事故の記録(事故台帳)の書き方は?
交通事故は安全教育を行うことで激減させている運送会社はたくさんあります。
ですが、完全に何年も「交通事故”0”」を継続することは難しいです。
ただ、交通事故が起きてしまったら、同じ失敗を繰り返さないように「事故記録(事故台帳)」で他の乗務員と情報を共有することはとても重要なことです。
ですが、いざ交通事故などが起きてしまうと「事故の記録(事故台帳)をどのように書けばいいのかわからない…。」と頭を抱えてしまっている運行管理者も多いのではないでしょうか?
そこで今回は事故が起きてしまったときの事故台帳のつくり方について紹介していきますね。
1.事故の記録(事故台帳)を記載しなければいけないケースとは?
「事故の記録」については、貨物自動車運送事業輸送安全規則の第9条の2において次のように書かれています。
『一般貨物自動車運送事業者等は、事業用自動車に係る事故が発生した場合には、次に掲げる事項を記録し…』
このように「事業用自動車に係る事故」があった場合は、事故記録を記録保存することが必要ということがわかります。
一般的には、公道で交通事故などが発生した場合、書かなければいけないというイメージがあると思いますが、仮に構内での事故や労災事故が起きてしまった場合はどうでしょうか?
迷いますよね?
…
答えは、構内での事故(自動車事故報告書を提出しなければいけない場合は記録の必要あり)や労災事故については、記録保存義務はないそうです。
あくまでも後述している条件に一致している場合、記録保存する必要があるというわけなんですね。
2.交通事故や事故報告書を提出するケースはかならず記載
もう少し掘り下げてみます。
あなたの営業所に登録している車両が…
・交通事故(人の死傷もしくは物の損壊)を起こしてしまった。
・自動車事故報告書が義務付けられている事故が起きてしまった
このような場合、法定項目を満たした事故の記録(事故台帳)をきちんと記録しておく必要があります。
まず「自動車事故報告書」ですが、これは重大事故が起きてしまったとき、運輸支局へ届出の義務があるので記録保存を忘れるということはないと思います。
自動車事故報告書を3部提出したうち1部は、支局が受付印を押して返してくれるので、それをそのまま記録保存すれば問題ありません。肝心なのは、届出義務のない【①交通事故は記録】。これを忘れがちになるので注意してくださいね。
3.事故の記録の法定項目とは?
(貨物自動車運送事業輸送安全規則第9条の2 事故の記録)
① 乗務員の氏名
② 自動車の登録番号その他の当該事業用自動車を識別できる表示
③ 事故の発生日時
④ 事故の発生場所
⑤ 事故の当事者(乗務員を除く)の氏名
⑥ 事故の概要(損害の程度を含む)
⑦ 事故の原因
⑧ 再発防止策
①~⑨をすべて記載していれば問題なしです。
「自動車事故報告書」をそのまま利用してもいいのですが、記載する項目がたくさんありすぎるので、支局に届出の必要のない交通事故はトラック協会が作成した様式を利用するのがベストです。また「自動車事故報告書」は⑤事故の当事者(乗務員を除く)の氏名を記入する欄がありません。
そのため、「事故の記録」と「自動車事故報告書」は使い分けしておいたほうがいいです。
ちなみに、私は「事故の記録」の様式は、協会のHPからダウンロードして利用しています。
なお、私がダウンロードしたところは、yahoo!JAPANで「事故の記録 トラック」で検索すると「長野県トラック協会」さんのダウンロードページがいちばんうえに来てましたので、そこから「事故記録簿」(EXCEL)を手に入れました。
URLは、http://www.naganota.or.jp/tekiseika/chohyorui.html です。
リンクしてますので、ダウンロードするといいですよ。
事故台帳の記録期間はなんと3年間。
しかも、営業所毎に保管しなければいけないから大変です。
4.事故の概要の書き方は?
私が事故台帳を作成するときに、どのように書けばいいか迷った項目が【事故の概要】でした。
なにせ国語力がない私。
最近こそはブログを書くことで文章力が少しずつついてきましたが、それでも書き直しを何度もしています。
けれど、仕事で何度も書き直すような時間もなければ暇もないですよね。
そこで、もしも「事故台帳」を作成するとき【事故の概要】が作成しやすいようサンプルを準備しました。このサンプルをつかえば、たいていのこともそれっぽく見えるはずです。
(サンプル)
当該運転者は、(●時間)時に出勤して日常点検を実施し(●点呼執行者名を記載)の行う点呼を受けた後(●場所【具体的に】)に行くため(●時間)時に出庫。
(●地名)から(●地名)へ(●積荷があった場合は積荷名と重量)運ぶため、(時速)で(●交差点の場合は交差点の名称)にさしかかる(●認知距離)前で(●車両・歩行者・自動車・物等【車両のときは登録番号を書く】)を発見。
(●事故車両が、事故回避をするために取った行動を書く)を促したが(●スリップ痕があればその距離(m))間に合わず、接触または(衝突)し、(●相手)を負傷(又は死亡)させた。
このサンプルに基づき、事故の概要を書くと…
当該運転者は、(AM8)時に出勤して日常点検を実施し(運行管理者の田中氏)の行う点呼を受けた後(○×工場)に行くため(AM10)時に出庫。
(神奈川県○○市)から(東京都○○区)へ(○○を2t)運ぶため、(60km/h)で(○○交差点)にさしかかる。(○○m)前で(前方車両の停止)を発見。
(すぐに左方向へ回避)を促したが間に合わず、接触または(衝突)し、(○○氏)を負傷させた。
このようになります。
雛型があると書きやすいのでぜひ活用してくださいね。
5.よくある失敗例!
「追突事故や物損事故なら保険会社に報告するために、事故記録簿と同じような様式で書類を作成をしているから問題ない。」と思っている運送会社をよく見かけます。
たしかに、保険会社に提出する書類も「事故記録簿」とほとんど項目が重複しているので問題がないように見えます。ですが、保険会社に提出する様式は、事故記録簿に必要な法定項目をすべて満たしているわけではないのです。
とくに、いちばん多いのは、法定項目「⑧再発防止策」が抜けているケースが多いので要注意。
もしも、項目が足りないときは、行政監査や巡回指導で指摘されてしまいます。
だから、もし保険会社に提出する様式の写しを記録保存しているのであれば「再発防止策」を記載した書式を添付して、すべての法定項目を満たしている状態にしてくださいね。
なお、再発防止策は2~3行程度でもかまいません。
乗務員と同じ失敗をしないためにはどのようにしたらいいのか話し合って記載しましょう。
6.記録保存方法!(監査等の対策)
事故記録簿の様式に安全規則第9条の2に定められている8項目が記載されているのかチェックされるほかに、過去の保存状況についても確認されます。
ちなみに、事故記録簿の記録保存の期間は3年間になります。
もちろん、巡回指導、行政監査において確認されますので、ファイルなどで事故記録簿を確実に保管しておきましょう。
なお、事故の有無については、ヒアリングだけでなく、他にさまざまな帳票類(例:事業実績報告書、事業報告書等)を照らし合わせながら、判断されます。
口頭確認だけのように見えるので、誤魔化すことが出来ると思いがちですが、実はバレていることが多いので気を付けましょう。
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