トラックドライバー不足解消のため、社員紹介制度を設けても大丈夫?
トラック運送会社の 会合などに参加すると、トラックドライバー不足の問題はどの運送会社も抱えているようで、かならず話題に出てきます。
「仕事はある。車両もある。」
「でも…トラック運転手がいない。」
このように慢性的な人手不足に悩まされている運送会社は本当に多いです。
運転手の紹介に頼っている運送会社が多い
少しでもドライバー不足を解消しようと、運送会社もあの手この手で確保しようとしています。
そのうちのひとつが「知人紹介制度」の導入ですよね。
「(お前の)知り合いに信頼できるトラック運転手いない?もしも、その運転手を連れてきてくれたら、報奨金を出すよ。」
自社のトラック運転手に、ボーナス出すからトラック運転手を紹介してもらう制度なのですが、ふと「この方法、安易に導入してもいいの?」「何か注意すべき点はないの?」と疑問に思った人も多く、問い合わせもあります。
1.ドライバー紹介制度にはハードルがある
社員から知人など、信頼できるドライバーの紹介を受けること自体は何も問題ありません。そもそもドライバーや社員から、新たなドライバーを紹介してもらうことは手軽ですし、信頼できますよね。だから、多くの事業所が活用しています。
けれど、紹介してくれた社員に報奨金などの謝礼を出す―この行為はどうでしょうか?
じつは、意外とハードルがあるのです。
他社が実施しているということを耳にして、イメージだけで安易にはじめてしまうと、知らず知らずのうちに法律違反になってしまっていたということになりかねません。
人材不足問題に抱える運送会社だからこそ、正しい「社員紹介制度」を知っておきましょう。
2.問題点とはなにか?
たとえ、社内でのやりとりとはいえ、ドライバーを紹介してもらった社員に対して報酬を渡すことは、職業安定法の規制を受けることになります。
職業安定法 第40条をみてみましょう。
「労働者の募集を行う者は、その被用者で当該労働者の募集に従事するもの又は募集受託者に対し、賃金、給料その他これらに準ずるものを支払う場合又は第36条第2項の認可に係る報酬を与える場合を除き、報酬を与えてはならない」
このように「報酬の供与の禁止」を定めてあります。
そのため、社員から知人などの紹介で、報酬を渡す制度を設定するときには、この法律に気を付けながら行わなければいけません。
3.報奨金は違法!賃金として支払えば問題なし
では、社員の協力を得るための「紹介制度」はどのようにすればいいの?…ということですが、職業安定法40条には、「賃金、給料その他これらに準ずるものを支払う場合…を除き」と書かれていますよね。
つまり、「ドライバーを紹介してくれてありがとう!これ報酬!」と、紹介してくれた社員にポンッと報酬を渡す…これはダメということになるのですが、賃金として支払えば問題ないということになるのです。
4.報奨金扱いにならないための例①
イメージしにくいと思いますので、一つの例を見てみましょう。
とあるA運送会社の話です。
A運送の社員であるBさんは、信頼できるドライバーCさんを紹介しました。人手不足だったので、A運送の社長も大喜び!さっそく、Bさんにお礼することになりました。
ただ、直接、報奨金を渡しては違法になる。
そこでA運送の社長は…
・賞与やボーナスの支給
・賃金・給与の昇給の判定のときに評価のプラス材料とする
・賃金・給与の一形態として特別に手当で支払う
のいずれかなら、問題ないということを知りました。そこで、Bさんには、【Cさんを紹介してくれたことで、会社の業績も上がる】ということで、賃金の特別手当として反映しました。
このような感じです。
ただし、ボーナスや昇給の評価として付け加える方法だと、具体的な基準としての数値等を示すことが難しいので、動機づけとしてどうしても弱いものになってしまいます。…なので、できるだけ、内規的な一定の基準を容易しておき、紹介してくれる社員にきちんと説明することが必要になります。
5.報奨金扱いにならないための例②
大規模な企業であれば、そのほかにも福利厚生面で優遇措置をする方法もあります。
たとえば、
- 一定金額相当の社員食堂利用券
- 契約保養所の宿泊優待券
など、各社それぞれの福利厚生制度に合ったカタチで、紹介したお礼をすればOKです。
まとめ!
簡単にいえば、報酬ではなく給料として支払ってね…ということです。
なお、会社としては、社員から紹介された労働者が、会社に採用後、使用期間あるいは3カ月、6カ月と一定の期間を超えて働いた場合など条件にしなければ、かならずトラブルになりますので設けておきましょう^^
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