トラック運送業界は、日本の物流を支える重要な基盤ですが、その裏には一般には知られていない課題が数多く存在します。
特に、荷主の無理難題によってドライバーが困難に直面するケースが頻繁に報告されています。
- 過積載依頼、運賃・料金の不当な据え置き
- 無理な到着時間の設定
- 恒常的な長時間の荷待ち
- 大型台風や豪雪日の配達依頼
など、その影響は深刻です。
本記事では、それぞれの問題を掘り下げ、具体例を交えて読者に感情的なつながりを生み出すようにお伝えします。
1.運送会社と荷主は対等な関係ではない
運送会社と荷物を依頼する”荷主”は対等な関係ではありません。
運送会社はいつも弱い立場に立たされます。
荷主側からすれば、「いま取引をしている運送会社がなくなれば変わりはいくらでもある。」と言わんばかりに強気な対応を取られることって、あるあるですね。
さらに、運送会社の経費の多くを占める燃料価格・人件費の高騰で、もはや自助努力ではどうしようもないところまで追いつめられているにもかかわらず、運賃の値上げを交渉するのは”もってのほか”の状態です。
私の知り合いの運送会社は、運賃の値上げ交渉を行った結果、他の運送会社に乗り換えられました。
2.過剰なサービスを要求される
荷主と運送会社のチカラ関係に関連することですが、あまりのチカラの差に理不尽なことを押し付けられることが多いです。
- 無料で付帯サービスをしなければいけない。
- 段ボールが破損しただけで買い取りを要求される。
- コスト上昇になっても運賃に転嫁することができない(むしろ値下げを要求されることも)
- 荷主から無理な輸送をお願いされる
数えたらきりがありません。
【荷主との契約上の問題】で、商品が予定どおりに到着・納品しなかったら、運送受託責任でペナルティをくらうこともしばしば。運送会社としても契約を打ち切られるわけにはいかないから、理不尽と感じていても何もいえないのが現実です。
それだけ力関係がぜんぜん違うから仕方がないんですよね^^;
3.違反があれば運送会社が責任を問われる
荷主の無理な要求で、
- 道交法違反(速度違反など)
- 改善基準告示違反
- 過積載
などを起こしたとしても、運送会社や運転手が責任を取らされる理不尽さがあります。
ときに、最悪なケースになると、労働基準監督署や運輸支局の監査官が来たとき。運行管理上の法令違反で車が何日も止められてしまう…なんてことも。
「車両が止められたから…。」といって乗務員を切るわけにもいかないし、仕事も止めるわけにはいかない。
ここから、本当の地獄が始まります。
運送会社は苦しい思いをしているのに…無理難題を押し付けた荷主は、お咎めなしなんですよね。
つまり、運送会社を処分することで、一件落着扱いされるわけ。
荷主企業まで処分がいくことは滅多にないんです。
「そもそも、低運賃で無理難題を言ったあんたらのせいで…!」と言いたくなるけど、みんな生活するためには、激昂した感情をグッと抑えなければいけない。
でも…弱い運送会社ばかり、ターゲットにしている役人さん。黒幕を放置していたら、いつまで経っても事故はなくならないんじゃないの?といいたくなる。
4.販売商品には輸送コストの上昇のためと記載されているが…
私たちの身近にある商品が値上げをするときに使われる理由として「輸送コストの上昇のため」という一文が使用されることがよくありますが、運送会社の運賃に反映されているでしょうか?
まったく反映されていませんよね?
輸送コストの上昇と言いながら、運送会社には、値上げ分を還元していなければ、いわば詐欺と言われても仕方のない状態なのですが、運送会社は何も言えません。
また、輸送費「0円」とアピールしている販売サイトもありますが、あれも運送会社の負担として大きくのしかかっている現実があります。
5.過積載依頼とドライバーのジレンマ
過積載は、法律で厳しく規制されています。
道路交通法により、トラックには積載重量の上限が定められているため、安全運行を守るためにこれを超えてはいけないのですが…。運んでいる荷物によっては「少しだけ多く積んでくれないか」といった依頼が後を絶たないのです。
あるドライバーはこう証言します。
「荷主の要求を拒めば次の仕事を失うかもしれない。しかし、無理をすれば罰則を受けるだけでなく、事故が起きれば重大な結果を招く。」
こうした背景には、荷主と運送会社間の力関係があります。
荷主が優位に立つことで、運送会社は条件を受け入れざるを得ない状況に陥りやすいのです。
その結果、ドライバーたちはジレンマに立たされ、ストレスや疲労を抱えながら日々の業務をこなしています。
ある運送会社の管理者は、「過積載が引き起こす事故のリスクは多くの命を危険にさらす可能性がある」と懸念を示しています。
6. 運賃・料金の不当な据え置きと経済的圧迫
日本の運送業界では、運賃の据え置きが頻繁に見られます。
これにより、企業は厳しい経済的圧迫を受け、ドライバーの待遇も影響を受けている現実があります。
例えば、数年前から燃料費や保険料は大幅に上昇しているにもかかわらず、運賃は据え置きのままであることが珍しくありません。
こうした状況は、企業の利益を圧迫し、ドライバーへの適正な報酬が支払われにくくなる要因の一つになっています。
「運賃は10年前と変わらないのに、燃料費は倍近くになった」とある運送会社の経営者は語ります。
これにより、運送会社はコスト削減を余儀なくされ、結果として労働条件の悪化につながることもあります。
ドライバーが長時間労働や低賃金にさらされることで、人材の流出や後継者不足が深刻化している現状も見逃せません。
7. 無理な到着時間と安全性のジレンマ
荷主からの要望で最も多いのが、無理な到着時間の設定です。
「この時間までに届けてほしい」と要求されることは多く、それが物理的に不可能であっても、運送会社は対応せざるを得ません。
ドライバーたちは過密なスケジュールに追われ、休憩を取らずに走行を続けることを強いられることがあります。
これにより、疲労が蓄積し、事故のリスクが高まるのです。
「一度、深夜の高速道路を運転していた時、眠気に襲われてハンドルがぶれるのを感じたことがあります」と語るのは、10年以上の経験を持つベテランドライバー。
こうしたケースは決して珍しくありません。
私も、とある運送会社のデジタコを見たところ、拘束時間超過だけでなく、4時間以上の連続運転をしなければ到着時間に間に合わないといったケースがありました。
交通事故の一因ともなる疲労運転は、ドライバーの命だけでなく、周囲の安全も脅かします。
安全第一を掲げるべき業界において、無理な時間設定は改善が必要です。
8. 長時間の荷待ち:時間を浪費する現実
トラックドライバーにとって、荷待ち時間は日常業務の中で最も厳しい部分の一つです。
あるドライバーは、「4時間以上も荷待ちをすることがあった。荷物の積み下ろしが終わるまでの間、体は休めているわけではなく、常に気を張っている」と語ります。
こうした待機時間は、報酬に反映されないことも多く、実質的に無給の労働時間となります。
このような荷待ちの長時間化は、働く環境に対する不満を助長し、労働意欲を削ぐ要因となります。
ある運送会社では、荷主との交渉を通じて荷待ち時間の短縮を試みましたが、「現場の改善にはまだまだ時間がかかる」と経営者は述べているのですが、この現実が、運送業界全体の問題として認識されることが重要です。
9. 天候を無視した無理な配達依頼
台風や豪雪などの悪天候にもかかわらず、荷主から「予定通りの配達を」といった依頼が寄せられることがあります。
これは、ドライバーの安全を無視した要求と言わざるを得ません。
ある日のこと、ドライバーのAさんは台風が直撃する中、荷主の要望に応じて出発しました。「風雨が強く、トラックが横に揺れ、命の危険を感じた瞬間が何度もあった」と彼は振り返ります。
このようなケースは、ドライバーのストレスや事故の原因にもなります。
安全運転を優先すべきであるにもかかわらず、納期重視の文化が根強い業界では、こうした無理な依頼が後を絶ちません。
多くの業界関係者は「気象条件に応じた柔軟な対応が求められる」と口を揃えて言いますが、現場の実態は改善が進んでいないことが多いです。
結論
トラック運送業界が抱える課題は、決して軽視できるものではありません。
過積載の問題、運賃の不当な据え置き、無理な到着時間設定、長時間の荷待ち、悪天候下での配達依頼といった現実は、ドライバーの安全と業界の健全な発展を阻む要因です。
こうした課題を解決するためには、荷主側と運送会社、さらに政策的な取り組みが一体となって現場の声を反映し、働く環境を改善していくことが求められます。