統括運行管理者とは何?徹底解説!
たいていの運送会社は、選任している運行管理者は1名で、点呼執行等の運行管理を補助するために”補助者”を活用していることだと思います。
そのため、いざ”統括運行管理者”とは何か問われると「どのようなものか?」よくわからないという方も多いのではないでしょうか。
先日も質問を受けましたので、今回は”統括運行管理者”についてまとめていきたいと思います。
1.統括運行管理者とは?
なぜ多くの運送会社では”統括運行管理者”に馴染みがないかというと、統括運行管理者は、運行管理者を複数名、国に届出しているときのみ必要だからです。
貨物自動車運送事業輸送安全規則 第18条第2項においても、次のように記載されています。
一の営業所において複数の運呼応管理者を船員する一般貨物自動車運送事業者等は、それらの業務を統括する運行管理者(以下「統括運行管理者」という。)を選任しなければならない。
逆に言えば、運行管理者を1名のみ選任している事業所は、統括運行管理者は選任しなくてもいいというわけなんですね。
多くの事業所は対象外!
運行管理者の選任数の表を見てみましょう。
↑のとおり、営業所単位で見るのですが、登録している車両数が29両以下の場合、運行管理者は「1人」でOKになっています。
99%が中小零細企業である運送会社は、営業所で30両以上所有していることは稀です。そのため、統括運行管理者に馴染みがないというわけなんですね。
(注意)
けん引車・被けん引車を保有している場合、
けん引車・1両+被けん引車・1両=保有車両1両扱いになります。
東京都トラック協会の届出様式を見てみよう
では、”統括運行管理者”を選任しなければいけなくなったとき、どのようにすればいいのか解説します。
じつは、届出方法はすごく簡単です。
東京都トラック協会で公開されている届出様式を見てみましょう。
↓のように「統括運行管理者」の欄があります。
そして、↓のように「複数の運行管理者を選任している場合、統括運行管理者に該当する者に〇を付けてください。」と書かれていますよね。
このように、統括運行管理者を選任した場合、運行管理者の届出様式に少し手を加えるだけで終了することができます。
2.なぜ統括運行管理者が必要なのか?
そもそも、なぜ統括運行管理者の選任をしなければいけないのでしょうか?
それは、運行管理者が、複数、選任しているとその責任は曖昧になってしまうからです。
とくに重大事故があったとき、
「(事故車両の運行管理について)俺は知らない。」
「俺には関係ない。別の運行管理者が担当していた。」
このように、複数、運行管理者がいることで、責任逃れをしたり、なすりつけたりすることも考えられます。
そのため、複数の運行管理者を選任している営業所については、責任を明確にするために、運行管理全般を統括する【統括運行管理者】が必要-というわけなんですね。
3.統括運行管理者を選任していない場合、罰則はある?
統括運行管理者を選任していない場合の行政処分はどのようになっているのでしょうか?
統括運行管理者の選任違反 初違反…20日車 再違反…40日車
たいていの違反について、初違反は「警告もしくは10日車」の項目が多い中、20日車とかなり厳しい内容になっています。
また、巡回指導においても、統括運行管理者を選任していないと判断された場合は、改善するよう文書指導されます。
4.組織体制図の作成も重要
統括運行管理者を選任したときは、組織体制図にも記載する必要があります。
「組織体制図の書き方!名前まで記載する必要がある?」でも紹介していますが、↓のように、統括運行管理者を含める必要があります。
5.注意すべきケース
統括運行管理者を選任していないケースで多いのは、登録している車両数が29両未満から30両以上に変わったとき―です。
保有車両台数が29両未満のときは、運行管理者は1名で問題ありませんでした。ところが、30両以上になると、運行管理者を2名以上にしなければいけません。
ただ、この件については、多くの運送会社が理解しています。
しかし、統括運行管理者の選任までとなると、そこまで意識していないことが多いのです。
届出するとき、支局が教えてくれないのはなぜか?
「なぜ、運行管理者の選任届出をするときに、支局の専門官は指摘してくれないのか?」このように疑問に思った方も多いと思います。
これは追加届出だけでは、受理する支局側も「統括運行管理者」が必要か否か判断がつかないためです。
仮に、とある運送会社の運行管理者であるBさんを1名追加するとしましょう。そのとき届出には、以前からいる運行管理者Aさんの名前を記載しなくても、届出様式の”追加”に〇をして、Bさんの名前だけを記載すれば問題ありません。
そのため、届出には、Bさんを追加します―としか記載されていないので、29両から30両以上に増車したことで、仕方なく追加届出する以外にも、次のようなケースが想定されるのです。
・業務の都合上(本来1名選任で問題ないが)1名追加した。
・保有車両59両から60両に増車したため、2名から3名に変更した。
※この場合、すでに複数名いるので統括運行管理者はいる。
結果、届出だけでは判断ができないので、支局の専門官から「統括運行管理者の選任を忘れていますよ。」と指摘してくれることはないのです。
29両未満から30両以上に変更して運行管理者を1名追加したとき、”統括運行管理者”の追加を忘れていないか、管理者や行政書士の方は特に注意したいですね。
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