採用面接時、女性に結婚や出産の予定について確認しても大丈夫?

運送業界も最近、少しでも人手不足を解消するためにトラガールを頻繁に取り上げるなど、女性がトラックを運転する機会が増えてきました。ただ、ここ最近のことなので、採用面接時に女性応募者に聞いてはダメなのは何なのか把握していないケースが多いです。

たとえば、採用したのはいいけれど「妊娠を理由に産休に入りたい。」など言われたら困るという発言がテレビで問題になっていましたが、事実、採用直後に産休に入られるのは会社としては困るのが本音でしょう。

そこで、採用面接時に女性が応募してきたとき、結婚や出産の予定をあらかじめ聞くことは問題ないのでしょうか?

1.結婚や出産のことを聞いてはダメ!

中小零細企業が99%と言われるトラック運送会社にとって、採用直後に産前産後休業を取られると困るというのが本音ですよね。…かといって、女性が面接にきたときに、結婚や出産のことを聞くのはどうか迷っている人も多いと思います。

まず、答えから言ってしまえば、やはり問題があるという結論になってしまいます。
どうしても、男女差別の問題になってしまうからです。

採用面接時のマタハラ(マタニティハラスメント)は、直接的な差別として、男女雇用均等法第5条の「性別を理由とする差別の禁止」に抵触してしまうからです。

この点については、いわゆる「男女差別禁止指針」(労働者に対する性別を理由とする差別の禁止等に関する規定に定める事項に関し、事業主が適切に対処するための指針。平成18年厚生労働省告示614号)で具体的な禁止事項として「採用選考において、能力及び資質の有無等を判断する場合に、その方法や基準について男女で異なる取り扱いをすること」を挙げています。

その事例のひとつとして「採用面接に際して、結婚予定の有無、子供が生まれた場合の継続就労の希望の有無等一定の時効について女性に対してのみ質問すること」を禁止しているのです。

2.個人のプライバシーに該当する

また、職業安定法が平成29年度に改正され、平成30年1月より施行されているのですが、その第5条の4で「労働者募集を行う者」は、求職者、応募者の個人情報の収集・保管・使用にあたっては「その業務の目的に必要な範囲内」で収集、保管し、使用しなければならないとしています。

つまり、結婚や出産予定などは、仕事に必要な情報ではなく個人のプライバシーであるため、「その業務の目的に必要な個人情報」には明らかに該当しないということになってしまうのです。

状況によっては、この5条の4に抵触しかねず、法律違反となる恐れもあるので注意しておきたいところです。

3.社会問題化し、国も監視している

新聞やニュース、ブログなどを見ると、妊娠や出産をキッカケに会社で嫌がらせに合うなど、いわゆる職場におけるマタハラが多発しているのがわかるかと思います。国会でもこの話は取り上げられ、社会問題にもなっています。

このため、厚労省では、男女雇用機会均等法や育児・介護休業法をはじめ、先ほど紹介した指針や「事業主が職場における妊娠、出産等に関する言動に起因する問題に関して雇用管理上、講ずべき措置についての指針」(平成28年厚生労働省告示312号)などにより事業場に対するマタハラ防止対策を指導しているので、そうした意味でも慎重に対応したほうがよさそうです。

まとめ!

まだ、トラック運送業界には女性進出が少ないのですが、それでも最近は、チラホラ見かけるようになりました。今後、環境が整えば、もっと増えていくのかもしれません。そのようなとき、対応を間違えないようにしておきたいものです。

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