旅客の運行管理者の資格で、貨物の運行管理者or補助者になれる?
旅客の運行管理者に選任されていた人がトラック運送会社に勤めることになった。
その逆もあることでしょう。
つい先日、次のような質問をいただきました。
前職がバスの運転手で「旅客」の運行管理者の資格を持っているのですが、現在、トラック運送会社に転職しています。そこで質問なのですが「旅客」の資格で「貨物」の補助者になれるのでしょうか?
コロナウイルスの影響で観光バスなどの旅客は大変な状況ですよね。海外からの観光客が激減してしまい、経営状況が厳しくなっているので、やむを得ずトラック運送会社に転職するケースも増えています。
そのような背景から、いただいた質問と同様の悩みを持つ人が今後も増えてくるかもしれません。
そこで、今回は「旅客の運行管理者の資格で、貨物の運行管理者、もしくは補助者になれるのか?」について、あらゆる可能性を考えながら、解説していきたいと思います。
1.旅客と貨物の運行管理者の資格は別
まずは、答えから先に回答します。
旅客の運行管理者資格者証で、貨物の運行管理者として選任することができるかどうかーです。
私は、過去、旅客の運行管理者資格者証を所持しているAさんから「(トラックの運送会社に転職したが)旅客の運管資格で貨物の運行管理者に選任できるのか?」という質問を受けたことがあります。
答えから先に言うと「旅客の運行管理者の資格者証で、貨物の運行管理者として選任することはできません」
なぜなら、貨物と旅客では、運行管理者の試験内容が異なるからです。
貨物には貨物専用の知識が…
旅客には旅客専用の知識が問われるので、まったく別の資格扱いなんですね。
そのため、Aさんは、旅客の運行管理者の資格を所持していても、貨物の運行管理者の資格を持っていなければ、改めて取得する必要があるというわけです。
check!
貨物と旅客の運行管理者資格者証は異なります。
そのため、旅客の運行管理者の資格を持っていても、貨物の運行管理者として選任したければ、改めて貨物の試験を受験する必要があります。
2.選任されていないが旅客の運管資格を取得している。その者が貨物の補助者になれるか?
次に、質問をいただいた「(運管に選任されていない)旅客の運行管理者資格を取得している者が貨物の補助者になれるか?」についてです。
この件については、私個人で判断できなかったため、運輸支局に確認しました。
その回答は…「補助者になれる」でした。
想定外の回答にビックリしましたが、補助者は、先ほどの運行管理者の選任よりもハードルが低いみたいですね。
check!
(運管に選任されていない)旅客の運行管理者資格者証を所持している者を、貨物の運行管理者補助者として選任することは可能です。
4.旅客の運管に選任されている者を貨物の補助者にできるのか?
「旅客と貨物の運行管理者を兼任することができる?」で紹介しているように、条件さえ満たせば、旅客と貨物の運行管理者を兼任することができます。
では、旅客の運行管理者に選任されている者を貨物の補助者に選任することができるのでしょうか?
答えは「できます」。
ただし、「貨物側の資格者証を持っていること」が条件になります。
3と4の話を↓にまとめると…
●旅客の運行管理者の資格者証持ち
【旅客】(運行管理者に)未選任 ⇒ 【貨物】補助者 選任できる
【旅客】(運行管理者に)選任 ⇒ 【貨物】補助者 条件あり
旅客の運行管理に選任されている状態で、貨物の運行管理者補助者の兼任は、簡単ではありません。使い分けるだけの豊富な知識が必要になります。
そのため、補助者の要件が運管を両方兼任するときと同じ条件になっているのです。
詳しくは「貨物自動車運送事業輸送安全規則の解釈及び運用について」第18条に書かれていますので、気になる方はチェックしてみましょう。
check!
(旅客or貨物)運行管理者に選任されている場合と選任されていない場合では、補助者に選任するための条件が異なります。
4.旅客(貨物)の基礎講習を受講した者が貨物(旅客)の補助者になれるか?
通常、運行管理者資格を取得していなくても、運行管理者の基礎講習を受講していれば、補助者に選任できますよね。
このとき、次のような疑問が生まれます。
旅客の基礎講習を受講したBさんが、貨物の補助者になれるのか?
最近、運行管理者の講習を受講した方ならご存知だと思いますが、基礎講習と一般講習は「貨物」と「旅客」それぞれ分かれて開催しています。
そのため、旅客の基礎講習を受講した者が貨物の運行管理者 補助者になれるかというと…
答えは「補助者に選任できない」になります。
※貨物の基礎講習を受講した者が、旅客の補助者に選任できるか―についても同じ回答になります。
check!
貨物と旅客の基礎講習は別モノと考えること。
そのため、旅客の基礎講習を修了したとしても、貨物の補助者には選任できません。(※ただし、↓のとおり例外あり)
基礎講習が貨物と旅客が同じ会場だったときに受講した場合
以前は、貨物と旅客で基礎講習は区別されていませんでした。
もしも、区別される前に基礎講習を受講していた場合、どのような扱いをされるのでしょうか。
答えは「区別以前(※)に基礎講習を受講した者は、貨物・旅客、どちらの補助者にもなることができる」―になります。
check!(※)
貨物・旅客の区別がない基礎講習は、1995年(平成7年)4月1日~2007(平成19年)3月31日の間になります。
まとめ
補助者の選任の条件については、複雑なので注意が必要です。
当ブログを再チェックするか、 「貨物自動車運送事業輸送安全規則の解釈及び運用について」第18条 を見たうえで判断しましょう。
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