発生する
となっています。
以前までは整備管理者に選任されたら、まずは選任年度に1回受講して、その後、2年に1度、整備管理者研修を受けなければいけなかったのですが、H31.4の改正で選任年度の翌年度末までに定期手研修を受講すればOKになりました。
改正された法律の内容
平成31年4月に「貨物自動車運送事業 輸送安全規則の解釈及び運用について」の改正が行われました。そこで、次の文言が追加されました。
「整備管理者として新たに選任した者」とは、当該事業所において整備管理者として初めて選任された者のことをいい、当該事業者において、過去に整備管理者として選任されていた者や他の使用の本拠の位置で選任されていた者はこれに該当しない。
このため、転職などで法人が変わったときには、新たに選任した者として扱われ、選任後、翌年度末までに研修を受講させなければいけないということになります。
Q1.営業所を異動(A営業所 ⇒ B営業所)したときの受講義務は?
整備管理者に選任されて定期研修を受けるといっても、選任されたときの状況にはさまざまなパターンがあり、ときに本当に受講しなければいけないのか気になることがあるかと思います。
そこでサンプルを用いながら、じっさいに受講の義務があるかどうか紹介していきますね。
サンプル①
名前:山田さん
所属:
①2020年5月まで…A営業所の整備管理者
②2020年6月から…B営業所の整備管理者
研修歴:
2018年5月…整備管理者定期研修を受講済み
A営業所でバリバリ整備管理者で働いていた山田さん。
けれど、A営業所からB営業所に異動したことで、B営業所の整備管理者に改めて選任されることになりました。その選任届出を見ると選任日が「2020年6月1日」と表記されています。
ただ、山田さんはA営業所で整備管理者として働いていたので、2018年5月に定期研修を受けていました。このままだと2020年度に定期研修を受講しなければいけません。
ですが…2020年6月に会社からA営業所⇒B営業所に転勤。
A営業所の整備管理者を解任された後、B営業所の整備管理者として新たに選任されました。
山田さんは迷った!
そこで、山田さんは迷いました。
「俺はA営業所で整備管理者として2018年度に整備管理者研修を受講している。
A営業所の整備管理者であれば、2020年度に受講すべきだろう。だが、あくまでもそれはA営業所での話だ。」
「B営業所の整備管理者として新たに選任された場合は、B営業所の整備管理者として2021年度末までに整備管理者研修を受講すればいいのではないか…?」と。
そう!山田さんは転勤さえなければ、次回受講予定は今年度の2020年度のはずでした。
ですが、選任の翌年度末に受講しなければいけないのであれば、2021年度末まで整備管理者定期研修を受講しなければいけません。
問題です
さて、ここで問題です。山田さんはいつ整備管理者定期研修を受講しなければいけないのでしょうか?
整備管理者定期研修を2020年度に受講しなければいけないのか?それとも新たな整備管理者に選任された者として翌2021年度末までに受講すればいいのか?
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正解は…「2020年度研修を受講しなければいけない」になります。
Q2.転職(A会社 ⇒ B会社)したときの受講義務は?【パターン①】
サンプル②
名前:山田さん
所属:
①2020年5月まで…A社の整備管理者。5月末で退社
②2020年6月から…B社の整備管理者。6月入社。
研修歴:
2018年4月研修済み
諸事情があってA社を辞め、B社に入社しました。
B営業所でも、改めて整備管理者に選任された山田さん。ちなみにA社では2018年度に整備管理者研修を受講しています。
けれど、A社で整備管理者に選任されていた2018年4月が有効であるなら、2020年度に受講しなければいけません。けれど、B社で新たに整備管理者に選任されたという解釈なら、翌年度末までになります。
さて、次のパターンは会社を転職した場合です。
…
…
正解は「翌年度末までに受講する」になります。
Q3.転職(A会社 ⇒ B会社)したときの受講義務は?【パターン②】
サンプル②
名前:山田さん
所属:
①2020年5月まで…A社の整備管理者。5月末で退社
②2020年6月から…B社の整備管理者。6月入社。
研修歴:
2020年5月研修済み
このような場合、A社で受講した2020年5月の整備管理者定期研修は、B社の整備管理者の研修として認められるのでしょうか?
…
…
正解は…
B営業所に選任される前の2020年5月に受講していたとしても、B営業所の整備管理者として受講していたとみなされ、次回は2020年度の受講となります。
整備管理者になる前、同じ年度に先に受講していた場合でも「選任された年度に受講すればいい。」ので、何も問題はないそうです。
おまけ.初めて選任されたときは?
表題とは少し異なるのですが、次の問題です。
名前:山田さん
所属:
①2019年10月…整備管理者定期研修を受講
②2020年4月…整備管理者にはじめて選任される
このような場合、以前までの法律なら2019年度に受講したものが認められずに、選任年度である2020年度に受講しなければいけませんでした。
けれど、2019年に法律が変わってから、2019年度に受講しようが受講していまいが「2021年度末に受講しなければいけない。」事実は変わりません。
法律が変わったおかげで迷う必要があまりなくなったということですね。
違反した場合の処分は?
整備管理者研修を受講しなかった場合の違反については…
整備管理者の研修受講義務違反として【初違反10日車・再違反20日車】になっています。
初違反が警告が多い中、10日車とはなかなか厳しい内容になっていますね。
まとめ!
法律の改正で前回の定期研修の受講が有効か否か迷わなくてもよくなりました。そのため、この記事を法律に合わせて改定しましたが、もはや存在意義がなくなってしまいました(-_-;)
よほどのことがない限り、整備管理者に選任されたら、翌年度末までに定期研修を受講する。あとは2年に1度受講すればノープロブレムってことですね。