乗務前点呼と乗務後点呼のいずれも電話点呼になってしまった場合、その運行の途中で中間点呼をしなければいけませんよね。
この中間点呼をするとき、おさえるべき3つのポイントがあります。
それは―
1.中間点呼をしなければいけない運行とは?
2.記録方法とは?
3.中間点呼のタイミングとは?
になります。
それでは、解説していきます。
1.中間点呼をしなければいけない運行とは?
「中間点呼」をしなければいけないパターンは2つあります。
それは、
Ⅰ.2泊3日以上の長距離輸送をしたとき
Ⅱ.1泊2日以上の分割休息のとき
になります。
Ⅰ.2泊3日以上の長距離輸送をしたとき
2泊3日以上の長距離輸送になると、2日目は、乗務前点呼と乗務後点呼いずれも運行管理者と対面することができない。つまり、電話点呼になると思います。
このように、乗務前点呼と乗務後点呼で対面できない場合は、運行の途中で「中間点呼」が必要になります。
Ⅱ.1泊2日以上の分割休息のとき
原則、休息期間は1日8時間以上、必要になります。
しかし、「分割休息」の特例を活用すれば、必ずしも継続8時間以上なくても休息が認められるのです。
【参考・分割休息】
業務の必要上、やむを得ない場合に限り、当分の間、1回4時間以上の休息期間を拘束時間の途中及び、拘束時間の経過終了後に、合計10時間以上あれば、分割することが可能になっています。
つまり、「分割休息」で休息期間を2回に分割した場合は…
・「拘束時間の途中」に休息1回目
・「拘束時間の経過終了後」に休息2回目
ということになります。
休息が分割されると点呼執行回数が増える
ここで、乗務前点呼と乗務後点呼を思い出してみましょう。
乗務前点呼 ⇒ 休憩を取った後「いまから乗務しようとする前」に実施。
乗務後点呼 ⇒ 休憩を取る前「乗務を終了した後」に実施。
乗務前点呼と乗務前点呼を実施するタイミングは、休息を取得する前後になっているため、地場の場合、乗務前点呼1回・乗務後点呼1回/1日になるのです。
では、分割休息ではどうでしょうか?
分割休息の場合、休息を分割しているので、1日に休息期間が2回以上あります。つまり、「拘束時間途中」の前後、「乗務を終了した後」もそれぞれ点呼が必要になってくるのです。
そうすると、1泊2日以上で、2日目に分割休息を行った場合は、乗務前点呼・乗務後点呼が電話点呼になってしまうため、中間点呼をしなければいけない場面が発生することになります。
2.記録方法は?
地場の点呼記録簿と2泊3日以上の長距離輸送の点呼記録簿は異なります。長距離輸送をする場合、かならず「中間点呼」の項目のある様式を選択する必要があります。
トラック協会で公開されている点呼記録簿も、中間点呼がある様式・ない様式がそれぞれありますので、用途に合わせて使い分けることが重要です。
3.中間点呼のタイミングは?
中間点呼の実施方法について、どのように解説されているのでしょうか?
長距離運行等により乗務前点呼・乗務後点呼のいずれも対面点呼を執行することができない場合(2泊3日以上の運行の場合)は、乗務の途中で少なくとも1回電話(又はその他の方法)により【中間点呼】を実施しなければならない。
この「乗務途中で少なくとも1回電話により実施しなければならない」が答えのすべてになります。
乗務途中であればOK。
つまり「中間点呼を行うタイミングは、乗務前点呼と乗務後点呼の間ならいつでも実施してもいい―」という解釈になるのです。
運行管理のことを考えれば、適切なタイミングで!
乗務前点呼と乗務後点呼の間で、中間点呼を実施すればOK。
これが中間点呼のルールですが、運行管理を考えれば、乗務前点呼が終わった後、すぐに中間点呼を実施することは望ましくありません。
そもそも中間点呼は、乗務前点呼と乗務後点呼で「運行管理者と対面で顔を合わせることができない」とき、運行管理が疎かにならないよう、運行の中間で電話などで情報交換することが目的になります。
なので、朝から夜の運行であれば、お昼ご飯休憩前に中間点呼を取るのが望ましいと言えます。
手抜きをしてもすぐばれる!
なお、中間点呼により、点呼が1回増えてしまうため、面倒くさいと感じる管理者もいるかもしれません。
そのため、適当な時間帯に中間点呼を実施したことにすればいいのでは―と考える人もいるかもしれませんが、すぐにバレます。
特に運行記録計(アナログ式・デジタル式)を装着している車両は、運行記録と点呼簿を照らし合わせて、矛盾がないかチェックされてしまい、不正がバレてしまうのです。
そのため、最悪の場合、点呼記録簿の偽造という扱いを受け、重い行政処分になってしまうこともあるため、きちんと中間点呼を行う習慣をつけることが大切です。
まとめ
飲酒運転や重大事故があったときなど、真っ先に見られるのが点呼記録簿や運転日報です。だからこそ、管理はキチンとしておかなければいけません。
また、安易な偽造はすぐにバレてしまい、かえって大きな行政処分を受けることになるので注意しましょう。