一般貨物自動車運送事業の許可申請が難しいのはなぜ?
これから新規許可を取得しようとしている方とお話すると、かならずといっていいほど「運送業許可を取得しようとしたとき、どのようにしたらいいかわからず、慌ててしまった。」「運送業に係る法律がたくさんあることを意識させられた。」と言われることが多いです。
運送会社に勤めているときは「これなら自分でもできる!」と自信を持って自分の会社を立ち上げようとしたけれども、いざとなるとスタートする前の届出の段階で心が折れそうになってしまうんですよね。
それほど、運送業許可やそれに係る法律が複雑というわけなんです。
やはり、従業員での視点と経営者の視点では異なってくるため、いざ独立を考えたとき、いままで気づかなかったことがたくさん見えてくるというわけです。
今回は「一般貨物自動車運送事業の許可申請が難しい理由」をまとめてみましたので参考にしてくださいね。
1.インターネットの情報だけでは作成できない
知り合いにさいきん運送会社を立ち上げた社長がいれば、いちど当時の話を聞いてみるといいのですが、一般貨物自動車運送事業許可を独自で作成するのはまず無理です。
もちろん、いまはインターネットがあるので、国土交通省やトラック協会のHPを見れば、届出様式を簡単に手に入れることができます。
だから、インターネットの情報をもとに「許可の届出も自分で作成すれば経費削減できる。」と思ってしまうかもしれませんが、そもそもインターネットで公開されているのは、記入例や記入要領が少しある程度。
記入例の数字はどこから出てきたのか、どのような法律に基づいて記載されているのかわかりません。
そのため、いざ作成しようとしても自社の事情に合わせた記入・添付書類の準備などについて、どのようにすればいいのかわからず、一歩も前に進むことができない…というわけです。
だからこそ、どの運送会社も、運輸業許可の申請について、多額の金額をかけてでも行政書士に依頼せざるを得ないんですね。
2.運輸業許可申請を専門にした行政書士事務所が少ない
行政書士はたくさんいます。
ですが、運輸業を専門にした行政書士は少ないです。
なぜ、運送業を専門とした行政書士が少ないかというと、建設業など他の業種の許可のほうが市場規模が大きいため、多くの行政書士が運送業以外の業種を専門的に行うことがほとんどだからです。
さらに、多くの行政書士が従事している業務…ということは、それだけインターネットや書籍などで作成方法などが公開されるなど、情報があふれています。そうすると、行政書士も知識を身につけやすいというわけなんですね。
では、運送業はどうでしょうか?
残念ながら、運送業の許可申請は、複雑なうえに申請件数が建設業許可に比べて少ないため、業務として取り入れている行政書士は少ないのです。
だから、もしもあなたが運送業を立ち上げようとしたとき、適当な行政書士に依頼してしまうと失敗してしまう可能性が大です。届出の作成依頼をしても行政書士のほうが「…?」となってしまったり、素人同然の仕事をされてしまうということが現実に起きているんですよね。
私の知り合いにも、1回目に依頼した行政書士が運送業許可を知らない方だったために、国から書類を突き返されたりするなどされてしまい、運送会社を設立するのが予定より大幅に遅れてしまった…と苦い経験をしている人もいます。
3.運輸業にかかわる法律は多岐にわたる
運送業は、独自に貨物自動車運送事業法、それにかかわる安全規則、施行規則、道路交通法。さらには、許可のときには、都市計画法、農地法、建築基準法など紹介しきれないくらいたくさんの法律が関係しています。
許可申請を作成しようとチャレンジしたことがある人ならわかると思いますが、それをいきなり素人である一般の方や専門外の行政書士が取り組もうとすると、拒絶反応すら覚えてしまうほど難解です。
「トラック運送会社が多くの法律に縛られているとは思わなかった…。」「許可申請で準備しなければいけない書類がこんなに難しいとは思わなかった…。」と口にしてしまうのは当然といえば当然かもしれません。
まとめ!
法律に添った書類を作成するには、法律のことを理解していないと書くことはできません。時間と労力を費やして作成するのか…それとも、運送会社の設立を優先させるか考えたとき、行政書士に運輸業許可の申請書を依頼するのは仕方のないことかもしれません。
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